【超速報】東京五輪初戦・ドミニカ共和国戦を振り返る
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熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)。
東京五輪、侍ジャパンは初戦のドミニカ共和国戦で4-3と劇的な逆転サヨナラ勝ち。チームが勢いづくことが期待されます。一方、終盤までリードを許し停滞ムードが漂っていたことも事実。この試合を振り返りつつ、今後の戦い方を考察してもらいました。
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CCメルセデスを含めたドミニカ共和国投手陣攻略への糸口
ドミニカ共和国の先発は予想通り、今シーズン巨人で高いパフォーマンスを残しているCCメルセデス。この大舞台でも物怖じしない、堂々としたピッチングを見せた。シーズンと同様に、投球数が100球前後になるまではランナーを出させず、日本打線を寄せ付けなかった。
7回に入り、メルセデスのパワーが落ちてき始めたところで浅村栄斗・柳田悠岐が連打。日本がチャンスを広げたタイミングで、ルイス・カスティーヨにスイッチした。
村上宗隆のファーストゴロで一点を返し、打席に甲斐拓也が入る場面だったが、7回裏と試合も終盤に差し掛かるため、打力に勝る栗原陵矢などを代打として出して良かった場面である。結果的に甲斐はライトフライに倒れ、一点が遠のいた。今後の試合でもこうした数少ないチャンスの場面で攻めきれないと、試合結果に直結する恐れが強い。日本(や他国が)これまで優勝してきた国際大会を思い出せば、ビハインドになっても最低限は同点に追いつき、相手を流れを渡さないシーンが多々あった。
また、プレミア12のMVPで今大会も4番に座る鈴木誠也の調子があまり良くないことは懸念材料である。8回裏のチャンスで凡退した場面、相手の3番手のジャンボ・ディアスはメルセデスと比較すればかなりレベルの下がる投手だったため、もったいない場面でもあった。
鈴木がプレミア12の時の状態であれば打てていただろう。ここぞの場面で打つべき選手の一打が出なかったので、早急に解消していきたい。
その後9回表にも1点を加えられて1-3で迎えた9回裏。こう言った場面では、プレミア12なら鈴木や菊池涼介などの選手が、逆境を跳ね返すように相手のクローザーを打ち崩す場面があった。また、他の国際大会であれば中田翔が苦しい場面で一打を放った姿もイメージできる。
そんな苦しい試合展開の中で、侍ジャパンはまたしても逆転劇を起こしてくれた。1アウトランナーなしから柳田の内野安打を足掛かりに、代打の近藤健介がヒットで繋いで村上に回した。その村上が一点差に迫るタイムリーを放ち、ドミニカ共和国を追い詰めていく。甲斐のスクイズがフィルダーチョイスとなり同点に追いつき、山田哲人がさらにセンター前に運んで1アウト満塁のチャンス。ここで、4度の国際大会に出場している坂本勇人が代わった相手投手の初球を捉えてサヨナラタイムリーを放ち、苦しみながらも2点差をひっくり返してサヨナラ勝ち。金メダルへ一歩前進した。
日本代表のメンバーを見ると、メルセデスが好調だったとはいえ戦略面でかき回すことのできる選手は揃っていたと思う。おそらく初戦ということやスポンサー等への配慮を含めて、選手の「格」や実績を重視して戦ったことが苦戦に繋がった一因ではないだろうか。
初戦を任された若きエース山本由伸を含む日本投手陣の内容
メンバーは多少異なるとはいえ、2年前のプレミア12では圧倒的な投手力を誇った日本だが、この東京五輪でも自慢の投手陣が他国を抑えられるかは注目だった。初戦を任された山本由伸は、立ち上がりから調子自体は良くなかったものの、ランナーを出しながらではあるが、6回を0点に抑えるピッチングをした。決して調子は良くなかったが、無失点でゲームを作ったのは開幕投手に相応しい結果だった。
しかし7回、相手打線に左打者が並ぶところに青柳晃洋を2番手として送り出し、先制点を許した。山本の登板時はもちろんのこと、強化試合で青柳が登板した際にも、甲斐拓也のリードが一点張りだったことは気になる。相手のバッターからすれば、合わせやすい配球だったようにも映る。この場面では適さないタイプのように見えた。
その後に登板した山崎康晃はしっかりと抑えたものの、9回に栗林が打たれたことも誤算だろう。こういった緊張感のある試合で点を許したことにより、今後の試合において心理的にも起用しづらくなるだろう。
大会を通した継投に関する不安
この試合の内容と結果を見ると、今後の試合でビハインドの状況になった際、平良海馬を厳しくなった場面での「便利屋」として起用する可能性が高くなっことは否めない。本来であれば平良は栗林良吏と並べた上で、「勝ちパターン」として使うことで、終盤における勝率を高めていくのが筋だ。
とはいえ今更メンバーは変更できないので、伊藤大海といった選手を、第二先発やロング要員でうまく起用していくことが鍵となるだろう。
試合全体を通して、日本代表には国際大会へのブランクも感じられたし、最終予選まで戦っていたドミニカ共和国の方が試合に慣れていたように思う。代表が結束して間もないことや、プレミア12から2年経っていたこともあり、初戦は首脳陣を含めて浮き足立っていた部分があった。
東京五輪の特殊な形式を最大限に活用していくことも視野に
今回の東京五輪は、第一ラウンドのリーグ形式で、仮に次のメキシコ戦で負けてもノックアウトステージに進出できる。その後のトーナメントもかなり特殊な形式であり、最悪負けても何とかなる試合もある。
負けるほど試合数が多くなっていき日程的な負担も増していくが、プレッシャーが多少は軽減されるであろうリーグ形式の段階であるメキシコ戦で、さまざまな戦略や起用法を試していくことも一つの手段だろう。
また、次戦からは、横浜スタジアムに移ることから、打線の奮起にも期待だ。不安視されていた柳田は2安打と結果を残しており、明るい要素もある。長打を打てる打者は揃っているので、いかに形を残していけるかがポイントである。
勝利至上主義で全勝優勝や1位突破を狙っていくことも大切だが、戦略面を見直した上で、大会全体での勝率が高くなる選択肢を吟味することも、金メダル獲得へは欠かせないのではないか。