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首位を走る巨人、12球団トップクラスの「ディフェンス力」

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を徹底分析。
今回のテーマは「ディフェンス力」。原巨人が首位を快走する原動力となっているとともに、常勝チームには欠かせないものです。今シーズンの守備陣を振り返るとともに、歴代の優勝チームと比較して今後の課題を探ります。

開幕当初から輝いたセンターライン

今シーズンの巨人軍の強さを象徴する大きな要素が「ディフェンス力」である。開幕当初からシーズン中盤まで打撃陣が低迷していたこともあり、投手力の高さとディフェンス力の固さがより一層際立った。

特に、二塁手としてトップクラスの守備範囲を誇る吉川尚輝と歴代トップクラスの遊撃手である坂本勇人の二遊間のコンビは、守備範囲が広いのはもちろんのこと、阿吽の呼吸でありバランスも非常に優れている。今シーズンは吉川尚輝に大きな怪我がなかったため、開幕から鉄壁の二遊間が形成できた。これはチームが首位を快走した大きな要因だろう。

さらに、中堅手の丸佳浩も持ち前の判断力の高さから好守を連発してチームを支えている。
内外野の強力なセンターラインが確立された今シーズンは、見ていて安心感がある。

今シーズンから三塁手に固定されている岡本和真も、バント処理などのチャージには課題があるものの、左右のゴロに対する反応は以前よりも上達したように見える。

リーグ最少の失策数だが、9月に急増

巨人の守備は数字的にも良く、失策数は33(10月15日時点)と12球団中最少である。この固い守りによる隙のない野球で、終盤にも強い試合運びをしてきた。

ただ、懸念材料としては、9月中旬以後の失策数は17(9月16日〜10月15日までの1ヶ月間)と増加していることだ。シーズン全体の失策の中で半分以上をここ1ヶ月間のものが占めていることになる。

これまで守備の固さから投手陣をカバーしてきただけでなく、攻撃へのリズム、流れを作っていた側面ももある。日本シリーズで致命的なミスが出ることも最悪の事態として想定されるため、開幕当初からシーズン中盤まで披露してきた鉄壁のディフェンスを復活させることは急務だ。

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2014年のロペス・片岡・村田・坂本の内野陣との類似性**

今シーズンの固いディフェンス力て勝利を積み重ねた姿は、2014年の坂本をはじめとしてホセ・ロペス、片岡易之、村田修一といった内野陣がいた時に近い形だろう。このシーズンの守備率.987はリーグトップだった。さらに、チームの失策71もリーグ最少で、守り勝つ野球がベースとなっていたことが分かる。

この年も今シーズンと同様に、リーグトップの防御率を誇る投手陣と、固いディフェンス力で首位を走った。そして、失策数がわずかに1つだった阿部と村田が各ポジションでゴールデングラブ賞を獲得した。センターラインである片岡と坂本の二遊間も、ゴールデングラブ賞を獲得するという目に見える形こそ残らなかったが、両選手の守備範囲の広さで投手陣を助ける場面が多々あり、球界トップクラスだったと思う。

さらに、一塁手のロペスもゴールデングラブ賞は逃したものの、坂本から守備に関して良い影響を受けていたそうだ。

坂本の守備はすごい。毎日見るのが楽しかったし、刺激になりました。彼とはよく守備について話した覚えがあります。彼も含めて、内野手が『ロペスに送球しやすい』と言ってくれれば、本当にうれしい。言い方は変かもしれませんが、悪送球されてもうれしいんです。だって、それを捕球すればアウトになりますから。チームメイトを支えるのは自分の仕事です。(下記リンク参照)

2014年はこうした堅いディフェンスを源とした試合運びの巧さで、3割打者が不在ながらもリーグ優勝を成し遂げた。

1991年西武・2017年ソフトバンクに見る守備の重要性

プロ野球史上、ペナントレースにおけるチームの失策数は、1991年の西武と2017年のソフトバンクの38失策がシーズン最少記録である。
守備率を見ても、2017年のソフトバンクが.993で歴代1位、1991年の西武が.992で歴代2位である。そして2球団ともにこのシーズン、リーグ優勝と日本一に輝いている。西武で言えば清原和博や秋山幸二、デストラーデ、ソフトバンクで言えば柳田悠岐や中村晃、松田宣浩などタレント性のある中軸に目が行きがちだが、固いディフェンス力からリズムを作り、勝ちを積み重ねていった面を見逃してはならない。

1991年の西武は清原の不調などもあり、規定打席に到達した3割打者は不在だった。しかしながら、守備の固さから勝ちを拾っていたわけである。ソフトバンクも2017年のシーズンから3年連続で日本一に輝いている。

こうした過去の例を参考にしてみると、今年の巨人がこのまま順調にリーグ優勝して日本一に輝くためには、ディフェンス力の低下を食い止める必要があるだろう。「無駄な失点」を与えない強さは王者に必須のものだが、ここ1ヶ月の巨人軍は守備の乱れから得点を与える場面が多々見られるため、短期決戦では致命傷になりかねない。


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