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2020年代初の日本一へ ゴジキが巨人目線で語る日本シリーズの展望(後編)

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を徹底分析。
昨日に続いての、日本シリーズ開幕直前特集!圧倒的な戦力を誇るソフトバンクホークスに対して、昨年屈辱の4連敗を喫したジャイアンツはどのように戦えばよいのでしょうか?起用法や戦術を含め、幅広くポイントを探ります。

(4)昨年のシリーズで不発だった坂本勇人、丸佳浩は雪辱を果たせるか?

日本一奪還に向けて、坂本と丸の経験や調子がシリーズを通しての鍵になることは間違いないだろう。
過去の日本シリーズに坂本は5回、丸は4回出場している。特に坂本の場合は、日本一に輝いた2012年のシリーズでは高い打撃成績を残している。
シーズンを見ても、坂本と丸が復調した時期は、チーム自体の調子もピークに達しており、投打のバランスも一番良い状態で、他球団を圧倒していた。

今シーズン、数々の修羅場を潜り抜けてきた巨人。シーズン序盤は、坂本と丸が不調ながらも、屈指のディフェンス力や救援陣で守りきり、リーグトップの得点圏打率を駆使して勝利を積み重ねていった。しかし、日本シリーズでソフトバンク相手に実力以上の戦いをしていくには、やはり坂本や丸といった、チームを支えてきたコア選手の活躍が最低条件になる。

坂本は、昨年の交流戦優勝を占う試合でもあったソフトバンク戦や日本シリーズでは、不調の時期だったこともあり悔しい結果に終わっている。シリーズでの奮起に期待したい。 坂本・丸の両選手が互いに活躍することによってチーム全体の士気が大きく高まり、勝利に近づくことができる。

(5)チームを支えてきた投手陣とディフェンス力は復活するのか?

次に注目したいのは、投手起用と、投手陣を中心としたディフェンス力だ。

1戦目はエースである菅野智之、2戦目は戸郷翔征に先発させ、その2人を中心にローテを回していくことが予想される。両投手のできは、もう一度「ピーキング」できるかどうかにかかっている。彼らがシーズン中盤までに見せてきたピッチングを取り戻せたら、ソフトバンク相手でも渡り合える可能性は高いからだ。
シーズン中盤以降はピークが過ぎ去り、投球内容も徐々に落ちてきたため、優勝決後は調整の意味合いを込めた登板が多かった。満を持した日本シリーズでどれだけのパフォーマンスを残せるか注目だ。

本来ならば5回まで試合を作れて、昨年のポストシーズンでも好投を見せたC.C.メルセデスの不在が痛い。長いイニング投げるスタミナには不安材料があるものの、スロースターターではなく、5回までゲームメイクする能力には長けており、シーズンより比較的早い段階から救援陣を注ぎ込むことができる短期決戦に向いてるタイプだ。特に、昨年の日本シリーズでは先発投手の中で最も良い投球をしたと言っても過言ではない。こうした先発陣の状況を考えると、少なくとも菅野と戸郷のどちらかでは必ず勝ちたいところである。

畠世周も9月以降は好投しているため、2枚に次ぐ投手として期待される。またメルセデスより若干劣る部分こそあるが、5回まで試合を作れていた今村やローテーションを守っていたサンチェス、シーズン終盤に復帰した高橋優貴も先発として計算されているかもしれない。この短期決戦でショートスターターなどの起用法があるかどうかにも注目だ。

その他の懸念材料を言うならば、救援陣の起用法だ。シーズン終盤にかけて中川皓太や大竹寛が離脱をして、田口麗斗が中継ぎに回ったもののイマイチ状態は上がってきていない。加えて高梨雄平や大江竜聖もシーズン終盤にかけて状態が下がっていたことから、シリーズに向けて調子が戻っているか気になるところだ。

シーズン終盤に崩れてしまっていた、チームとしての武器でもあったディフェンス力も懸念材料である。慣れ親しんだ東京ドームで開催されない点も含め、スムーズな守備が保てるかも着目したい。

(6)シリーズ全体の「流れ」を引き寄せられるか?

最後に、シリーズを通した戦術面を考える。昨年のように、シリーズ序盤の段階で流れを持っていかれないことが重要である。

原政権は6度日本シリーズに出場しているが、初戦で勝利したことは4度(2002年、2009年、2012年、2013年)あり、そのうち3度日本一に輝いている。さらに、2002年と2012年は2戦目も勝利しており、シリーズ序盤の大切さは目に見えて明らかだ。実際昨年も、初戦に力負けをして、2戦目に競り合いに敗れ、一気に4タテを食らう形になった。

当たり前のことだが、短期決戦において初戦で勝つことは大きなアドバンテージになる。それに紐付けて考えると、1試合単位でも同様のことが言える。すなわち、先制点を許した後、いかに早い段階で追いつけるかである。

特に原巨人の場合、日本一になった年は初戦で先制した勢いのまま逃げ切って勝利、その後日本一になっている。
昨年のシリーズのように序盤の段階で流れを持って行かれて状況が大きく傾いてしまうと、すぐに終戦ムードとなってしまかねない。シーズン序盤に見せてきた原監督特有の「勝負勘」から、積極的に巧みな試合運びをしていくことも、シリーズの流れを掴んで対等に戦い、日本一になるためには必要になっていくだろう。


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