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日本シリーズ2年連続4連敗の一因は「セリーグへの環境最適化」。巨人がパリーグを攻略するための糸口は?

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
日本シリーズでの巨人とソフトバンクとのあまりの差に「セ・パ格差」が再び叫ばれています。巨人が2年連続4連敗を喫した要因を、より広い見地から探っていきます。

対セリーグに最適化されすぎた丸や岡本

巨人軍のシーズンと日本シリーズの戦い方を振り返り、指摘したいことが一つある。「セリーグ相手に勝てる戦い方」の型にはまりすぎた、という点だ。個別の選手をあげるとするならば、広島と巨人の2チームを通してセリーグ5連覇を果たした丸佳浩と、今シーズン本塁打王と打点王の二冠に輝いた岡本和真がまさにその典型例だ。

丸に関しては、ソフトバンク側が短期決戦において彼を抑える方法をマスターしているようにすら見えた。実際、昨シーズンの交流戦のソフトバンク戦では打率.462を記録した丸だが、2018年からの日本シリーズにおける成績は下記の通りである。

丸佳浩対ソフトバンクの日本シリーズ成績
2018年:打率.160 1本塁打 3打点 OPS.545
2019年:打率.077 0本塁打 1打点 OPS.404
2020年:打率.133 0本塁打 0打点 OPS.321

過去3年の日本シリーズを通して、打率2割にも満たない結果に抑えている。おそらく、丸も以前の打撃スタイル(2014〜2017年)ならある程度対応できる力はあったが、2018年に完全にパワーフォルム型へと変化して以降、凝り固まった感は否めない。その状態で、セリーグでは少ないタイプの、水準以上の速球や「スラット・スプリット型」の変化球を擁する投手には、手も足も出ない状態だ。丸がもうワンランク上の選手になるには、苦手である落ちる球を軸とする「スラット・スプリット型」の投手への対応力が必要とされる。

岡本和真も、セリーグの環境に最適化されすぎた可能性がある。オープン戦から開幕当初の調子は良く、「4番らしさ」のようなものも感じられた。
しかし、シーズンの序盤以降は、水準以上の速球に対して手も足も出ない状況が多々見られた。丸と同様に岡本も、キャリアで唯一3割を残した2018年のような打撃の柔らかさは陰を潜めており、半速球や緩い球を長打する打席が多い。「4番打者」として、四球ではなく打点を狙っていくのはもちろんのこと、2016年〜2017年あたりの内川聖一や谷佳知のようなフォームから繰り出されていた柔らかさも必要だ。今後は、パワーと柔らかさのバランスを両立させることが、ワンランク上の選手にたどりつくための鍵になるだろう。

昨年の攻撃陣+aで「ようやく戦える」レベル

現在の戦力でリーグ優勝まではできたものの、日本シリーズでは完全な力負け。皆が考える通り、巨人は戦力の底上げが不可欠である。

昨年の開幕当初の構想であった1番吉川尚輝、2番坂本、3番丸、4番岡本、5番亀井の並びに、プラスαとして下位打線に阿部慎之助はもちろんのこと、アレックス・ゲレーロのような長打が見込める打者や、ベンチ外だった陽岱鋼といった長打力のある選手を駆使して、ソフトバンクとの日本シリーズでは「ようやく戦える」ラインだろう。上位コアの並びや巡り合わせの良さはもちろんのこと、昨年の巨人が球界屈指クラスの好投手とマッチアップした接戦では、坂本や丸だけでなく岡本、ゲレーロ、陽岱鋼などの長打力がある選手の一発で勝利した試合が多々あったことを鑑みても、(コアがそろっている上で)下位打線の厚みは必要不可欠だ。

2年連続4タテという結果が示す通り、昨年も今年もソフトバンク投手陣の前になすすべのない状態だった。その中でも昨年と比較した時、打線の分厚さや打順の替え時、その他の起用法などを含め、巨人は昨年の方がまだ上だったようにも見える。

痛手だった「短期決戦」向きのメルセデスの離脱

投手陣に目を向けると、試合中盤まで安定して馬力のある投球ができるC.Cメルセデスが不在だったのは大きな痛手だった。実際、メルセデスは昨年のポストシーズンでシーズンの成績以上の活躍を見せていた。長いイニングを投げるスタミナには不安材料があるものの、スロースターターではないので、5回までのゲームメイク能力は巨人の先発陣の中では抜けている。シーズンよりも比較的早い段階から救援陣を注ぎ込める短期決戦に向いたタイプだ。

メルセデスの2019年ポストシーズン成績
阪神戦     7回 6奪三振 被安打3 防御率0.00
ソフトバンク戦 6回 3奪三振 被安打1 防御率0.00

上記の成績でも明らかだが、昨年のポストシーズンでは短期決戦の強さを発揮した。昨年、エースの座にいた山口俊と比較しても、同等あるいはそれ以上のパフォーマンスを残したと言える。今年、メルセデスの役割を代わりに任された今村信貴は、球威不足が露呈して初回からソフトバンク打線に捕まり、2回を持たずにKOされた。

今年の投手陣を見ると、「9月中旬まで披露していた良好なコンディション」という前提にはなるが、菅野智之や戸郷翔征を軸にローテを回していき、メルセデスといった5回までゲームメイク力のある投手を3番手に置くのが理想だったに違いない。それらの試合で盤石なブルペン陣をフル回転させることができたら、2勝ぐらいは計算できた可能性もあるだろう。

リーグ別で見てもパリーグが2013年から連続して日本一に輝いており、セ・パの実力差は歴然である。このような事態だからこそ、巨人だけではなくセリーグ全体の課題という危機感をある程度持ち、実力差を一歩ずつ縮めていかなければならない。


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