実質ゼロカロリー!? 研究者が大まじめに考えた〝罪なきバター〟の作り方
ポップコーンの白い部分は何でできている?
超音波を当てるとワインが美味しくなるのはなぜ?
ふとした瞬間に湧く食にまつわる疑問、一度は感じたことがありませんか。光文社新書の5月刊『理系研究者の「実験メシ」』ではそんな疑問に、大学教員で小説家の松尾佑一先生が実験を通して、体当たりで挑んでいます!
世界最小の調理器具を作ろうとしてポケットインサイズのポップコーン製造機を作ろうとしてみたり。太陽光でご飯を炊こうとしてみたり。成功あり・失敗あり・ハプニングありのちょっぴり大人な自由研究の数々。本記事ではその中から発売を記念して、実質ゼロカロリーのバターを作ろうとした「自転車バター」の章をまるっと特別公開いたします!
オーバー40の体力……
以前は難なくできていた徹夜も、今では深夜2時を回ると目がしょぼしょぼしてきて、目覚ましのコーヒーを淹れようと鍋を火にかけたものの、気がついたらカップラーメンを食べていた、なんてこともある。「生活習慣病予防健診」の用紙も届き、もう若くないのだとハッとさせられる。
特に深刻なのが体重増加で、学生時代より15kgも重くなってしまった。これが体力低下の諸悪の根源かと思われる。何をしても疲れやすいのだ。研究会などに出席し、久しぶりに会った研究者から「松尾さん太りましたねぇ」と言われることがたびたびある。「そうですかぁ、そうですねぇ」と、笑って適当な返事を返すが、その研究会の際に着ていたスーツが学生時代に購入した古いもので、ズボンのボタンが閉まらずベルトでごまかす始末で、定量的にも太ったことが明らかである。
そんな事態に、わが嫁は「自転車に乗ってサイクリングにでも行ったら」と勧めてくる。
結婚した時に、僕たちはそれぞれ同じ型の折り畳み自転車を購入していたのだった。車に積んでどこかに行き、そこでサイクリングでもしてみようと思っていたのだが、結局、家の近くのパン屋さんに一度行ったきりで、自転車は折り畳まれたまま倉庫の中でホコリをかぶってしまっていた。しばらくして子どもを授かると、ますます自転車を漕ぐという行動の難易度が上がり、そのまま物置の中で眠りについていた。
「自転車で1時間でもぶらぶらと走ってきたら?」
「うーん……」
正直、気が乗らない。この僕の性根が、運動不足の原因なのだ。すなわち、体を動かすための運動ができないのだ。
黙々とジョギングやサイクリングをしている人をときどき見かけるが、僕は彼らのことを心の底からすごいと思っている。健康維持のため、気分転換のため、ただ単に楽しいとか、いろいろな理由があると思うが、僕は、ただ走るために走る、ただ自転車を漕ぐという行動を躊躇してしまう。何か買い物のためであったり、見たことのない風景を見るためであったり、そういうよほどの「目的」がないと動き出せない。
以前はこうではなかった。僕も自転車に乗っていろいろな場所に出かけていた。大学時代は気が合った親友と、地図に向かってダーツを投げて、そこに自転車に乗って行ってみようというおかしな遊びもやっていた(結局、20か所くらいは出かけた。実に楽しかった)。今も、同じように自転車に乗って飛び出したい。しかし、土日の休みの日にも、何かしらほかにやるべき用事を抱えていて、次から次へと処理しなければならず、ぽっかり空いたような1時間くらいの隙間ができても、居間でぐたーっとしてしまう。よほどの「目的」がないと、自転車に乗れないという気持ちになって、結局自転車は倉庫で眠ったままだった。
嫁から〝運動〟のお誘い
そんなとある日、ふと嫁がスコーンを作ると言い出した。スコーンとは、イギリス伝統の素朴なお菓子であり、これを作るためにはバターとホエーという液体を必要とするらしい。そこで嫁は生クリームを買ってきて、空のペットボトルに入れ、居間で転がっている僕に渡した。
「ハイ、運動」
「運動?」
「生クリームを振ると、バターとホエーになるから」
これぐらい運動しなさいよ、と突かれて、僕はペットボトルを振り始めた。すると5分くらいで液体だった生クリームが固形化してきた。
「おっ、何かできたぞ」
手を止めて眺めていると、
「もっと振れ、それはまだバターではない、ホイップクリームだ」
そんな嫁の叱咤を受け、無我夢中で振り続けると、やがてうっすら透明な「ホエー」と呼ばれる液体と、固体のバターに分かれた。
「ホエー、これは珍妙な」
僕の言葉を無視して、嫁はペットボトルからそれらの物体を取り出して、スコーン作りを始めた。イギリス王室御用達のレシピによると、スコーンを作る際にホエーを使うことが本式であるらしい。ちなみにホエーとは乳清と呼ばれる水溶液のことであり、さらさらとした牛乳のような味わいが特徴であるという。
生クリームからホイップクリームになり、最終的にバターになるなどと僕は知らなかった。さっそく調べてみた。『すがたをかえる食べもの④牛乳がへんしん』(学研プラス)によると、生クリームがバターになる理屈は次の通りだ。
クリームの中には脂肪が入っている。その脂肪はうすい膜で覆われていて、振ると、膜が破れて、中の脂肪どうしがつながる。さらに振ると、脂肪がつながって、間に空気が入った状態になる。この状態がホイップクリームである。
さらに振り続けると、水分が離れて、さらに脂肪どうしがくっつく。これがバターの状態である。そして抜けた水分がホエーである(図1)。生クリームに含まれる脂肪と水分を分離させ、集められた脂肪分がバターというわけである。
図1 生クリームからバターができるまでの分子的な変化のイメージ
「いい運動をした後には、ご褒美がある」
そういって、嫁は出来上がったスコーンを一つくれた。スコーンをかじりながら、僕はふと思った。もっと効率よくバターを作ることができれば、もっと大量のスコーンにありつけるのではないかと。手で生クリームを振るよりも、もっと簡単な……。
そうだ、自転車に乗って、バターが作れないか?
自転車を漕ぐ時の振動で、バターを作ることができるかもしれない。バターを作るという目的があるのなら、自転車にも乗れる気がした。そしてさらに、面白いことを思いついた。
僕が自転車に乗って消費したカロリー数(A)と、
出来上がったバターのカロリー数(B)
をそれぞれ計算し、どちらがより大きいかを比べたら面白いのではないか?
壮絶なバターの誕生
子どもの頃聞いた話で、とある乳製品が偶然生まれたきっかけとして印象に残っているものがある。ラクダの背中に乗った隊商が、ラクダの乳を袋に入れて砂漠を行き来していた時に、偶然その乳製品ができたというエピソード。僕はその乳製品のことをバターと記憶していた。だから、自転車に乳を乗せて走ることで、バターができると思ってしまった。しかし、改めて調べてみると、ラクダ(もしくは馬)に揺られて生まれた話はチーズのことであったらしい。ではバターは?
木につるした革製の袋に乳を詰めて、棒で殴ることでバターが生まれた。
これがバター誕生秘話であるらしい。なんと壮絶であろうか。いったい何の理由があって、乳を袋に詰めて棒で殴ろうと考えたのだろうか(図2)。我々の祖先は実にいろいろなことを試したのである。
図2 人類がはじめてバターを作った時のイメージ
結局、バターはラクダの背中の上ではできず、作るためにはやはり棒で殴らなければならないのだろうか。そんなことあるわけもなく、先に述べたように工業的に「脂肪と水分」を分離して作られている。具体的には遠心分離して、脂肪と水分を分けている。全体の工程を図3に示す。個人的には牛乳から分離された脂肪分(バター)の風味を強めるために、水で洗う過程が面白い。たしかにバター(脂肪分)は水に溶けないので、「洗うことができる」のである。バターに塩を足すのは、賞味期限を延ばす効果があるらしい。焼いたトーストに載せるバターにほんのり塩味が効いているととても美味であり、そのために塩が加えられていたのかと思いきや、賞味期限が関係していたとは。クッキーを作る際に使われるバターは、塩味は不必要で、こちらは「無塩バター」が主に用いられる。
図3 原料乳からバターを工業的に作るプロセス
さて、現代において実際に作られるバターの工程を見てきたが、バターは「脂肪分と水分」を分離させて作られるので、木につるして殴っても、自転車に乗せても、できそうだと思われる。木につるして叩く場合も自転車の場合も、ポイントは僕が自分の手でバターを作ったように揺れることにあるからだ。
そもそも自転車はなぜ揺れるのか?
自転車を運転している時、左右に揺れているのを自覚している人は多いだろう。自転車を走らせようとした時、右足を踏み込む時には、直立していた体を左に傾ける(自転車のハンドルは右に切る)。そして反対の左足を踏み込む時は、体を右に傾ける。踏み込む足の方に重心が掛かるため、これを相殺しようとして、無意識に反対側に自転車を傾けて、その結果として重心をタイヤの接地の線上に置いてバランスをとろうとしている(図4)。
もっとわかりやすく、喩え話をするならば、自転車と同じ二輪車であるオートバイについて書かれた書籍『オートバイの科学』(講談社)に、よい説明がある。
図4 自転車を比較的ゆっくり走らせると左右に揺れる原因のイメージ
右側、もしくは左側に倒れようとする時、倒れそうになった方向に進むように、我々は無意識的にハンドルを切ろうとする。これは「手のひらにホウキを載せる様子」に似ている。ホウキが右に倒れそうになると、手をすばやく右に移動させ、左に倒れそうになったら手を、無意識的にすばやく左に移動させて倒れないようにしているのだ。
このように左右にハンドルを切り、左右に体を傾けながら走る必要があるのは、自転車のスピードが低い状態であり、より高速になるにつれ左右の傾きは少なくて済む。これは、車輪の回転速度が速い場合に見られる「ジャイロ効果」が現れて、車体が安定することで説明ができる。ジャイロ効果について語りだすとさらに長くなるので、ここでは省略する(少々乱暴であるが、速く回転しているコマは安定しているが、コマの回転がゆっくりになるととたんにバランスが悪くなることはジャイロ効果で説明ができる)。
バターの話に戻ろう。自転車でバターを作ろうとする時に重要なことは、
・容器に入れた生クリームをハンドルに水平になるように置くこと
(手で生クリームを振る時の動きに類似するように)
・ゆっくり走ること
であると思われる。そうすることで、冒頭で試したような手で振る動作と同様に生クリームが攪拌されて、バターになると考えられる。それでは試してみよう!
自転車に乗って振ってはみたけれど……
動物性の生クリームを100g、よく洗浄したペットボトル(500ml)に入れて蓋をする。ペットボトルいっぱいになるように生クリームを入れないのは、揺らすための空きスペースが必要だからである。それをリュックサックに入れて、自転車にまたがった(図5)。15分おきにペットボトルを観察して、自転車を何分漕げば生クリームがバターになるかを調べてみた。
図5 生クリームの入ったペットボトルを背負ってサイクリングへ
走るルートは、自宅近くの市内の運動公園。ここならば生クリームを背中に担いで自転車で走っていても不自然ではない。これが例えば市街地で、左右にゆっくりと揺れながら自転車を運転し、ときどき生クリームの様子を見ながらニコニコしていたら、職務質問にあいかねない(僕が警察官ならば2時間くらいは理由を問いただすだろう)。
秋の心地よいある日、僕は生クリームを詰めたペットボトルを4本背負って、家族に見送られながら走り始めた。
結論から書く。1時間も自転車を漕ぎ続けたが、生クリームには何の変化も生じなかった。自転車はできる限り低速にして、左右にしっかり揺れていた。なぜだ。手で振った時はバターができたではないか?
思いつく理由は一つくらいだ。自転車で左右に揺れる周期が、手で振った時と比べて長いのだ。手で振った時は1秒間に3回ほどの振動。自転車の時は、せいぜい1秒間に1回程度の振動だ。この差が出てしまったのかもしれない。
1時間の自転車の運転で消費したカロリーを計算してみると、約294キロカロリー(体重80kgの成人男性が時速8kmで自転車を運転した場合として計算)。
出来上がったバターはもちろん0g、0キロカロリー。
どうしてくれよう、無駄に痩せてしまったではないか!
自転車バター製造機を自作する!
1秒あたりの左右の振動回数を高める……すなわち手での振動に近い1秒あたり3回程度にするためにはどうすればよいか? 僕はある装置を考えた。
自転車のタイヤの回転を使って、クランクの仕組みにより生クリームを入れたペットボトルを振動させるというものだ。
図6に仕組みを説明する。回転部(小さなホイールのようなもの)にクランク棒を打ちつけて、クランク棒の反対側をペットボトルにも接続する。そして自転車のタイヤに回転部を接触させる。自転車が前に進めば、回転部が回転し、ペットボトルが振動する(このイラストでは前後に)。タイヤに対して回転部が小さければ、ゆっくりした速度で自転車を運転するだけでもペットボトルは高速に振動する。一方で、回転部が小さ過ぎると、振動距離が短くなりペットボトルの揺れも小さくなり過ぎるのでダメである。ベストかどうかわからないが、手元に直径が約15cmのゴム製の円形の部品があったので、これを採用した。僕の自転車のタイヤの直径が約50cmなので、それより小さく、問題はないであろう。
図6 自転車バター製造機のしくみ
回転部が回るのに合わせて、生クリームを入れたペットボトルが振動する。
この装置には、回転部がちゃんとタイヤに接触することが求められる。そのためタイヤガードなるパーツを追加して、タイヤと回転部がズレないように強制的に固定した。これで回転部は無事にタイヤに接触する。
試しに手で回転部を回してみる。ちゃんとペットボトルは振動している! 生クリームはしっかりと攪拌されているようだ。「自転車バター製造機」の完成である。
いざ再戦へ
期待を一身に集めた「自転車バター製造機」は、日も落ちかけた午後5時頃、「近所の目があるから、さっさと行ってちょうだい」というエールを嫁からもらいつつ、出発した(図7)。
図7 バター製造機を取り付けた自転車
うすら寒い秋の夕方、ガッチャンガッチャンと音を立てて走り出す自転車。正直、目立つ。ペットボトルに詰められた生クリームの白さが、だんだんと薄暗くなる中で、やたら主張してくるのだ。運動公園でやればよかったか? いいや、前回のリュックサックとは違って、装置が丸見えだ。運動公園で実験しても、怪しさ自体は変わらない。
また間の悪いことに、あまり車が通らない道を選んだつもりが、この時に限って往来が激しい。車の運転手が「なんだこれ?」というような顔をしながら通り過ぎるのが見える。車を追いかけてドアを叩いて「バターを作っているんですよ」なんて、説明する気は全くない。結局、車がそばを通るたび、僕は自転車を漕ぐのをやめて、立ち止まるのだった。
5分おきに自転車を止めて、バターの仕上がりを確認する。なかなかできない。30分ほどして、ぼんやりと自分が何をしているのかよくわからなくなってくる。「これはアカンかなぁ……」と思い始めた頃、走り始めて55分後、自転車を降りて確認すると、ペットボトルの中の様子に変化が見られた。固体の部分と半透明な液体に分かれている。とうとうバターが完成したのだ(図8A)。
図8 完成した自転車バター
A:生クリームは見事にホエーとバターに分離した。
B:バターは焼いたフランスパンに塗っていただいた。
長い道のりであった。僕が自転車に乗るためにバターを作ることになり、失敗を重ね、とうとうこんな機械までこしらえて、ようやく僕は自転車に乗ることができた。
55分間の自転車の運転で消費したカロリーは、約265キロカロリー。
一方、出来上がったバターは31g、223キロカロリー(1gあたり7.2キロカロリーで計算)。
装置を作るのに要した金額。だいたい5800円。高い。31gのバターくらい100円以下の値段だろう。しかし、コストなど関係ない。自転車に乗ることが億劫だった僕が、2時間近く自転車を漕いだという奇跡に伴って、副次的に生まれたバターなのだ。
出来上がったバターは、その夜、切り分けたフランスパンに塗って食べた。ことのほか美味しく感じられた(図8B)。
以上、光文社新書『理系研究者の「実験メシ」』より第6章を抜粋、再編集して掲載いたしました。本書にはまだまだおもしろ実験メシの数々がありますので、よろしければ下の目次もご覧ください。
目次
はじめに
第1章 遠心分離コーヒー
研究のお供、コーヒー/ラーメンスープと遠心分離の話/エクササイズの始まり/1mの紐は意外に長かった/文明の利器の登場
コラム1 十人十色のコーヒー
第2章 ソーラー炊飯器
目玉焼きも作れる炎天下のボンネット/米の炊き方について何を知っているか?/太陽光を使った調理器具/ソーラー炊飯器をデザインする/なぜレンズは使われなかったのか?/こんな時に限って曇り/突然の発火!?/立ちはだかる90℃の壁
コラム2 太陽光料理のコンテストがある?
第3章 自家製納豆の最適解
菌を育てるのが流行っているらしい/納豆との出会い/自家製納豆作りに立ちはだかる壁/納豆作りに適した場所はどこだ?(リサーチⅠ)/自家製納豆、三つの作り方(リサーチⅡ)/自家製納豆と食中毒菌(リサーチⅢ)/
いよいよ実食
コラム3 あなたの心の味は何ですか?
第4章 インスタントラーメンの限界点
忙しい人は食べてはいけない?/パスタとの違い/インスタントラーメンは何からできているか?/どれだけお湯を吸えるのか?/実験で確かめる/
カップラーメンの重さが微妙に違う問題/伸びたラーメンに救いはあるか
コラム4 伸びたラーメンの救済法についてのさらなる考察
第5章 ポケットポップコーン
パンパンになる防災リュック/世界最小の調理器具とは?/何を調理するか?/ポップコーンができる理由/調理器具をデザインする/直火加熱方式の盲点/ポップコーンから煙が……/最後の期待、電熱加熱方式
コラム5 登山道具の見惚れる機能美
第6章 自転車バター
オーバー40の体力……/嫁から〝運動〟のお誘い/壮絶なバターの誕生/そもそも自転車はなぜ揺れるのか?/自転車に乗って振ってみたけれど……/
自転車バター製造機/いざ再戦へ
コラム6 目の敵にされるマーガリン
第7章 平均化クッキー
「さじ加減」が重要な料理の世界/研究者が感じる料理の違和感/レシピの平均値が意味するもの/素材の分量の最適解/実際に作ってみる/驚きの結果!/「焼き菓子」ではなく「揚げ菓子」?
コラム7 パウンドケーキの潔さ
第8章 超音波泡盛
海底に泡盛?/海の中で何が起こっているのか?/よいアイディアは誰かがすでに思いついている/凍らせたカルピスで解決法に気づく!/味に明確な差が出た!(実験Ⅰ)/熟成した泡盛は凍りにくい?(実験Ⅱ)/美味しいお酒とは何か?
コラム8 体に悪いものほど美味しいという法則
第9章 タクアン製造マシン
TAKUAN DREAM/作品をよく見直してみる/僕たちはどれくらい漬物について知っているか?/国が定める漬物/タクアンの定義を調べてひっくり返る/洗面ルームがタクアン工場に/「ぬか」が存在しない世界のタクアン製造マシン/マシンに必須の三つの機能/ダイコンを切るところからつまずく/いざ試運転/薄々わかっていました
コラム9 漬物は絶滅するか?
おわりに
著者プロフィール
松尾佑一(まつおゆういち)
1979年、大阪府生まれ。大阪大学大学院工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。国立大学で研究教育職に従事。専門は放射線生物学、分子生物学。2009年に『鳩とクラウジウスの原理』で野性時代フロンティア文学賞を受賞し、デビュー。新書は本書が初めて。これまでに『生物学者山田博士の奇跡』『生物学者山田博士の聖域』(以上、角川文庫)、『彼女を愛した遺伝子』(新潮文庫nex)など、科学や科学者にまつわる題材をもとにした小説を数多く手がけている。