クライマックスシリーズ阪神戦の振り返り&ヤクルト戦の予想
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クライマックスシリーズ阪神戦の振り返り&ヤクルト戦の予想

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
レギュラーシーズンを3位で終えた巨人ですが、クライマックスシリーズのファーストステージでは敵地・甲子園で阪神を相手に4-0、4-2と2連勝。ヤクルトが待つファイナルステージへと駒を進めました。勝利の要因と、ヤクルト戦の展開を考察します。

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原巨人の百戦錬磨ぶりが光るシリーズに

阪神とはレギュラーシーズンでは11ゲームの差があったものの、クライマックスシリーズでは2連勝で勝ち抜けを決めた。シーズンで負け越している相手な上に主軸の岡本和真は不在だったが、丸佳浩・ゼラス・ウィーラーの復調がキーポイントとなった。

阪神側からすると、同じく2位となったもののファーストステージで巨人相手に2連敗で敗退した2010年の悪夢を思い出したのではないだろうか。矢野燿大監督の直近の采配や戦い方を見ても、シリーズ初戦で大山悠輔や佐藤輝明を外して完封負けを喫したように、浮き足立つ様子や焦りの垣間見られる場面が多々あった。まだキャリアが浅いから仕方ないとはいえ、原監督との経験値の違いを含め、「勝負師」としての差が生じているのではないだろうか。選手時代(2008年)に逆転優勝を許している点も見逃せない。

原巨人はシーズン終盤の失速もあり「背水の陣」で挑んだ中、エース菅野智之が復調。阪神キラーである高橋優貴が打ち込まれた後の対応などにもしっかりと戦略性が見られた。また、岡本や大江竜聖といったレギュラーシーズンを支えた選手が不在の中で、ほぼ磐石の戦力だった阪神と互角以上に渡り合えていたのは良い傾向である。ファイナルステージでは1勝のアドバンテージを許しているとはいえ、監督を含め「百戦錬磨」ぶりを発揮してヤクルトを追い込むことは十分に可能である。

「エース」の責務を魅せた菅野智之

このシリーズを語る上で欠かせないのは、何といっても初戦先発の菅野だろう。怪我等で4度もの離脱があり、キャリアの中でも最も苦しいシーズンとなっていたが、大一番で会心の投球を披露した。

菅野はこれまでのキャリアの中でも、怪我や故障で離脱があった際にも二桁勝利を記録したりタイトルを獲得するなど、必ずチームに何かプラスをもたらしてきた。とはいえ今シーズンの前半戦時点では、ストレートの球速がイマイチ伸びきらず、状態は過去最悪に近かった。東京五輪の代表選手に選出されていたが、それもコンディション不良のため辞退。2017年WBCでは準決勝のアメリカ戦でキャリア最高とも言えるピッチングを見せた上で惜敗しており、東京五輪に賭ける気持ちも本当は強かっただろう。その国際大会を辞退してまで調整に努めた結果、復帰後は投げているボール自体に、離脱前より強度があった。

そしてこのシリーズの初戦では、9月25日に投げ合って完封負けをした高橋遥人と再戦。かつては沢村賞を2年連続で獲得した""スガコバ""こと小林誠司とのバッテリーは、阿吽の呼吸で阪神打線を徹底的に抑えた。この試合の菅野はストレートの走りも良く、スラッターもバランスに秀でていた。まさに「エースとしての責務」を感じられるようなピッチングを見せた。

相変わらず捕手としてのレベルは高い小林誠司

また、この日バッテリーを組んだ小林誠司も実力を発揮した。今シーズンは大城の台頭などもありスタメンマスクとしての出番は少なかった小林だが、巨人軍が勝っていくには欠かせない存在であることを再び証明した。リード・フレーミング・スローイング・ブロッキングなどの総合的な守備力は、チーム内では間違いなくずば抜けており、現在の球界を見渡してもトップクラスといっても過言ではない。

スタメンマスクを被ることが多い大城は、昨シーズンと比較するとあまりパフォーマンスは高いとはいえない。特に、守備面は盗塁阻止率こそキャリアで最も高いものの、リードの面では裏目に出ている場面が多々見られる。さらに、数字上には表れないミスも徐々に増えていた。
その中で、小林の場合はミスが許されない短期決戦におけるリードが光った。さらに、阪神のマルテの盗塁を読んだ上で、悠々と阻止。いかに「ミスをしないか」が求められる短期決戦では、小林のディフェンス力は必要不可欠であることが明確になったシリーズでもあった。

高橋優貴が打ち込まれた後の継投策

阪神と相性が抜群に良く、この連載でも期待をしていた高橋優貴が2戦目に先発。通常時よりも球速が出ており調子は良かったが、大城とのバッテリーはなかなか上手くいかず打ち込まれてしまい、まさかの2回持たずでマウンドを降りた。

一戦必勝の戦いではいかに高橋のレギュラーシーズンでの数字が良かろうが、これは仕方ない。前回も述べた、いい意味で型にハマらない継投策を展開できたと言える。高橋以降は7人の投手を起用して、逆転勝利に結びつけた。短期決戦だからこそハマった継投策だろう。

もちろん勝利自体は素晴らしいが、高梨雄平がシーズン後半の不調から抜け出せないままだったのは今後の懸念材料である。また、守護神のチアゴ・ビエイラも前半戦のような勢いは影を潜めており、シーズン中の不要な酷使が大きく影響していたことは否めない。これも前回からの繰り返しになるが、仮にポストシーズンで継投策がハマったとしても、レギュラーシーズンにおける選手の起用法や運用における評価が覆ることはない。投手運用のマネジメントには、長期的な目線と短期的な目線のバランスが問われるのだ。

随所に見られた丸佳浩の「野球脳」

攻撃面で重要な役割を果たしたのが丸佳浩だ。まさに「プロフェッショナル」と呼べるプレーを見せてくれた。丸は広島時代から話題にもなっていた「丸ノート」に象徴されるように、野球脳に優れた選手としても名高い。毎年高いレベルの成績を残す、完成度が高い丸特有の「読み打ち」はこうした試行錯誤によって成り立っているのだろう。

レギュラーシーズンではまさかの2軍落ちなども経験したが、このシリーズでは打率.500と、岡本の穴を埋める活躍を見せた。2戦目では逆転となるタイムリーはもちろんだが、2年前のCSを彷彿とさせるセーフティバントも決めた。相手の心理状態なども見越した上でのプレーだったように思う。これほどハイレベルな選手なのだから、今後も大事に起用していってほしい。

ただ、シリーズ開幕前にも述べた課題点である「長打力によるカバー」は解消されなかった。岡本不在の影響もあり、今後もシーズン中にはなかなか見られなかった「繋がり」で得点するしかなさそうだ。そのためには当然ながらまず坂本の復調に期待したいところだが、好調の丸やウィーラーが引き続き打線を引っ張っていけるかも鍵になる。松原聖弥や吉川尚輝などは本来の結果を残せているので、調子をキープしていってほしい。レギュラーシーズンはまさかの失墜を見せたものの、さすがにリーグを連覇してきただけの地力はある。

ファイナルステージ・ヤクルト戦の対策は?

小林の項でも書いたが、短期決戦の場合はいかに「ミスをしないか」が重要である。その点では守備のミスがダントツで少なく、短期決戦に慣れている巨人の方が、ヤクルトからしたら厄介な相手だと言える。

ヤクルトは先発陣で計算できる投手が奥川恭伸や高橋奎二、原樹理といった若手組がメインになるので、良くも悪くも流れがどう傾くか読めない。野手陣では、勢いづきやすいタイプの塩見泰隆をいかに乗らせないかも重要だ。ファイナルステージでヤクルトと戦うのは2015年以来になるが、その年と比較すれば、ヤクルトは盤石とは言いがたい部分も多い。ただし山田哲人・村上宗隆の中軸は東京五輪などを含め短期決戦への慣れもあるから、ある程度は打たれる覚悟で攻めていくべきだろう。

巨人から見て厄介なのは、代打枠の川端慎吾はもちろんのこと、内川聖一が一軍に合流したことだ。これによってヤクルトは左右の代打が揃った。さらに、勝利の味を知るベテラン2選手をベンチに置けることは短期決戦においては大きい。青木宣親だけでは埋められない要素であり、ヤクルトにとっては貴重だ。

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