定年後の「地域コミュニティは伏魔殿」!?(大江英樹著『定年前、しなくていい5つのこと』から一部を公開)
こんにちは。
光文社新書の新刊『定年前、しなくていい5つのこと』。
発売直後から多くの方に読んでいただいているようです✨
著者は人気経済コラムニストの大江英樹さん。
定年から8年経過した大江さんは、ご自身の経験や豊富な取材に基づいて、
「お金」「仕事」「夫婦」「地域」「趣味」の5分野において、定年前に「不安に煽られてしないほうがいいこと」を新刊で教えてくれています。
今回は、「地域」について、本から少しご紹介しましょう。
1 地域コミュニティは伏魔殿
◆地域との付き合いは安易に考えてはいけない
「地域コミュニティを大事にせよ」ということも、定年対策本やシニア向けライフプランセミナーで語られるステレオタイプな定番アドバイスの一つです。
私は素朴な疑問を持っているのですが、そういうアドバイスをする人は、本当に地域コミュニティで活動をしたことがあるのだろうかと思います。
実際、地域の人と付き合うというのは、私自身の感覚で言えば、それほど簡単なことではないと思っています。
もちろん、地域活動や地域コミュニティの大切さを否定するものではありません。でもそういうものを、それまでの会社員としての感覚で、安易に考えない方がよいということなのです。
これはよくありがちなのですが、定年前に開催されるライフプランセミナーにおいて、講師の人はこういうことを言います。
「定年後はもう会社が自分の居場所ではありません。だから、地域が自分の居場所になると思って、地域の人との交流やその活動に積極的に参加し、溶け込むべきです」
この言葉自体に大きな間違いはありませんが、問題はその溶け込み方です。
◆怒号の飛び交う風景
そもそも地域コミュニティというのは「壮大なヨコ社会」であり、サラリーマンがそれまでに所属していた「大きなタテ社会」とは根本的に構造が違います。
そんな大きな違いのあるところに、前にいた組織の感覚で入っていったらどんなことになるでしょう。
私には今でも強く印象に残っている出来事があります。それは私が住んでいる住宅地の自治会に出席した時のことです。
普段はほとんど連絡事項や地域の駐在さんからの防犯に関する話だけで終わることが多いのですが、その時は住宅地内の、ある施設の閉鎖に関する意見の交換会だったのです。
最初のうちはみなさん、とても紳士的で穏やかに話し合っていたのですが、細かい部分でだんだん意見が対立してくると、語気が荒くなり、互いに攻撃が始まり、次第に怒号が飛び交って自治会長も呆然となり、まったく収拾がつかなくなったのです。
原因は実に些細なことです。結局、収まって会が終わるまでに3時間あまりもかかりました。
これが企業の場合ならどうでしょう。会議において侃々諤々と意見を戦わすこともあるでしょうが、それはいずれも「収益を上げる」という共通の目的があってのことです。
仮に議論が紛糾しても、課長や部長といった管理職がいますから、最後は彼らがジャッジすればそれで収まります。これがタテ社会のよいところです。
ところが自治会はそういうわけにはいきません。極めてフラットなヨコ社会で、はっきりした上下関係はないからです。成熟した民主政による統治が浸透している社会であればよいですが、住宅地の自治会程度では、そういうわけにはいかないでしょう。いきおい、最後は怒号が飛び交うという事態になっても不思議ではないのです。
もちろん、全ての地域コミュニティや自治会で私が経験したような光景が繰り広げられるわけではないでしょうが、地域社会というのは微妙なバランスで成り立っているということは知っておくべきでしょう。
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以上、大江英樹著『定年前、しなくていい5つのこと』の第4章「地域コミュニティとは付き合わなくてもいい!」からほんの一部を公開しました。
このあと、この第4章は
◆「ヒエラルキー」と「暗黙知」が支配する地域社会
◆まだまだある! 地域コミュニティは伏魔殿
2 困った“マウンティングおやじ”たち
◆「マウンティングおやじ」とはいったい何か?
◆定年退職するとマウンティングしたがる理由
◆アウェイからホームへ移籍する
3 働く女性の地域デビューはもっと危険
◆定年後の女性にたちはだかる大きな壁
◆「私たち『男性脳』になっちゃっているのよね」
◆専業主婦の人たちが感じる「上から目線」とは
4 ボランティア活動も勘違いは禁物
◆ボランティアへの取り組み方は人それぞれ
◆独りよがりのボランティアは禁物
5 SNSはシニアの新しいコミュニティ
◆年配の人も使いこなすフェイスブック
◆フェイスブックは「オレ様メディア」
◆ここでもマウンティングおやじにならないように!
…………と、続きます。
どうでしょう、思い当たる節があるのでは…!?
そろそろ、読みたくなってきましたよね…(*^_^*)
この本は、定年間近の方々だけでなく、それよりもっと若い方にも、また、
定年後の生活を送っている方にも、おすすめの1冊です。
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