【リレーエッセイ】「煮卵」「バッタ」「美意識」などヒット作連発の年を振り返り、元・販売担当者は何を思う
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【リレーエッセイ】「煮卵」「バッタ」「美意識」などヒット作連発の年を振り返り、元・販売担当者は何を思う

こんにちは。編集部の高橋です。前回に引き続き、アランちゃん15歳(2016年10月~2017年9月)も私が担当いたします。
前の記事では「とある理由」のためと書きましたが、私がこの時期、書籍販売部で新書の販売担当をしていたからです。

販売担当は何をしているのか

詳しく説明すると、出版社ではファッション誌や週刊誌、書籍の中でも翻訳や実用書に新書など色々な出版物が日々発売され、ジャンルも多岐に分かれています。それぞれで当然、初版部数や発売日も違えば読者の属性も異なりますし、仕事の流れもけっこう変わってきます。そのため(光文社の場合は)、基本的には編集部ごとに担当が分かれているわけです。私は書籍販売部という部署でしばらく文芸書を担当していましたが、その後配置転換があり、17年1月から新書の担当になりました。

そしてこの年、光文社新書は数々のヒット作に恵まれました!私が「持っていた」わけですね。すいません嘘です。実際は、ヒット作のどれもがそりゃあ売れるだろう(むしろもっと売れていいだろう)という納得の面白さでした。売り上げ上位の書目は下のほうに掲載していますが、ヒット作をいくつか取り上げればご存知の方も多いかと思いますので、そちらからいきます。

アランちゃん15歳の一冊 『世界一美味しい煮卵の作り方』

コードネーム「煮卵」。29万部のヒット作です(2021年9月現在)。先ほど述べたように私が新書の担当になったのは2017年の1月だったので、その直後に出た本になります。したがって、業務の引き継ぎをしている内に気付いたら売れていたような感覚です。ただ、担当に関係なく販売にかかわる人が全員出席する部数決めの会議にて、書店営業をしている同僚たちからの評価が非常に高かったことを覚えています。あとは普段新書なぞ全く読まない母親が珍しく「あんたのところから出てる煮卵の本、欲しい」と言ってきました。

しかしまあ、表紙のインパクトが抜群ですね。光文社新書ではこうした、通常の白/グレーとは異なる「オリジナルカバー」の本が他にもいくつか出ています。

語弊があるかもしれませんが、「レシピ本」にこんなの載ってていいの!?これも料理なの!?と思わず笑ってしまう(褒めてます)、その割には写真も含めてしっかり美味しそうなところがヒットの理由なのでしょう。私は自炊が嫌いでもっぱら外食派なのですが、この本のレシピは試すのに抵抗がありませんでした。料理の敷居を下げてくれた一冊でもあります。

余談ですがこの本を編集した樋口さん(現・ノンフィクション編集部編集長)はその後、『自炊力』というその名の通りの本を担当されています。これもなかなか面白いです。さらに余談ですが、その後新書編集部へ異動してきた私に、手取り足取り編集のイロハを叩き込んでいただきました。

アランちゃん15歳のもう一冊 『バッタを倒しにアフリカへ』

コードネーム「バッタ」。こちらも21万部のベストセラーです(2021年9月現在)。本書は5月発売なので、ゲラの段階で私も見ていました。よく「みんなが褒めるところからヒットは生まれない」と言われますが、この本はその真逆。会議資料に載っている時点で「これは売れるんじゃないか…?」と(一部で)目されていたのです。そしてこの表紙と著者名に、実直すぎる中身。売れないわけがなくないですか?(笑)

初版はほかの新書と同じでしたが、初速の好調を見て重版をしまくりました。「これを売らないと他に売れる本はないです」と断言し、もはや周囲をだまくらかす勢いです。その後は各種メディアに出演されるだけでなく、毎日出版文化賞や新書大賞第1位を受賞しました。特に新書大賞は光文社新書が1位を獲るのは初めてだったので、担当編集の三宅さんの喜びもひとしおだったのではないでしょうか。編集秘話が朝日新聞に掲載されています。

そんな「バッタ」ですが、実はTシャツにもなっています。下記から購入できますのでぜひ!他にも「アランちゃん」「さおだけ屋」バージョンがございます。

あの時私が何を想っていたのか、今はもう定かではありません。

アランちゃん15歳のさらにもう一冊 『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』

コードネーム「美意識」。こちらも(電子版含め)20万部超のヒットに。発売前のゲラを読めたことは秘かな自慢です。原稿があまりにも面白くて、三宅さん(これも三宅さん担当なのです)に「めちゃくちゃ面白いです」と安直なメールを送ったことを覚えています。

ちなみにこの本は「煮卵」「バッタ」と比較すると、初速でドカンと売れるというよりは口コミで徐々に広がり、ロングセラー書目になっています。また余談ですが、本書の中で批判されている日本の某メガベンチャーに私は就活でお祈りされていたので「あんなところ、落ちてよかったんだ!」と自分を納得させました(笑)

アランちゃん15歳の売り上げ上位トップ10

この年は上にあげた3冊以外にも話題作が集まりました。ランキング(2016年10月~2017年9月)を見てみましょう。

『世界一美味しい煮卵の作り方』はらぺこグリズリー
『バッタを倒しにアフリカへ』前野ウルド浩太郎
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』山口周
『すべての教育は「洗脳」である』堀江貴文
『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』伊藤公一朗
『愛着障害の克服』岡田尊司
『視力を失わない生き方』深作秀春
『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』藤川徳美
『古市くん、社会学を学び直しなさい!!』古市憲寿
『ケトン食ががんを消す』古川健司
(累計部数上位順)

ホリエモンにサントリー学芸賞を受賞したロングセラー(『データ分析の力』)、読者からの問い合わせが今でも届く『視力を失わない生き方』、古市さんの人気連載(『古市くん、~』)などが並びます。毎年これくらい売れたらいいのに!!

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