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「ナイス・ガイでは勝てない(Nice Guys Finish Last)」は真実か?――『「公正」が最強の成功戦略である』より①

大好評の新刊『「公正」が最強の成功戦略である』(デイヴィッド・ボダニス著)より、「はじめに」前半と目次を公開いたします。物事を有利に進めるためには、ズルやあくどいことが必要だと思われがちですが、そんなことはない、というのが本書の趣旨です。

はじめに――人は、嫌な奴にならずに成功できるのか①

 

情報漏洩を防ぐことは可能か?――ロンドン五輪開会式リハーサル

 二〇一二年の夏、イースト・ロンドンにいたダニー・ボイルは困っていた。芸術監督を務めていたオリンピックの開会式は、六月二七日金曜日に行われる予定になっていた。全世界の五億人以上の人たちがそれを見るはずだ。すべてを予定通りに進めるためには当然、何度も繰り返しリハーサルをしなくてはならない。

 空中振付師も、カメラを動かすカメラマンたちも、新しいスタジアムの屋根の施工業者も、そのはるか下のステージを統括するステージ・オペレーターも、数百人ものダンサー、歌手、自転車(空を飛ぶ自転車と地面を走る自転車があった)乗りも、巨大なベッド、火が燃える大釜、生きた羊、空気を入れて膨らませる煙突、出力一〇〇万ワットのサウンド・システム、何種類もの発煙機、機械のオペレーターたち、アニメーター、ドラマー、馬車、ビデオ・スクリーン、そしてミスター・ビーンことローワン・アトキンソン、ロンドン交響楽団、関わるすべての人、物がいよいよ本番を迎えることになるのだ。

 技術的に難しいわけではなかった。ボイルは、集団をまとめて動かすことがそもそも得意だし、それが彼の仕事でもあった。ボイルが監督しアカデミー賞を獲得した映画『スラムドッグ$ミリオネア』も、予算が厳しい中、製作チームをうまくまとめたことで生まれた傑作だった。

 問題は、開会式の当日まで、あらゆることを秘密裏に進めなくてはならないことだ。新製品の発売と同じで、直前まで秘密の方が、見る人に強い印象を与えることができるだろう。もちろん、当日が近づくほど、関係者の数は増える。本番数日前の最終ドレス・リハーサル(本番の衣装で行うリハーサルのこと)の頃には、オリンピック・スタジアムを埋められるほどの数の人が関わることになる。それにロンドンのタブロイド紙は、開会式の内容を少しでも知ろうとあらゆる手を尽くすだろう。

 ボイルは思いやりのある人である。彼の母親は、息子が映画界で成功するのを見届けられなかったが、息子の人間性の良さ、心の優しさは信じていた。他人に酷い態度を取らないのが彼の誇りだ。オリンピック委員会から「情報の漏洩(ろうえい)を防ぐ方策はあるのか」と尋ねられたボイルは、「ただ、漏洩しないよう丁寧に頼むだけですね」と答えている。

 万単位の人たちが関わるプロジェクトで、一年もの間、ただの一人も情報を漏洩しない、そんなことがあるだろうか。どうすればそれが可能なのか。

「公正な」態度

 私が長らく考え続けているのは、「果たして人は、嫌な奴にならずに成功できるのか」ということだ。「それは無理に決まっている」と思う人も多いだろう。何しろドナルド・トランプが大統領になり、辞めさせられもせず任期を全うできる世の中である。それを見て、「正義は必ず勝つ」などと誰が言えるだろうか。

 ビジネスの世界でそれを感じる人も多いはずだ。オフィスでは、地位が高い人、知識の多い人、家柄の良い人などが、周囲の人たちに対し、威張った口調で話す。それは、カエルが自分を大きく見せるために、鳴嚢(めいのう)を膨らませるようなものかもしれない。コンサルタント会社でも、銀行でも、政治の場でも、出世をするには、下には威張り、上にはへつらう、という二面性を持つことが大事だ。たとえどこであっても、それができれば、出世は約束されたようなものだと誰もが知っている。

 この考え方はどこから見ても正しいように思える。さすがに恥ずかしいと思ってしまう人も多いが、もしまったく気にせずにそういう行動が取れれば、もう勝ったも同然だろう。「ナイス・ガイでは勝てない(Nice Guys Finish Last)」という名言もあるくらいだ。

 だが、本当に何かをなすため、成功するためには、そういう「マキャベリ的」な態度を必ず取らねばならないのだろうか。他に道はないのか。私の長年の調査の結果、得られた答えは「ノー」である。実際には、より良い道がある。悪くもならず、良くもなりすぎない、程よい態度を取る道である。お人好しになってはいけないが、適切な態度、「公正な」態度を取れば、素晴らしい成果が得られる。

 本書でも詳しく話すが、エンパイア・ステート・ビルディングが一年余で建設できたのも、ジャングルでゲリラ部隊を率いたイギリス人女性が勝利を収めたのも、公正な態度のおかげである。公正な態度を取っていると、周囲からより良い情報が入ってくるし、創造性も高まる。また、他人と誠実な関係が結べる。これは個人だけに言えることではなく、企業などの団体や国などの大きな集団にも言えることだ。

  私はこの問題に関してもう何年も研究を続けている。ついには、オックスフォードで関連の講座も立ち上げた。ハイテク企業、病院、銀行、法律事務所、軍隊などで調査も実施してきた。どの組織でも、悪人が出世した事例は多く見られる。それは動かぬ事実だ。だが一方で、公正な人間が出世し、トップまで上りつめた事例も数多くある。競争が非常に厳しい分野でもやはりそうだし、公正な人間の方がむしろ大きな成果をあげているとも言える。どうしてもとんでもない悪人の方に注意を引かれやすいので、その事実にはなかなか気づきにくい。

「より良い道」は何も私が新たに発見したものではない。たとえば、聖書には「たとえ全世界を自分のものにできたとしても、魂を失ったとしたら、いったい何の得があるのだろうか」と書かれている。この言葉は今また重みを増しているのではないだろうか。利己的になることをむしろ奨励するような風潮すらある世の中だからだ。その中で、民主主義は危機に瀕(ひん)している。

 公正な態度で成功はできるが、時間がかかることはある。しかし、より大きな成功が得られることが多い。少なくとも、それまでの行動が報われることは多いだろう。具体的にどう行動すればいいかを前もって細かく教えることは誰にもできない。言えるのは、常に公正でいることは、言葉で言うほど簡単ではないということだけだ。公正な行動は厳密には、科学的に研究できることはなく、一種の「芸術(アート)」だと言ってもいいだろう。

三つの重要なこと

 公正な行動については、他人の経験から学ぶのがいい。それには伝記が良い教材になるだろう。古代ローマ時代のプルタルコスはそのことをすでに知っていた。本書も基本的には何人かの人物の伝記になっている。取りあげたのは、ほとんどが、公正な行動により人生で成功を収めた人たちである。また、対比のために公正ではない行動を取った人たちの伝記も少し混ぜてある。

 本書の前半では、六人の人物を例に、公正に生きて、しかも成功を収めるのにはどうすればいいかを細かく見ていく。重要なのは主に三つのことだ。まず、自分の周囲をよく見ること。そして、実際に行動すること、さらに危険からの防衛も必要だ。

 例にあげるのは、エンパイア・ステート・ビルディングの建設を手がけたポール・スターレット、第二次世界大戦中にジャングルでゲリラ部隊を率いたイギリス人女性、アーシュラ・グラハム・バウアー、テキサス出身のパイロット、アル・フレッド・ヘインズ、フランスの麻酔医、イベット・デュラン、テレビ・ドラマ・シリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のエクゼクティブ・プロデューサー、バーナデット・コールフィールド、「ナイス・ガイでは勝てない」という名言を残したメジャー・リーグの監督、レオ・ドローチャーなどだ(ドローチャーの場合は、他人への攻撃的すぎる態度のせいで、率いたチームが負けてしまう)。

 読んでもらえれば、公正な態度が実際に成功につながり得ることがよくわかってもらえるはずである。本書で取りあげた以外にも、無数に同様の例があるのだ。

技術の必要性

 成功する、しないは倫理の問題なのだろうか。そう感じる事例が実際に多くあるのは確かだ。だが、ハーヴェイ・ワインスタインのように酷い態度を取りながら大物映画プロデューサーとなった人物もいる。一方で、同じく映画の世界で成功したバーナデット・コールフィールドは、極めて公正な人物である。ただの善人では成功できないが、ただの善人と公正な人の違いは明確ではない。誰が見ても良い人だったとしても、その人が必ず成功できるわけではない。本書で問題にしたいのは、ワインスタインのようにならず、コールフィールドのようになって成功するにはどうすればいいか、ということである。

 数々の事例から、利己的な態度によって破滅に至る人が多いこともわかる。また、怒りが周囲の人だけでなく自分にとっても害になることがわかる。たとえ人の上に立ったとしても、常に怒っている人には、下から必要な情報が上がって来なくなり、そのせいで破滅することもあるだろう。いくら害があるとはいっても、破滅に至るまでには――ワインスタインの場合もそうだ――相当、長い時間がかかることもある。だが、ワインスタインの取っていた行動は一度、明るみに出ると、被害に遭った人たちが次々に告発を始めた。皆、自分を苦しめた人間が成功を謳歌しているのが許せなかったのだ。そして、アイスキュロス的な破滅が起きることになった。

  本書の後半は、単に個人の事例を紹介するにとどまらない。ある種、究極とも言える事例を使って、公正な態度の大切さを証明する。その事例とは、人類全体の命運をも左右するほどスケールの大きなものだ。第二次世界大戦当時のアメリカ大統領、フランクリン・ルーズベルトの事例だからだ。良識を持ち、公正さを守って行動することにはデメリットもあるのだが、ルーズベルトはそれをもすべて強みに変えた。そして、人類史上でも最も巨大な悪に打ち勝つ、というとてつもなく難しい仕事をやってのけた。

 もちろん、同じことをすれば必ず同様の結果になるという保証はどこにもない。あらゆる問題を解決する魔法などないのだ。しかし、実際に成功することは驚くほど多い。そのために、何も、利己的で独裁的な人間に打ち勝とうと躍起になる必要はない。ただ公正な行動を取ってさえいれば勝てる可能性があるのだ。

 ただし、それには技術がいる。

 公正さが強いと言ってもすぐには信じられない人もいるだろう。本書でいくつも事例をあげているのはそのためだ。ダニー・ボイルの二〇一二年ロンドン・オリンピックでの事例は最初に提示するものとして理想的だと私は考えた。関わった集団がさほど大きくないからだ。そのため、詳しく調べるのは難しくない。以降にあげる事例もスケールが違うだけで本質的には同じである。

ダニー・ボイルが成功した理由

 すでに書いた通り、ボイルは開会式に関する情報を、関わるスタッフが多数いるにもかかわらず、当日までの間、秘密にしなくてはならなかった。ボイルは、関係者たちの意識を良い方向に変えれば、それは十分可能だと気づいた。

 実のところ、ボイルはプロジェクトが始まる前から有利だった。彼は以前から、共に仕事をするスタッフに敬意を持って相対していた。いつも食事休憩は十分に取るようにしていたし、追加の報酬なしで残業させることは決してなかった。スタッフそれぞれの知識や技能を尊重し、その人が得意なことはできるだけ任せるようにしていた。後に、ナイトの称号を授与されるという話になった時は、それを断っている。ボイルはそれについて「柄じゃないです。そもそも、ミスター・ボイルと呼ばれるだけでもちょっと恥ずかしいくらいなんです……人は皆、平等というのは、政治家にとっては単なる便利なキャッチフレーズかもしれませんが、私は心からそう信じています」と言っている。

 オリンピック委員会は、ボイルに対し「これまでの開会式では、スタッフがカメラ付きの携帯電話を持ち込むことを完全に禁止していたし、全員に、機密保持契約書への署名を求めたので、今回も同じようにして欲しい」と言ってきた。しかし、ボイルはスタッフに、携帯電話の持ち込みは一切、禁止しないし、機密保持契約書への署名は誰にもさせないと明言した。

 オリンピック委員会は、開会式に関わる全スタッフを有償とすることを望んでいた。そうすれば、「何かあれば報酬を払わないぞ」という脅しが利くと考えたのである。だが、ボイルは大半のスタッフを無償にすることを決断した(撮影スタッフやソフトウェア・エンジニアなど、特殊技能を必要とするスタッフは除く)。

 また、オリンピック委員会は、スタッフをできる限り小さなグループに細分化することを望んだ。小さなグループに分かれていれば、一人のスタッフが知り得る範囲は開会式のごく一部にとどまる。そうすれば、仮に情報漏洩があっても損害は大きくならないだろうと考えた。ボイルはそれを良い考えだと思わなかった。彼はこれまでにも、大きなイベントで、スタッフが自分のしていることがわからずに混乱してうまく動けない、という状況に陥るのを何度も見てきたからだ。

「ある時点で自分は左腕を上げなくてはならないのは知っているが、なぜ、そうしなければならないかがわからない」。ボイルは、そういう開会式を望んでいなかった。彼はオリンピック委員会に、「スタッフには自分の行動が全体の中でどういう意味を持っているのかを常に理解していてもらいたい」と告げた。プロジェクトの初日からそういう姿勢で臨んだのである。

人の話を聴く

 だが、それだけではきっとうまくいかない。それはボイル自身もわかっていた。母親からの教えもあり、世の中のほとんどが善人だと彼は信じていたが、一方ですべてが善人でないことも知っていた。

 ボイルは、イギリス北西部の都市、マンチェスターのそばで、労働者階級のアイルランド系カトリックの家庭で育った。セカンダリー・スクールの時代は、フランク・マコートの回想録『アンジェラの灰(土屋政雄訳、新潮社、2003年)』ほどではなかったが、それでも過酷には違いなかった。教師たちは皆、厳格だった。ボイルの父親は、一四歳で学校を辞め、それ以後は独学を余儀なくされた。その父親からは「攻撃性、頑固さ、根気強さを受け継いだ」とボイル本人は言っている。

 そうした性質は、開会式の一年以上前、準備の始まった頃には大きな価値を持った。ボイルは、一万人にも及ぶスタッフをまとめ鼓舞していかねばならなかったからだ。だが、その中のただ一人も、開会式についての情報を外に漏らさないようにするのは容易なことではない。人間は弱いし、移り気で、他人にも影響を受けやすい。スタッフのうちの少なくとも一部は信用できる人たちだろう。最初に「準備作業中は写真を撮らないで欲しい」と頼んでおけば、ずっとそれを守ってくれるはずだ。だが、それ以外の大半のスタッフがどう行動するかは全体の雰囲気次第になる。

  本書では「人の話を聴くこと」を成功のための大事な要素だとしているが、ボイルの場合もまず、それが重要になった。ボイルがもし、自分を大きく見せるために威張り散らす人で、オリンピック委員会の人たちを、自分たちの邪魔をする「スーツ組」だと言って見下していたとしたら、何を言われても耳を傾けず、何も学べなかっただろう。

 その場合は、自身も元オリンピック選手で、ロンドン・オリンピックの組織委員会会長を務めたセバスチャン・コーにとっても残念なことになったはずだ。コーは情報漏洩を防ぐための素晴らしいアイデアを持っていたからだ。コーは、そもそも「秘密」という言葉が良くないと考えた。この言葉には危険な響きがあるし、必ずどこかで外に漏らさねばならないもののように思える。「秘密をばらすぞ」という脅迫が成り立つのは、守るべき秘密があると思うからで、そう思わなければ脅されても怖くはない。

 コーはボイルに、「守るべき大きな秘密がある」という考えを捨てるべき、と提案した。あるのは「秘密」ではなく、「サプライズ」だ、とコーは言った。サプライズなら、関係者全員で共有している意識を持つことができるし、当日まで明かさずにいる方が喜びも得られる。コーがこういう提案をできたのは、ボイルが「スーツ組」を軽蔑するような人間ではないとわかっていたからだ。

 ボイルはコーのアイデアを即、取り入れた。「若者たちはサプライズが好きだし、サプライズなら、秘密のように後ろ暗い感じもない」ボイルはそう言っていた。ロンドン、ダグナムの使われなくなった自動車工場で行われた最初のリハーサルから、新しいオリンピック・スタジアムでの最終ランスルーにいたるまで、どこでもスクリーン上には、"#SaveTheSurprise(サプライズを守る)"という太字のハッシュタグが表示された。(続く)

目  次

はじめに――人は、嫌な奴にならずに成功できるのか

  9
情報漏洩を防ぐことは可能か?――ロンドン五輪開会式リハーサル 9/「公正な」態度 11/三つの重要なこと 13/技術の必要性 14/ダニー・ボイルが成功した理由 16/人の話を聴く 18/全員を尊重し、信頼する 20/「お人好し」ではダメ 21/「ジェームズ・ボンド」的な手段 23/「サプライズ」の成功 25/ウィズ・コロナの状況は試金石 27
 

第一章 パイロット

  34
突然の墜落危機 34/爆発したような音 36/頭をよぎる日航機墜落事故 38/パワー・ディスタンス――人の話を聴く時の態度 40/大韓航空の事例 42/他人と協力し合うことを選ぶ人間 46/コックピットでの会話 48/最も有用な情報 52/「無駄だな。あきらめよう」 55/機体が自分の身体の一部になったような感覚 57/着陸 60/「公正」と「優しい」は同じではない 63
 

第二章 医師

  66
麻酔医のテスト 66/実際にあった事故 69/ひどいミス 70/典型的な人的要因による事故 74/知覚の限界をどう補うか 76/予防のための行動 80/「自己を捨てて人の話を聴く」「執着を捨てて人の話を聴く」重要性 82

第三章 建設業者

 86
エンパイア・ステート・ビルディングの建設 86/待遇改善 90/イースタン航空 92/策略 94/搾取と破壊 96/「与えよ、だが同時に用心せよ」 98/「非常に強硬な」人間を雇う 99/作業員たちの創意工夫 101/愛さなくても、尊重はできる 103
 

第四章 戦士

  107
ミス・バウアーからの電信 107/母の望みとのズレ 110/インパールへ――ナガ族との出会い 112/通過儀礼 115/日本軍との戦闘 118/ナガ族からの信頼 120/偵察活動 124/「彼女の首を取れ」 128/「幼い頃からじっと座っていることができない子だった」 129/公正であることは一つの技術 130
 

第五章 スポーツの監督、コーチ

  134
「ナイス・ガイでは勝てない」が生まれた瞬間 134/ドローチャーという人間 135/常軌を逸した行動 137/勝者はナイス・ガイ 139/成功するリーダーはバランスが良い 141/状況に合った適切な方法 142/「ゲーム・オブ・スローンズ」のエクゼクティブ・プロデューサー 146/常に穏健な対応 149
 

第六章 巨大テック企業のCEO

  152
サティア・ナデラとスティーブ・バルマー 152/「エリック・シュミットはいまいましい最低野郎だ!」 154/他社への攻撃性 155/マキャベリの真の姿 157/最悪のCEO 159/生まれつき良い人はいるのか? 160/息子の障害 162/自分の力で変えられることと、そうでないこと 164/会社全体の意識改革 167/人事評価を変える 169/「今年の人」に選ばれる 171/こうすれば必ず公正な人になれる、という法則は存在しない 173
 

第七章 艦長

  178
バウンティ号の反乱 178/実は公正な人間だった? 180/キャプテン・クックに認められる 181/バウンティ号の指揮官に選出 185/八時間睡眠の奨励 186/「素晴らしい船だ」 188/不吉な兆候 191/タヒチ 193/船員たちの変化 195/思いやりを失ったブライ 197/軋轢 198/反乱 201/漂流 204/再び漂流 208/再びタヒチへ 213/困難な状況での判断が人間の本質 215
 

第八章 変わりゆく若い男

  224
ドイツ、ニュルンベルク 一九三六年九月一二日 224/ヨーゼフ・ゲッベルス 227/足の障害 229/階級社会の壁と巧みな話術 230/「私の理想は、ペン一本で生計を立てられる人間になること」 232/ユダヤ人の恋人との出会い 234/疑念 238/ナチとの出会い 239
 

第九章 国民啓蒙宣伝大臣

  243
ナチのプロパガンダ装置を支配するゲッベルス 243/話を聴かず、沈黙させる 246/「噓つき報道機関」 250/与えるのではなく攻撃する 253/焚書 257/身を守るのではなく攻撃を 259/「まず大事なのは、何があっても退屈だけはさせないことだ」 263/矛盾したことを言い続ける技 266/最も憎むべき敵は「真実」 268/包括でなく排除 271/水晶の夜 274/ドイツ全体が好調 276
 

第一〇章 金ぴかの青春

  282
ゲッベルスとフランクリン・ルーズベルト 282/「彼は態度も大きく、嫌な奴だった」 285/「自分はいずれ大統領になる」 288/ポリオ 291/死ぬまで時が過ぎるのを待つだけ 294/フロリダへ 296/リーハンド 298/通過儀礼の第二段階 302/ジョージアのリゾートへ 306/全米から押し寄せるポリオ患者 310/リゾート全体を買収 314/世界の問題を知る 317/本当の自分 320/通過儀礼の第三段階 322/大変な時代の大統領に 324
 

第一一章 ニュー・ディール

  329
ヒトラーのホワイトハウス訪問 329/ドイツとアメリカの類似点 330/焚書への嫌悪感 332/公正であること、礼節正しいことの力 334/黙らせるのではなく、聴く 336/攻撃するのではなく、与える 340/人を見極める力 347/攻撃はしないが、身は守る 351/包括(インクルージョン) 358
 

第一二章 公正の勝利

  370
七日間での崩壊 370/届かない情報――真珠湾攻撃 373/自分の目を塞ぐ――アメリカへの宣戦布告 375/「科学を攻撃しすぎた」 379/ドイツに対し冷淡な各国 382/包括(インクルージョン)への憎悪 388/「現実は必ずいつか襲いかかってくる」 390/反省しないゲッベルス 393/ストライキが起きても上がる生産量 396/「何という人生だろうか」 397
 
エピローグ  400
 
参考文献&ブックガイド  404
 
謝辞  447



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