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ゴジキが振り返る2021年春のセンバツ(前編)

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)。高校野球マニアというもうひとつの顔を持ちます。
東海大相模の優勝で幕を閉じた春のセンバツの、大会全体のトレンドや注目選手の活躍を振り返ります。

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「高校野球」「甲子園」のコンテンツ力が再確認できた大会

2年ぶりに開催された甲子園大会は、抽選の時点で注目度が高かった。昨年は新型コロナウイルスの影響で春夏連続で大会中止となったが、世間における衝撃度、話題性は他の競技と比較しても一目瞭然だった。

個人的には大会開催に向けて動いてほしいと思っており、そうした発言を繰り返していたが、当時はマイノリティな意見だったこともあり反発もされた。しかし、結局のところプロ野球や大学野球も延期もありながら公式戦が開催されていった状況を見ると、高校野球も従来の大会のように開催できただろう。緊急事態宣言が誰にも慣れないことで難しい判断だったのは理解できるが、選手たちは学生であり、一生に一度の機会だ。高校野球に限らずインターハイなども中止になり、学生の大きな目標をすぐさま無くしてしまったことには反省が必要だ。今後二度とあってはならない。

また、インターハイ中止後に「高校野球は特別扱いだ」と反発が起きたが、甲子園大会の開催が協議されていた時期のみであり、独自大会や交流試合といった代替となる大会や試合に対する反発は少なかった。日本人特有の、マイノリティな取り組みに対して風当たりを強くする、同調圧力の悪い部分が顕著に出たのではないだろうか。日本のスポーツの主役である「野球」が、いかに早く大会を開催するかどうかが、スポーツ界全体の鍵だったと言える。

今年もセンバツの開催前に緊急事態宣言が発令されたが、怯むことなく大会を開催したことによって、プロ野球も難なく開幕する運びとなった。プロ・アマ問わず野球界が率先して動いていくことによって、他のスポーツにより良い影響を与えていったと考えられる。今後も、野球界は自らのコンテンツ力に自覚的になり、さまざまな難しい状況下でもスポーツ界を引っ張ることを考えたふるまいに期待したい。

東海大相模対明豊の決勝は終盤まで縺れる展開に

さて、2年ぶりに開催されたセンバツだが、記憶に新しい決勝カードの東海大相模対明豊から振り返りたい。

明豊は大会通じて無失策を記録するなど、チーム史上最弱と評されていた中で決勝まで登り詰めた。特筆すべきはその勝ち上がり方である。大会ナンバーワン投手の小園健太を擁する市和歌山や、近畿大会の王者でもあり大阪桐蔭を初戦で下した智辯学園、優勝候補の中京大中京などを倒しての決勝進出であった。今大会は打低の傾向にあり、ディフェンス力を固めた明豊のようなチームは効率的に勝ち上がれるチームだったと言える。大会5日目の第1試合までホームランが出ず、最終的には24試合で6本だけという大会全体の長打不足も追い風になっただろう。

一方の東海大相模は、エースの石田隼都が準々決勝以降から先発として躍動。大会通して好投を見せ、準決勝までの段階で26イニングを投げて43奪三振を記録した上で、K/BBは43.00と圧巻の成績を残している。特に、優勝候補でもあった天理戦では15奪三振を記録して完封を成し遂げた。

決勝は初回に明豊が先制したが、東海大相模もすぐさま追いつき、両者が固いディフェンス力を活かしながら、接戦が繰り広げられた。中盤以降も1点ずつ取り合い、2対2の同点で迎えた6回、東海大相模は2アウト一塁二塁のピンチとなった場面で、今大会無失点の石田がリリーフでマウンドに。するとこのピンチを潜り抜け、最終的にはサヨナラ勝ちまで流れを引き寄せる投球を見せた。

東海大相模はキャプテンの大塚瑠晏が大会中に急遽入院となるなどのアクシデントがありながらも、石田を中心とした全員野球で優勝を飾った。門馬敬治監督の懸念材料でもあった継投策がハマったことも、チームに流れを引き寄せる一助となった。東海大相模は夏に向けてさらに厳しいマークを受けると思われるが、成長した姿でまた甲子園に戻ってきてほしい。

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