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交際クラブで結婚まで!? 新たな出会いの形と「モテるおじさん」「好かれる女性」|辛酸なめ子 ♯13

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愛人マッチングサービスにスカウトされる?

ついに眞子様と小室さん年内結婚のニュースが報じられましたが、いっぽうで小室さんのお母さんの新たな不正受給疑惑が浮上。3年ほど前、適応障害を理由に洋菓子店を長期欠勤して療養中に傷病手当を受給していたそうですが、その間、軽井沢のレストランでアルバイトしていたらしく、傷病手当の不正受給疑惑がささやかれています。

以前にも遺族年金不正受給疑惑があり、最近も勤務先の洋菓子店の更衣室で靴をはきかえる時にアキレス腱を痛めたと言って労災を申請していました。小室さんのお母さんの金策というか受給テクニックは一般人にはまねできないレベルです……。

この4年間、小室さん問題に勝手に翻弄されて心身が疲れ果てました。もう異次元の人たちだと思って、精神的にも距離を置きたいです。

以前、小室さんのお母さんの件を絡めて「頂き女子」について原稿を執筆したのですが(↓)、

そのあと、珍しいご依頼のメールが転送されてきました。「ユニバースグループは安全な会員制の枠組みの中で愛人マッチングサービスをご提供する完全に合法な交際クラブです」という出だしに一瞬スカウトされたのかとドキッとしましたが、続けて読むと、その交際クラブのサイトにコラムを寄稿してほしい、という内容でした。

「交際クラブ」とは、紀州のドン・ファンのニュースでその存在を知ったくらいで不勉強だったのですが、会員制で身元がしっかりした男女の出会いをセッティングしてくれるサービスのようです。このクラブの場合、女性は約7000人、男性は約4000人も登録していて規模が大きいです。

しかし依頼いただいたコラムのコーナーを試しに見てみたら、

「混浴温泉で露出プレイをした話」
「ナンパしたカナダ人の美女と一戦交えた話」
「隠れた性感帯の開発」
「男性を四つん這いにさせてマッサージするテク」

といった刺激的な内容のコラムが……。

とても私の経験値では何も書けないと申し上げて、かわりに交際クラブについてお話を伺わせていただくことになりました。マッチングアプリでもSNSでもない出会いの形が興味深いです。コロナ禍で新しい友人や知り合いを作りにくい今、需要が高そうなサービスです。

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おじさんたちのピュアな動機

オンラインでユニバース倶楽部の女性社員、間宮さんにお伺いしました。

まず、どんな男性が登録しているのか伺うと……

「40〜50代がメインで富裕層の方中心ですね。経営者の方だったり役員をされていたり、お医者さん、ITの若い社長さんもいらっしゃいます」

きっと同年代ですが彼らの対象は同年代の女性ではないんでしょうね……(女性会員は10代〜50代までいるそうです)。

入会の動機はというと「男性はもう一度恋をしたい感じですかね」と、間宮さん。

「体の目的ももちろんあるんですけど、風俗や水商売で経験できないことをしたい、素人の女性に会いたい、と希望している方が多いです」

そういえば私の友人の顔が広い女性も、昔「1億円あげるから素人の女性と出会える秘密クラブを作ってほしい」と実業家男性に依頼されて断ったと言っていました。いつの時代もおじさんたちは素人女性と恋がしたいんですね。

「家庭が落ち着いて時間と経済に余裕ができると、もう一度青春したいという男性がいらっしゃいます。家庭は冷えきっていたり、奥様とは夜の関係が一切なくて、もう一度ドキドキしたい。恋愛の先にセックスしたいっていう思いがあるようです。めちゃめちゃピュアなんです」

ピュアな瞳の奥にギラギラした情欲の炎が見えそうです……。

現実的でドライな女性たち

交際クラブでセッティングするのは初回のデートまでで、その先は体の関係(「大人」と表現される)が持てるかどうかの駆け引きがあるようです。おじさんは恋愛したい思いをたぎらせていますが、女性は現実的でドライだとか。

「女性のほうがお金目的とか多いので、面倒くさいのは避けたい。女性はそこまで恋愛したくないのでそこで男女のすれちがいが生じてしまいます」

ちょっと切ないですが、男性側も基本は遊びで、家庭を壊したくないので、ガチ恋愛にならない距離感が最適なのでしょう。男女とも仮名のクラブネームで登録しているのでプライベートがバレる心配もほとんどないようです。

男性は恋愛プレイで若返られる、女性はパパ活でお金をもらって生活の足しにできる、と需要と供給が合っています。ただ貪欲になりすぎると稀に紀州のドン・ファンのような事件に発展することも……。

「交際クラブに登録する女性は、お金のない同世代の男性と付き合うより、お金を持ってて楽しい思いをさせてくれる男性と付き合いたい、という人も多いです」

とのことなので、ちょっと高級感を味わうくらいで満足しておくのが良さそうです。20代女性の登録が一番多く、奨学金を返済したいという目的の人や、一人暮らししたいので家賃を稼ぎたい、といった目的が多いそうで、建前かもしれませんが意外とまじめな印象です。

女性会員はStandard、Gold、Platinum、Blackとグレードにわけられていて、女性側には非公表。Standardだとふつうの女性で、グレードが上がるとだんだんきれいになっていったり、希少価値のある方になります。グレードによって紹介料が2万〜10万円と変動。さらにその上の特別なグレードになる、アナウンサーの女性が登録したら、信頼できるお客さんだけに情報が伝えられるそうです。

とにかく「黒髪で清楚で知的な美人の女子アナ系が一番人気」と間宮さんはおっしゃいます。

ちなみに出会い系アプリとの大きな違いは、アプリだと顔写真は加工できますが、交際クラブの写真や動画は加工なしだそうで、会った時のギャップが少ないのが利点だとか。若い女性は抵抗ありそうですが……。

女性が選べる5つのタイプ

女性側はお付き合いの仕方について5つのタイプから選んで登録することができます。

交際タイプA【お食事デート】
「基本的にお茶やお食事のデートを希望します。肉体関係を含む交際は希望しません」とのことで、どんなにいい人でも「大人」に発展しないようです。
交際タイプB【2回目以降】
「2回目以降のデートでお互いのフィーリングが合えば、交際に発展する可能性があります」
交際タイプC【フィーリング次第】
「初日からお互いのフィーリングが合えば、交際に発展する可能性があります」
交際タイプD【積極的】
「初日からスマートにお誘い頂ければ、交際に発展する可能性があります」
交際タイプE【交通費不要】
「出会いのチャンスを優先したいので、お食事デートでの交通費はいただきません」

女性側が野心的に人脈を広げたい時に活用する枠でしょうか。友だちやビジネス関係など人脈が広がります。

このように5タイプにわかれていてプロフィールにも表示されます。男性のオファーが多いのはBCD。男性もピュアと言いながらもやはり目的意識はしっかりしていて、最初から発展の可能性がないとオファーしづらいようです。交際クラブでは基本女性は受け身で「オファーコントロール」ができないのがネック。オファーが減ったら別の交際クラブに登録する女性も結構いるとか。

お手当は、初回のデートは交通費として5000円〜1万円を渡す決まりになっていて、2回目以降は交際クラブはノータッチだとか。匿名質問箱のコーナーで調べたら、相場は食事だけの場合は交通費程度、「大人」の場合は5万円くらいだそうです。

初対面の男性と1時間サシで会って5000円……安いのか高いのかわかりません。だんだん話を聞いていたら「大人」という表現が刷り込まれて実生活でも使ってしまいそうです。ちなみに今までに数組ほど、交際クラブでの出会いがきっかけで結婚に至った男女がいたとか。

「大人」「お手当」の関係が結婚という形式に移行……。出会いの方法の一つとしてはありかもしれません。

モテるおじさんのタイプ

実生活でも役に立つかもしれないので、男性、女性、それぞれどういった人が好かれるのか伺ってみました。まずはモテるおじさんについて……。

「一番は羽振りがいいこと。優しい方や紳士的な方がいいって皆さんおっしゃいますね。強引なお誘いは嫌われます。同世代にない落ち着きがあって、女性をエスコートしてくれる方。経験を自慢するんじゃなくて、知らなかった知識を教えてくれる方がいいですね」

交際クラブに登録している男性は結構同世代(団塊ジュニア世代)だと思いますが「同世代にない落ち着きがあって、女性をエスコートしてくれる方」って、そんな人に実生活でなかなか見かけないような……。

恋愛のターゲットじゃないので紳士モードを見せてくれていないだけかもしれません。今まで大変な思いをしてきた団塊ジュニア世代も「交際クラブ」でつかの間の青春を楽しんでいると思うと、お疲れさま、とねぎらいたくなります。

好かれる女性のタイプ

そして好かれる女性はというと……

「面接させていただくときは、受け答えがしっかりしていて、食事中スマホを触ったり男性がいやがる行為がしないかチェックさせていただいています。おじさんも人を見る目がありますから、人としてちゃんと向き合ってるっていうのをある程度出さないと。完全にお金目的だと割り切られると萎えてしまいます。プライバシーは教えないにしても、ある程度心を開くのが大切です」

と、間宮さん。匿名質問箱を見ていたら、女性からの感謝を表す「ビジネスハグ」というワードも出てきました。多少演技が入っても、相手への信頼と尊敬を持つのが基本ですね。今から女子アナタイプになるのはムリでも、相手と向き合うというのならできそうです。

もしうまくいかなくても、男女とも他に数人会っている人がいたりするので「次にいこう」と落ち込まないで前に進めるのも交際クラブのいいところだそうです。恋愛にハマって落ち込みがちな人は、ひとり脳内交際クラブのつもりで、執着しないマインドでいると楽になれます。

今月の教訓

自分の知らないところで、交際クラブで回っている経済。おじさんたちが恋愛をエネルギー源にして仕事に励むことで日本経済も上向きに……?

著者プロフィール

辛酸なめ子(しんさん なめこ)
1974年東京都生まれ、埼玉県育ち。 漫画家、コラムニスト。女子学院中学校・高等学校を経て、武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。恋愛からアイドル・スピリチュアルまで幅広く執筆。著書に『大人のコミュニケーション術』『新・人間関係のルール』(光文社新書)、『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎文庫)、『霊道紀行』(角川文庫)、『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、最新刊に『女子校礼讃』(中公新書ラクレ)がある。

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