【光文社:新人研修レポート④】大学4年間の食遍歴から『自炊力』を振り返ってみた
note読者のみなさま、こんにちは!
光文社・新入社員のおいもと申します。
本名は出せない、ということで大好きなおいもをペンネームにしました。
(今は新じゃがの季節です。美味しいですよね。)
さて、今回は
#私の光文社新書
という企画でnoteを書いております。
私が選んだ一冊はこちら。
『自炊力 料理以前の食生活改善スキル』白央篤司
この本は、
“料理経験はあまりないけれど、自炊に興味がある”
“だけど何から始めたらいいのか分からない”
そんな方々の助けとなる、自炊にまつわるヒント集です。
大学4年間一人暮らしをしていましたが、私自身は自炊がそんなに苦ではありませんでした。むしろその過程が楽しく感じられて好きでした。(片付けは面倒でしたが)
そんな私がなぜこの本を選んだかというと、
自炊をしている(できる)のと“自炊力”がある、のとは別物だと感じたからです。
さまざまなトピックを読んで、もしかしたら自分は「自炊」のことを勘違いしていたかもしれない、そう思いました。
今回は、食体験から自らの“自炊力”を振り返ります。
また、新社会人として自分なりにかみ砕いた“自炊力”
についてお話ししていきたいと思います。
“自炊力”って何ができること?
著者である白央さんが考える“自炊力”とは、
①自分で買い物に行って、その場で献立を決められる
②食材の質と値段のバランスを考えつつ買い物ができる
③そのときに買ったもの、家にすでにあるものを取りまぜつつ、数日分の献立を作り回していける
④なおかつ栄養バランスを考えられる
などの総合力だそうです。
今の自分は、決して完ぺきでなくともおおよそ①~④までの力が身についていると感じています。これらがどのようにして身についたのか、次の項目から詳しく振り返っていきます。
私の食遍歴について
私の祖父母は農業をやっていますので、実家ではしっかり作られたご飯を食べさせてもらっていました。外食もほぼしない家でした。そんな風に育ってきたので、大学生になった18歳の私は「自炊」を当たり前のスキルと考えていたのです。
【図1】
グラフの下には、各学年の時の生活スタイルについてザックリ書きました。おおよそ典型的な文系大学生といったところでしょうか。
こちらの図は大学4年間の自炊頻度を書き出してみたものです。料理が好きといっても、決して安定してコンスタントに自炊していたわけではありませんでした。ピンクの線が上下に波打っていますね。ここからは、自炊頻度が変動する転機になった時期を4つに分けて書いてみたいと思います。
食遍歴①a期・自炊度80-90%:自炊のやる気が空回り
一人暮らしを始めたころ、私はとても張り切っていました。しかしいざやってみると「カレーや肉じゃがみたいな料理名を知っているものしか作れない」「分量の調節ができず、同じものを3日食べる」などうまくいかないことばかり…。
【図2】
一人暮らし1週目の夕飯。この日の献立はオムライス・ほうれん草ソテー・ポトフ。卵はぼそぼそだし、ほうれん草は渋くて、にんじんも硬かった記憶があります。
『自炊力』本文によれば、
‶料理をしない=怠け者という認識”
‶冷凍食品や外食への罪悪感”
があると料理のハードルが上がってしまうそうです。この時の私は自分で自分の首を絞めていたことが分かります。
食遍歴②b期・自炊度50%:お菓子作りにハマる
きっかけは、インスタグラムで見たきらびやかなスイーツ。ミーハーな私はすぐに飛びつき、お菓子作りの道具を一通りそろえ、作っては可愛く撮影することをひたすら繰り返して楽しんでいました。
【図3】
これはフルーツタルトの写真。可愛くできたものの、フルーツにお金をたくさん使ってしまったうえに、食べきるのに3日かかりました。作ったスイーツでお腹いっぱいになり、健康的なご飯が食べられず、自炊頻度ダウン。
これは、白央さんが自炊力のポイントであると提唱する②ができていない例ですね。これ作ってみたい!という意欲が高まっている一方で、現実的にはとても続けられない生活であるといえます。
食遍歴③c期・自炊度100%:完璧主義のダイエット
留学中に太り、帰国後も活動量が減って太り…一念発起して糖質制限を決意。ジムの契約もして食事の管理を徹底しました。
【図4】
食べたいものをひたすら我慢する生活。この日のお弁当は「動物園の餌みたいだね」と言われました。食べられるものが決まっていて、食への関心も薄らいでいきました。
この時期は食べたものを全てダイエットアプリに登録して、自分が摂取している栄養素の量を常に把握していました。④の力は鍛えられましたが、「どうせ食べられないからいいや」という思いから、食べることの楽しみが感じられませんでした。
食遍歴④d期・自炊度30%:時間と気力との闘い
就活に卒論と忙しい日々が続き、時間も気力も全然なかった時期です。好きなはずの料理に対するやる気が起きず、外食や出前が増えました。
(あまりにも自炊をしておらず、全然写真が見当たりませんでした。)
以上、私の食遍歴の要点を振り返ると、下の図にまとめることができます。
【図5】
実は大学3・4年生ごろにはかなり自炊力がついたと自負していました。しかしそれは時間と気力あってのもの。時間に余裕がなければたちまち自炊のハードルが上がるということを痛感ししました。
例えばc期は自炊度100%でしたが、豊かな食生活を送っていたとは言い難いです。この時の私は「自炊」していても、「自炊力」が高くなかったのです。
安定した自炊生活を送るには
これまでの経験で、安定した自炊生活のためには
③そのときに買ったもの、家にすでにあるものを取りまぜつつ、数日分の献立を作り回していける
という力が一番大切だと考えるようになりました。
とはいえ、これは一朝一夕では身につかなそうなちょっと高度な能力。たとえば牛丼を食べる時に「野菜と汁物が足りないなあ」と思っても、すぐにその料理を作れる余裕や食材があるとは限らないからです。
しかし、本書で白央さんが書いているように、はじめから完璧でなくともよいのです。「家にインスタントのみそ汁があったはず。サラダはコンビニで買って帰ろう」。こう考えるだけで、きっと一歩前進なのです。
自分の食をアップデートしよう
『自炊力』は自炊経験の有無にかかわらず多くの方にお勧めできる本です。
今の私のように、自分のためだけに料理することは、いつまでも続かないかもしれません。しかし、家族や恋人ができれば、人の気持ちや、健康のことまでを考えて料理することになります。(世のお母さん・お父さん…本当に頭が下がります)
その時、きっとこの本は読者のみなさまに寄り添ってくれます。
本書を手に取った方が料理や食べることを好きになってくださったら、とても嬉しいです。
私も、この春から社会人となりました。今はリモート研修中なので時間がある方ですが、忙しくなった数か月後にこの記事を見返したら、「なんてのん気な」とあきれるやもしれません。
今の自分にとって、どういう自炊が適しているのか。
正解に迷ったら、またこの本に立ち返りたいと思います。
ライフスタイルに沿って自分の”食”をアップデートしていくこと。
それこそが真の自炊力ではないでしょうか。