【名言集】光文社新書の「#コトバのチカラ」 vol.28
内田良『教育という病』
土日も出勤させて若い社員を使い潰していく企業を、私たちは「ブラック企業」と呼んで、問題視する。だが、部活動の指導のために若手教員が無給に近い状況で毎週土日に出勤していても、それはブラックとは呼ばれず、いっこうに社会問題にはならない。
君塚直隆『肖像画で読み解く イギリス王室の物語』
上流階級は得てしてダイアナに冷淡であったが、大衆はダイアナを愛していた。当時のイギリスはまだ不景気から回復しておらず、町には失業者も溢れていた。彼ら「弱者」の目から見て、ダイアナは自分たち同様に虐げられた存在なのだという、ある種の感情移入も見られたのかもしれない。
野地秩嘉『打ち合わせの天才』
若いビジネスマンは気軽な席でも、愚直に礼儀を守っておくべきだ。基本さえわきまえておけば、いずれは基本をくずしてセンスを発揮することができる。
岩﨑信也『蕎麦屋の系図』
江戸時代は、日本の料理文化がひとつの頂点に達した時代である。それは、前代まで公家や武家の独占物として発達してきた料理が、市井の料理屋に解放され、町人文化の中で開花した時代といい替えることもできる。
高野光平『発掘! 歴史に埋もれたテレビCM』
ターゲットを明確に定め、消費者心理を読んでメッセージ内容を詰めていくと、CMは視聴者のリアルな日常生活に寄り添いつつ、消費の楽しさを具体的に表現していくようになるから、おのずと実写が増える。そうしてアニメCMはその役割を終えていったのである。
甲斐崎圭『紀州犬』
人とのつきあいはあるもののどちらかというと野生の色が濃く、その行動も本能のおもむくままといった縄文犬と人に飼われることによって従順に人と暮らすことを憶えた弥生犬が出会い、影響しあう。こうして生まれたのが日本犬の原型だといわれている。
水月昭道『ホームレス博士』
博士たちの日常はシビアすぎる。たとえ今、大学で講義を担当(つまり先生を)していたとしても、数年後は、何をしているかわからない。おそらく、フリーターが多いと思われるが、ホームレスの可能性だって否定できない。なにせ、非正規雇用、明日さえ見えない。