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人気連載「恋愛学で読みとく『文豪の恋』」が光文社新書になりました!

みなさん、こんにちは。note担当の田頭です。

下のトップ画像、見覚えのある方も多いのではないでしょうか? そうなんです、実はこのnoteのスタート以来、ずっと人気を集めていた森川友義先生の連載「恋愛学で読みとく『文豪の恋』」が、ついに1冊の本にまとまったんです!

光文社新書9月刊です!

今日9月17日に紙版は全国発売、電子版も本日同日発売となっています! ちなみにこちら、noteの連載が初めて光文社新書として書籍化された記念すべき1冊なんです。

今回このnoteの記事では、「目次」と「はじめに」を全文公開します! 連載時のテキストから細かい加筆・修正を経てブラッシュアップされたこちらの1冊。改めてまとめて読んでみると、たくさんの発見があると思います。ぜひお手元に1冊お願いします!

目次

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はじめに

 本書は、明治時代以降の文豪が描いた恋愛を、「恋愛学」の立場から分析し、作品に新しい解釈を施そうという試みで書かれたものです。

 誰でもご存じの名作を10冊取り上げました。これらの作品における恋愛描写を詳細に検討すると、恋愛で必然的に生じる心理が克明に描かれていたり、普遍的なモテテクニック満載だったり、幸せな恋愛や結婚をするための秘訣が隠されていたりして、現代のわたしたちにも参考になる点がたくさんあることがわかります。

 その逆に、文豪といえども、科学的に根拠のないこと、恋愛を描くうえで思い違いをしていることがあります。あるいは、小説が執筆された当時は納得のいく描写であっても、時代を経て新しい価値観が生まれたことで、現在では違和感が生じている場合もあります。

 ですから、文豪による恋愛、たとえば、相思相愛、片想い、一目惚れ、失恋、結婚、浮気、不倫といったテーマに関して、作品の時代性や現代との整合性について考察することは今日的な意味があります。たとえば、統計的なデータを用いて解説するだけでも、恋愛への知見を論理的に深めることができるでしょう。このような観点から、これまで文学者や評論家が言及してこなかった作品の新しい魅力を浮き彫りにし、より深く名作を読み込むことが本書の狙いです。

 分析の根拠となるのが「恋愛学」です。恋愛学とは、人間の恋愛を科学的に研究する学問を指します。人間の恋愛感情、恋愛に関する男女の意思決定の科学的分析は、21世紀に入ってから盛んに行なわれるようになってきました。先鞭をつけたのが進化論的アプローチ、つまり進化生物学や進化心理学の分野ですが、恋愛の研究は社会科学の分野にも拡大し、学際的な発展を遂げつつあります。たとえば、人間を1つの商品として考えて恋愛の取引を分析する経済学的アプローチをはじめ、恋愛や結婚を社会現象として観察する社会学的アプローチ、人間の心理的側面から分析しようとする恋愛心理学的アプローチ、恋愛がもたらす政治的な影響について研究する政治学的アプローチといったように、人間の恋愛は多くの社会科学的な知見で考察することができます。そうした学際的な研究を総合する「恋愛学」という1つの枠組みをもってして、文学作品を分析することさえ可能になったのです。

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 本書は10章に分かれています。

 まず、第1章では夏目漱石の『こころ』を取り上げます。だれでも一度は読んだことがある名作中の名作ですが、登場人物の恋愛行動に関する限り、読後に違和感を覚える場面も少なくありません。その理由を「恋愛バブル」「バタフライ効果」といった用語を使いながら解説していきます。

 第2章は、森鷗外の『舞姫』です。この小説から得られる知見はたいへん多く、とくに恋愛にかかわる二者択一の難しさを学べるので、現代のわたしたちにも参考になります。「機会コストの損失」「費用対効果」といったような経済学的な概念を用いながら、主人公の豊太郎がとった行動について検討します。

 第3章は、武者小路実篤の『友情』で、野島、杉子、大宮という三人の登場人物の三角関係が描かれた小説です。いったん恋愛感情が芽生えると、相手に対して様々な心理が生じますが、ここでは片想いの心理が詳細に描写されています。男女の本来価値は均衡するという「恋愛均衡説」を援用しつつ、相思相愛のメカニズムについて解説します。また恋愛にはつきものの失恋についての克服方法も随所に描かれているので、たいへん参考になる作品でしょう。

 第4章では田山花袋の『蒲団』、第5章では太宰治の『斜陽』を取り上げますが、共通するテーマは「不倫」です。前者は願望はあったものの不倫をかろうじて思いとどまった作品、後者は不倫をしてしまった作品です。不倫している人、不倫されている人、不倫を防止したい人にとって読みどころは多いはずです。

 第6章は、谷崎潤一郎の『痴人の愛』です。従来「マゾヒズム小説」と評されてきた作品ですが、夫婦の相性の問題を扱った小説として新しく解釈し直します。「社会内分泌学」というアプローチを用いて、テストステロンやドーパミンといった体内の化学物質の多寡がどのように主人公の河合とナオミに影響を与えていたのかを分析し、この相性の問題を考察します。

 第7章と第8章は、師弟関係にあった川端康成三島由紀夫の作品を取り上げます。『伊豆の踊子』『潮騒』では、ともに「処女性」がテーマの1つになっており、その妥当性について検討します。両作品とも一読しただけでは理解しづらい作品ですが、資料やデータを参考にしながら、小説に隠されたテーマを詳らかにしていきます。

 第9章は、堀辰雄の『風立ちぬ』です。ほかの作品では恋愛がテーマですが、『風立ちぬ』は結婚生活の描写に重きがおかれていて、幸せを維持する方法について書かれている稀有な作品です。小説の描写に基づき夫婦円満の秘訣を解説しましたので、これから結婚する人、あるいは結婚生活がうまくいっていない夫婦には必読の章です。

 終章は、特別編として、現役作家である村上春樹の『ノルウェイの森』を考察します。長編小説ですが、いったん読み始めると最後まで引き込まれてしまう作品です。恋愛学の見地から、恋愛にまつわるデータを引用しつつ、主人公のワタナベがモテすぎであること、かつ対する緑の過剰なまでの恋愛テクニックについて言及します。

 このように、本書で扱う文豪の名作は、恋愛にかかわるほとんどすべての現象、言い換えると恋愛の可能性が幅広く網羅されていますので、人間の営みとしての恋愛を「学ぶ」ことができるよい教材でもあります。また、人間の恋愛に規則性など存在しないと考える方もいるかと思いますが、この一冊を通じて、恋愛心理には普遍性があるということを知っていただけたら幸いです。


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