見出し画像

【note×光文社】#読書の秋2021優秀作品発表【厚く御礼申し上げます】

こんにちは。光文社新書です。読書感想文コンテスト #読書の秋2021  にご応募くださったみなさま、本当にありがとうございました。一時はどうなるかと危ぶまれたフェアでしたが……おかげさまをもちまして、特に〆切間際にたくさんの記事をご投稿いただきました! まずは光文社新書をお手にとってくださいましたこと、そして貴重なお時間を割いて本への思いを文章で表現してくださいましたことに、編集部一同、感謝の思いでいっぱいです。本当にありがとうございました。

優秀作品5作を発表!

それではさっそく、優秀作品の発表です。各作品のあとに、各担当編集者からの講評をつけています。

課題図書①『バンクシー アート・テロリスト』 毛利嘉孝

優秀作品は  みいちゃろさんの「バンクシー再考。」

担当編集者講評
今、イギリスを拠点に置く謎のアーティスト・バンクシーが作品を発表すると、世界中がざわつきます。つい先日も、2018年のサザビーズでの落札直後にシュレッダーで一部が細断され『愛はごみ箱の中に』と改名された『Girl with Balloon』(風船と少女)のシリーズの一枚が、バンクシー作品としては過去最高額となる1858万ポンド(約29億円)で落札され話題になりました。しかし、その正体は謎に包まれたままです。海外の美術館で撮影した作品を載せながら感想文を綴ってくださった「みいちゃろ」さんは、「権力」「社会諷刺」を切り口にバンクシー芸術の面白さに迫った熱のある内容でした。同時に、反権力的なバンクシーが、ブレア政権の産業政策を追い風にしてその名を広めていったという「バンクシーの危うさ」にもきちんと触れられていて、優れた読書感想文として優秀作といたします。みいちゃろさんを始め、感想をお寄せくださった皆様、どうもありがとうございました。厚く御礼申し上げます。



課題図書② 『文章は接続詞で決まる』石黒圭 

優秀作品は たもも@米国在住さんの「【読書ノート】文章は接続詞で決まる」

担当編集者講評
冒頭で「何がすごいって、これで読書感想文を書けってことだよね(笑)」と書きつつも(たしかにそうですよね…!)、普段から書く機会の多いご自身が、「スキルを上達させたかったから」と、本書を読み、学んだ部分を、丁寧に伝えてくださっています。本文からの引用も、印象的なものが多くありました。たとえば、「優れた書き手は優れた読み手でもあり、自分の書いた文章を読み手の視点からモニターすることに長けています。そうした優れた書き手が推敲で手を入れるのが接続詞なのです」という部分。また、【接続詞は論理的か】という節の紹介から、「接続詞をしっかりマスターすると、自分の思考に沿って読み手をうまくナビゲートできるということですね。この知識は重要!」という感想を導き出しているところなどでは、こちらも改めて勉強になりました。米国在住とのことで、普段から、日本語を客観的に見る機会があっての感想も感じられました。
他の方の感想文の中にも、冒頭から惹き付ける表現で要点を伝えてくださっていたり、真正面から学びをまとめてくださっている作品もあり、選考に迷いました。皆様、ありがとうございました。


課題図書③『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』庭田杏珠 渡邉英徳 

優秀作品は からちゃん | 島旅農園「ほとり」の「戦時中もトイレしてたんだよな」

担当編集者講評
多くの感想文に共通して見られたのが「語り」に関する考察。中でもからちゃんさんは「原爆体験はいかに語り継がれるのか?ー広島平和記念公園における語りの生成と消失ー」という修士論文を書かれているだけあり、非常に濃密な内容だったので優秀作に選びました。タイトルにある「トイレ」の導入にも引き込まれます。「自分事として想像する」って、本当にこういう些細なことからなんですよね。アウシュビッツ収容所での体験を描いたフランクル『夜と霧』の中で、朝に配給される僅かなパンをいつ食べるかについての考察があるのですが、そうしたディテールを彷彿とさせます。結びにある「観光が持つパワーの両面性」は東浩紀『観光客の哲学』へ接続される議論で、このように色々なテーマへ関心を呼び起こすという意味でも素晴らしい書評でした。
またここには挙げきれませんが、他の方の感想文も非常に興味深かったです。東日本大震災への言及、「人はのどかに騙される」という印象的な一文、『君は天然色』とのつながり……などなど、どれも目から鱗でした。皆さまありがとうございました!


課題図書④『ニュースの未来』石戸諭 

優秀作品は 栄、覚えていてくれさんの「あなたの発信を深化させる1冊「ニュースの未来」」

担当編集者講評
力まず、てらわず、自分が納得したことを素直に書く。まずはそのやわらかく素直な言葉使いが好印象でした。メディア論のような話だととかく肩に力が入ってしまいがちですが、こちらの投稿者のかたはごく自然な筆致で、ストンと読み手に伝わる感想を述べていただきました。しかし書かれている内容は本書の核心を突いています。手にとっていただいた決定打だったという「良いニュースの五大要素」は、まさしく著者の石戸諭さんがこの本にこめたもっとも大切なエッセンス。そこから「良いニュース」を生み出すためにご自身が実践できることを、本書から十二分にくみ取っていただいたと思います。栄、覚えていてくれさんの、未来の発信が楽しみです。ご投稿ありがとうございました。


課題図書⑤『ジェンダーで見るヒットドラマ 韓国、アメリカ、欧州、日本』 治部れんげ 

優秀作品は Book Clubさんの「ドラマを知る一冊」

担当編集者講評
「この本を通して、私はドラマを観た時のように、自分と連帯してくれる誰かを見つけたような気分になった。そして、次に自分が観たいドラマや、自分がドラマを通して少し考えてみたい社会の問題が見えてくる一冊でもあった」と書いてくださったbook clubさんの感想文を優秀作に選出いたしました。ラクで楽しい「ドラマ視聴」を通じて社会を見るという本書のメッセージをまっすぐに受け取ってくださったこと、また、読書を通じて社会との連帯を感じるという、読書の根本的な喜びのひとつを表現されていたことが選出の理由です。新書はストーリーで人を惹きつける媒体ではありませんが、新たな視点を得ること、社会との連帯を感じることにおいて、ドラマティックな小説やエッセイに劣らない感動体験を得られるという事実を、改めて教えていただいた思いです。他の作品でも「新たな視点を得られた」という感想が多く、うれしい気持ちでいっぱいになりました。応募してくださった皆様、本当にありがとうございました。

謝辞


優秀作品に選ばれたみなさまにはお約束通り、編集部より図書カード3千円分&お好きな光文社新書2冊を進呈いたします。繰り返しになりますが、今回ご応募くださったみなさま方に厚く御礼申し上げます。光文社新書を読んで、そして書いてくださり、本当にありがとうございます。

読書の秋は終わりましたが、今後もたまには感想文を書いたりしつつ、身近に気楽にときには真面目に、読書をお楽しみいただければ幸いです。そのリストに光文社新書の本を入れていただけましたら、これ以上の喜びはありません。みなさまのこれからにも、よき本との出会いがありますように!


光文社新書ではTwitterで毎日情報を発信しています。ぜひフォローしてみてください!