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小泉進次郎さんの育休取得は、周囲に良い影響を与える? そのエビデンスをご紹介します。

皆さんこんにちは。

小泉進次郎さんと滝川クリステルさんに、第一子が誕生されたとのこと。
「母子ともに健康」とのことで、まずはおめでとうございます!

小泉進次郎さんが、育児休暇を取得されるというニュースも、先日来報じられています。

これについてはいろんなご意見があるようですが、ここでは昨年7月に刊行した東京大学教授・山口慎太郎さんの「家族の幸せ」の経済学という新書から、

「育休は伝染する」

ということについて、少しだけ内容をご紹介したいと思います。

この『「家族の幸せ」の経済学』、第4章では「イクメンの経済学」と題して、まさに男性の育児休業取得について、各国のデータをもとに経済学的分析がなされています。
あ、「分析」といっても、めちゃめちゃわかりやすい書き方ですよ。

この章では、日本の育休制度は世界一であること、しかし、育休取得率はかなり低いことが論じられています。
なかでも、ノルウェーの経済学者たちの研究がとても興味深いのです。
育休取得は同僚に影響を与える。そして、それがリーダーであれば更に強い影響になるのです。
以下、本文から引用します。

彼らが注目したのは、同僚や兄弟といった近しい人が育休を取ったことが、お父さんの育休取得に及ぼす影響でした。
1993年の育休改革直後に育休を取ったのは一部の勇気あるお父さんたちでした。こうした勇気あるお父さんが、同僚あるいは兄弟にいた場合、育休取得率が11〜15パーセントポイントも上昇したようです。
(中略)
さらに興味深いことに、会社の上司が育休を取ったときの部下に与える影響は、同僚同士の影響よりも2.5倍も強いことがわかりました。やはり、上司が率先して育休を取ることで、部下も安心して育休を取ることができるようです。(同書152ページより)

また、「パパの育休取得が、子どもにどのような影響を与えるのか」について同じくノルウェーの研究結果も紹介されています。
この研究によると、子どもの16歳時点での偏差値にも影響を与える、とのことです。

ノルウェーの研究では、データの制約のため、お父さんがどの程度、家事や育児に関わっているのか直接検証することはできませんでしたが、お父さんの育休取得が子どもの発達に与えた影響を知るために、子どもの学校での成績に着目しています。この研究によると、1993年の育休改革の結果、お父さんの育休取得が増えました。そして、お父さんが育休を取得した場合、子どもが16歳になったときに偏差値が1ほど上がったそうです。
なぜたった数週間のお父さんの育休取得が、16歳時点での子どもの成績に影響しうるのでしょう。論文の著者らは、わずかな育休取得でも、ライフスタイルに大きな影響を与え、お父さんが子育てに熱心になった可能性を重視ししています。また、心理学の知見によると、生後1年間の親子のふれあいが、その後の長期にわたる親子関係に大きな影響を及ぼすことを引用し、短い育休取得でも子どもへの影響が持続しるうと論じています。
同書161〜162ページより)

その他、1カ月の育休が、3年後の父親の育児の時間や家事にかかわる時間を増やすというデータも紹介されています。
「たった1カ月なんて意味がない」「子どもが新生児のときはパパは役に立たない」などの意見もあるようですが、実際はやや異なる方向のデータやエビデンスがあるのですね。

ちょうど今日は、日経新聞に宣伝が掲出されています。

小泉進次郎さんのニュースをきっかけにご興味を持たれた方は、ぜひ書店で手にとっていただき、第4章だけでも開いていただけるとうれしいです。


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