【開幕前診断】2021年シーズンの巨人軍の課題と展望(野手編)
熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
今回は、開幕前に今一度巨人軍の戦力をチェック。既存の主力はもちろんのこと、新戦力や若手に求められる役割を考察します。
12球団屈指の「ディフェンス力」は今季も維持できるのか?
昨シーズン、12球団最小の失策数43を記録した巨人だが、今シーズンも守りからリズムを作れるかどうかはキーポイントとなる。
昨年は3割打者が不在だったが、ディフェンス力で打力不足を大きくカバーできていたのは間違いない。
中でも注目したいのは大城卓三や小林誠司の捕手、二遊間の吉川尚輝と坂本勇人、中堅手の丸佳浩が担うセンターラインだ。昨シーズン、このセンターラインの堅さは12球団でもトップクラスだった。特に吉川と坂本の二遊間は、初めてフルシーズンでコンビを組んだこともあるが、驚くほど絶大な存在感だった。
捕手に関しては、2019年のように大城と小林を上手く併用することによって、パフォーマンスの維持が期待できる。守備の要でリーグでもトップクラスの守備力を持つ小林がほとんど不在だった昨シーズンも高いディフェンス力を誇ったことから、今シーズンは小林の分の「上積み」も計算できる。中堅手の丸に関しては、年齢的に守備範囲が狭くなっているが、打球に対する判断力は図抜けており、休養を挟みながらも外野の要としての働きが求められる。
ディフェンス力が優れていても、試合を見ている我々は派手さを感じない。しかし、調子に左右されやすい打撃とは異なり、安定した試合運びの基盤となる。実際、2014年や昨年のように3割打者が不在の中でも、ディフェンス力を軸に勝ち続けることが可能である。一方、昨シーズン後半からはその守備にほころびが見えつつあったので、立て直しは絶対条件である。
鍵を握る新戦力3選手+a
坂本勇人・岡本和真・丸佳浩のコアの打撃力にはリーグ屈指のものがあり、今シーズンも求められるものは大きい。彼ら3選手に加えて、新戦力の3選手の起用法や活躍ぶりにも期待したい。新外国人のジャスティン・スモーク、エリック・テームズとDeNAから加入した梶谷隆幸だ。昨シーズンは打線全体における火力不足が露呈したが、彼らにはその穴を埋めることが期待される。昨年の巨人には3割打者が不在だった中、好成績を残した梶谷が昨年ほどまではいかないにしてもある程度の活躍を見せてチームを底上げできるかも注目したい。
また、調子の波こそあるが、身体が大きくなりパワーがつき、西武の山川穂高からアドバイスを貰い長打が見込めそうな北村拓己も、規制がかからない下位の打順で成長させていってほしい。
昨年はベストナインに輝いた大城も、小林との併用によってパフォーマンスを維持できるのなら、2019年のように好調時にコア3選手の後ろを任せる手段が考えられる。
年齢的に昨年からそろそろスタメン出場が難しくなってきていた亀井義行は、勝負どころでの代打を中心にした起用法が望ましい。加えて、波はあるが2019年に右の代打として代打打率.394を記録した陽岱鋼や、(スタメンを外れた時に)北村あたりを起用していくことで、昨年からの変化が生まれていくのではないだろうか。
水準以上の「強度のあるボール」への対応もポイント
昨シーズン大きく目立った巨人の弱点は、水準以上の速球や強度のあるボールへの対応である。データ上では速いストレートを苦にしていないように映るのだが、打線を全体的に見て、抜け球や半速球のボールにしか対応できない状態だった。よって、本格派には抑え込まれる試合が多く、エース級以外の投手から勝ち星を積み重ねた末のリーグ制覇だった感は否めない。さらに、日本シリーズではその弱点が露呈してしまい、ソフトバンク投手陣のストレートを狙っていても打てない状況だった。シーズンの成績以上に打線の実質的な実力差が出たシリーズだったと言える。
今後、パリーグはもちろんのこと、セリーグでもエース級の投手を相手に勝利するためには、彼らの投げる水準以上のボールへの対応力向上は必須である。この弱点を克服した上で、勝負どころや短期決戦での戦い方をさらに引き上げていくことが、リーグ3連覇そして日本一に輝くためのステップとなる。