新刊『肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか』(清水泰行著)を一部公開|糖化とパンデミックの深い関係
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新刊『肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか』(清水泰行著)を一部公開|糖化とパンデミックの深い関係

清水泰行肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか――「糖質過剰」症候群Ⅱが発売となりました。「はじめに」と目次を公開します。

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Even if you are a minority of one, the truth is the truth.
Mahatma Gandhi

たとえあなたが少数派であっても、真実は真実である。
マハトマ・ガンディー


はじめに


2020年。世界中が目に見えない小さなヤツに翻弄された。もちろん新型コロナウイルスである。

人によっては感染の不安に陥り、人によっては死の恐怖に慄(おのの)いた。新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより日常生活まで変更や制限を余儀なくされた。

(*)パンデミック:感染症により広い範囲の世界で非常に多数の感染者や患者を発生させること。

2020年は、本来なら日本は多くの外国人で溢(あふ)れ、日々お祭り騒ぎになるであろうオリンピックの年であった。

しかし、新型コロナのせいで、日本だけでなく世界の動きが止まってしまった。オリンピックは1年延期されて強行されたが、緊急事態宣言の中でほぼ無観客開催を余儀なくされた。

新型コロナウイルスは当初未知のウイルスであったが、徐々に様々なことがわかってきた。

このウイルスも、糖質を過剰摂取している人に対して有害な影響を大きく与えた。糖質過剰症候群の代表である糖尿病、肥満の人を中心に、重症者、死亡者の割合が非常に高いのだ。

糖質過剰摂取は血栓のリスクを高める。新型コロナ感染の重症化の多くは血栓症によると考えられる。

(*)糖質過剰症候群:糖質を過剰に摂取したことにより起きる病気。正式な医学用語ではなく、著者の造語。詳しくは前著「糖質過剰」症候群参照。
(*)血栓症:通常は血液が血管の中で固まってしまうことはないが、何らかの原因で血液が固まった血栓というものができ、血管に詰まってしまう状態。血栓が血管に詰まると血液の流れが途絶え、様々な病気や症状が起きる。たとえば心筋梗塞や脳梗塞などは血液の流れが途絶えて起きる病気である。

さらに糖質過剰摂取による高血糖は免疫力を低下させ、炎症を促進する。

しかし、新型コロナは恐れても、平気で糖質過剰摂取を行い、「コロナ太り」まで招いている。コロナ太りは、自らを新型コロナの感染時に重症化するリスクを高くするにもかかわらず、そこには恐怖を感じていないのは非常に不思議だ。

新型コロナ感染の重症化だけでなく、様々な病気の原因は糖質過剰摂取にあると考えられる。新型コロナウイルスのパンデミックは怖いのに、糖質過剰摂取により体を蝕(むしば)んでいる「糖化パンデミック」のことは、多くの人が大して意識していない。

世界中でパンデミックのように広がる、肥満、インスリン抵抗性など糖質過剰症候群は、新型コロナよりも多くの人に様々な病気をもたらしたり、死に至らしめたりしている。

(*)糖化:糖質過剰摂取により体の中に糖がいっぱいになり、それと体の中のタンパク質が反応して有害な物質に変化してしまうこと。
(*)糖化パンデミック:糖化が広範囲にわたることを表す著者の造語。

それにもかかわらず、多くの医師や栄養士は、糖化をもたらす糖質の摂取を推奨している。

糖質摂取はどうしてダメなのであろうか?

「だって、みんないっぱい食べているではないか。小さな頃から、ものごころつく前から毎日ずっと、当たり前のように食べているではないか。医師も栄養士も、糖質は重要なエネルギー源だとずっといい続けているではないか」

・・・信じたくないのは理解できる。しかし、人間の体の中に進化してきたメカニズムは、大量の糖質を受け入れられないのである。

2019年に、前著の「糖質過剰」症候群を出版させていただいた。様々な反響をいただき、同業の医師からも多くの好意的な意見をいただいた。

江部康二先生(一般財団法人高雄病院理事長)が2001年から始めた糖質制限は、この数年間でさらに広がりを見せ、糖質オフをうたった商品も非常に多くなった。

しかし、医療の現場に大きな変化は認められない。

その前著から2年が経ち、新たにわかったこと、前著では述べなかったこと、もっと知ってほしいことがいっぱいあり、また1冊にまとめることにした。前著と併せて読んでいただければ、より理解が深まると思われる。

ただ、一般の方からは、前著はちょっと内容が難しすぎるという意見も少なくなかった。たしかに難しい内容も多かった。

今回は、注釈や、できる限りかみ砕いた表現を使うことを意識した。難しい内容が必要ないのであれば、難しい箇所を飛ばして読んでいただければ問題ない。特に第4章は、糖質過剰症候群のメカニズムについて詳しく述べているので、ちょっと内容的には難しいかもしれない。

難解な言葉もあると思うが、この本を読んだ後に糖質への恐怖を持っていただければ幸いだ。

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目 次

はじめに

第1章 新型コロナウイルスパンデミックと糖質過剰症候群

一部の人で重症化するウイルス――糖質過剰という脆弱性
基礎疾患と重症化・死亡の関係
糖尿病と肥満で跳ね上がるリスク
高血糖がウイルス感染を加速――気道における最初の防御システムを損なう 
ブドウ糖の大量供給はウイルスにとって理想的な環境
糖質はウイルス増殖のエサとなる――ケトン食の有効性
脂肪細胞はウイルスの貯蔵庫となり、ウイルスの排出量を増やし長期化させる
免疫反応――高血糖だと役に立たなくなる
肥満と免疫応答――ワクチンの効果が得られにくい
トール様受容体と新型コロナウイルス――過剰な活性が炎症を招く
血栓の形成――高血糖、高インスリン血症が増加させる
高血糖によるグリコカリックスの減少と新型コロナウイルスの重症化
ホルモンの関係――男性の死亡率が高い理由
肥満=テストステロンの低下と感染症の悪化
ケトン食はテストステロンを増加させる
新型コロナは体内の弱点を突いてくる


第2章 糖化パンデミック

(1)糖化パンデミック

症状も死者数もひどいが、渦中にいても気づかない
(2)糖尿病パンデミック
年間420万人が死亡――新型コロナの350万人を超える
(3)肥満パンデミック
この40年で肥満人口は3倍に――19億人以上の成人が太りすぎか肥満
(4)腎臓病パンデミック
糖質過剰と腎臓病は深い関係にある
糖尿病の人の様々な腎疾患との関わり
透析の原因としての糖質過剰摂取
(5)認知症パンデミック
「3型糖尿病」=認知症は世界中で爆発的に増加
(6)自己免疫疾患・難病パンデミック
酸化・糖化により修飾された抗原
筋萎縮性側索硬化症とケトン食
スタチンによる筋萎縮性側索硬化症のリスク
(7)精神疾患・発達障害パンデミック
急増する発達障害と代謝の関係
母体の糖尿病と子どものADHDの関係
母体の糖尿病・重度の肥満と、子どもの自閉症との関係
母体の抗胎児脳自己抗体が胎児の脳を攻撃する
糖質過剰摂取が血液脳関門の透過性を高くし、自己抗体を侵入させる
(8)胃食道逆流パンデミック
逆流性食道炎の急増
高血糖は胃腸の運動を低下させる
扁桃肥大、声帯ポリープと胃食道逆流の関係
逆流によるペプシンでの様々な症状――目や耳、肺の症状も
プロトンポンプ阻害薬の危険性は説明されているのか?
(9)糖尿病の境界
「糖尿病の手前」でも安心していてはいけない
前糖尿病(糖尿病予備軍)の段階での様々なリスク
インスリン抵抗性とは何か
インスリン分泌増加が先か肥満が先か?
肥満の人が運動しても痩せない理由――インスリン抵抗性と脂肪分解の阻害 
運動後の水分補給にスポーツドリンクを飲んではいけない理由
(10)抜け落ちた根本原因分析
疾患の原因が糖質過剰でも、根本まで追わないと見えてこない
病気の原因にも「なぜなぜ分析」が必要だ


第3章 糖質過剰摂取と疾患の関係

(1)冠動脈疾患
コレステロールよりも重要な因子「インスリン抵抗性」
心血管疾患の予防に必要なのは高血糖・高インスリン血症の回避
(2)女性と糖質過剰症候群
高インスリン血症は生理周期を乱す
更年期障害も糖質過剰症候群
ホットフラッシュが起きるメカニズム――脳のブドウ糖の急降下への対応?
更年期障害は、認知症、うつ病の前段階と考える
ホットフラッシュがある人にはMCTオイルがお勧め
AYA世代が危ない――子宮頸がん、乳がんの増加
高血糖と子宮頸がんの悪化――HPV感染だけが原因ではない
若い女性の様々な疾患と肥満・インスリン抵抗性の関係
(3)難病や様々な不調・疾患
パーキンソン病と糖尿病の関係
潰瘍性大腸炎――糖質制限で著明な改善
封入体筋炎
ハンチントン病
むずむず脚症候群
線維筋痛症――血糖値の異常との関係
片頭痛はケトン体によって改善する
めまい、メニエール病
変形性膝関節症、前十字靭帯断裂、半月板損傷
胆石――本当に脂質が原因なのか?
虫垂炎――糖質過剰、糖尿病、腸内細菌との関係
悪性リンパ腫――急増する病
皮膚疾患――目に見える糖質の影響
肌のくすみはAGEsの蓄積
白斑
化膿性汗腺炎
円形脱毛症 
アトピー性皮膚炎――自己抗体との関係
アトピー性皮膚炎と自己免疫疾患、そして糖質過剰との関係
慢性蕁麻疹――私もかつて悩まされた
眼瞼下垂――加齢だけが原因か?
耳たぶの斜めの線
包茎
フレイル
過敏性腸症候群
腸内細菌叢の乱れ――超悪玉菌感染
双極性障害


第4章 糖質過剰摂取による有害性のメカニズム 

(1)糖化と酸化

直感的にわかる「糖化」「酸化」
糖質はクリーンなエネルギー源ではない
人間のエネルギー代謝――糖質と脂肪酸
そもそも人類は、糖質を少量しか摂取していなかった
高血糖は様々な経路で活性酸素、酸化ストレスを増加させる
(2)解糖系の有害性
①ポリオール経路
②ヘキソサミン経路
③PKC経路
④AGE経路
4つの代謝経路を通して、高血糖が糖化と酸化を増加させ、過剰な炎症を起こす
(3)果糖が及ぼす危険
「果糖」は生存には有利だった――サバイバル糖質としての役割
採餌行動と果糖――惹起される極端な活動性
最も危険な糖質は果糖
果糖とがん
果糖といくつかの疾患との関係――オレンジよりリンゴの方が果糖の割合が大きい
食塩感受性高血圧は塩分が原因ではなく果糖が原因
糖尿病での塩分制限は危険である可能性
(4)免疫の低下、血栓の促進
糖化による免疫機能の低下――感染症やがんに弱くなる原因
免疫と血栓
免疫血栓の土台としてのNETs形成
感染が誘発する血栓――心筋梗塞や脳卒中の原因
NETsおよびNETosisが原因、重要な因子となっている疾患
激しい運動で誘発されるNETsと血栓の危険性
(5)糖化に対する防御機能はほとんどない
AGEsを除去するタンパク質は、糖化ストレスで機能低下を起こす
パーキンソン病と糖化
COPD(慢性閉塞性肺疾患)も糖質過剰摂取と関連している
(6)トール様受容体と高血糖
免疫機能のカギを握るトール様受容体
トール様受容体の活性化は早産をも招く
自己免疫疾患ではトール様受容体が活性化している
(7)糖質過剰が引き起こす自己免疫疾患
「免疫」という言葉が意味を成していない
すべての病気には炎症、免疫が関わっている
自己免疫疾患と自己炎症疾患
高血圧でさえ自己免疫が大きく関わる
1型糖尿病は自己免疫疾患? 2型糖尿病は生活習慣病?
緑内障にも自己免疫が関わっている
ほとんどすべての疾患は自己免疫疾患
糖質過剰摂取からすべてが始まる


第5章 世界の動き

(1)アメリカ

糖尿病患者に糖質制限を推奨
エネルギー源としてケトン体も認める
糖質制限が中性脂肪を低下させると発表――アメリカ心臓病学会
(2)カナダ
低炭水化物食に舵を切ったカナダ
低炭水化物食を健康的な食事パターンと認定
(3)遅れる日本
いまだに糖質制限は推奨されていない
カロリー制限と運動によっても改善せずに悪化
いまだに「脳はブドウ糖しか使えない」という厚生労働省
変化した食品業界
ケトン体の重要性と可能性――ケトン体がつねに生成されているのが初期設定
期待されるケトン体の治療への応用
(4)対症療法から、根本治療へ
食事は治療である
人間の病気の根本原因
感染に対して脆弱になった本当の理由
初期設定に戻そう

おわりに 

【著者プロフィール】

清水泰行(しみずやすゆき)
1967年愛知県生まれ。北海道大学医学部卒業。医師。日本麻酔科学会専門医。社会医療法人仁陽会 西岡第一病院勤務。麻酔、ペインクリニック(痛み専門の治療)、漢方内科が専門。痛みの治療だけでなく、背景にある栄養不足・糖質過剰を指摘し、患者の食事の相談にも積極的に対応している。自らも糖質制限によりメタボを脱出。それを機に健康や医療の定説に疑問を抱き、様々な勉強を重ね、学んだことを一般の人に還元するためブログ「ドクターシミズのひとりごと」https://promea2014.com/blog/)を開設、日々更新中。著書に「糖質過剰」症候群(光文社新書)、運動するときスポーツドリンクを飲んではいけない(廣済堂健康人新書)、糖質オフ×プチ断食のW効果でやせる! 不調が消える! (監修、主婦の友社)がある。


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