【名言集】光文社新書の「#コトバのチカラ」 vol.48
太田直子『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』
字幕に限ったことではないが、翻訳者はいつも日本語と外国語のはざまで身悶えている。言葉を扱う仕事に絶対的な正解はないからだ。当然、批判もされるし、翻訳者自身、納得できていないということもままある。
宮元健次『名城の由来』
「城」の語源は「山背」であるとか、さまざまな説があるが、それらの中に「依り代」(憑代)とする説がある。依り代とは、神仏や魂が寄りついて現れるものを指す。元来、城は信仰の対象となる山に築かれ、山頂の磐座や社寺にかわって建てられたことから生じた説である。
長谷川裕雅『家族内ドロボー』
とっくに弁護士が登場すべき場面であるにもかかわらず、弁護士に依頼するのを躊躇される理由の1つとして、家族への過信を断ち切れないことがあります。最後の最後は家族なのだから話し合いができるのではないか、と淡い期待を抱いて交渉をこじらせている方が多い気がします。
西牟田靖『ニッポンの国境』
領土問題はなぜ発生し、現在もなおくすぶり続けるのか。国境がなければ見向きもされないようなちっぽけな島が、外国との衝突原因になるのはなぜか。一度、沈静化しても亡霊のように問題が再燃するのはなぜか。
瀧澤信秋『ホテルに騙されるな!』
サービスのWスタンダードは客へ知られないよう密かにやるべきである。既に客に見えてしまっている場合は、アドリブで演技すべきだ。すなわち柔軟さが必要である。それでゲストが幸せな気分になれるのであれば、ホテルマンは時として俳優であってほしいとも思う。
宮地弘子『デスマーチはなぜなくならないのか』
「デスマーチ」とは、どうやら「ブラック」という言葉で片づけられるほど単純なものではなく、主体的な判断能力を備えた人間であっても、あるいは、主体的な判断能力を備えた人間だからこそ否応なく巻き込まれていく、「地獄」と「悦楽」とが表裏一体となった経験であるようなのです。
北村孝一『ことわざの謎』
それにしても、「溺れる者は藁をもつかむ」は日本語としてまったく異和感がなく、しかも原文の比喩を過不足なく伝えている。西洋起源のことわざのなかでも屈指の名訳といってよい。