痛すぎる結果になった阪神との3連戦で見えた今の巨人の「限界」と「可能性」
見出し画像

痛すぎる結果になった阪神との3連戦で見えた今の巨人の「限界」と「可能性」

熱烈な巨人ファンで、多くの野球マニアや選手たちからフォローされるゴジキさん(@godziki_55)が巨人軍を分析。
阪神とヤクルトに引き離されたくない巨人ですが、阪神との3連戦はまたも(しかも今度はホームなのに)1分け2敗と痛すぎる結果に。まだ希望はありますが、まずは3連戦で見えた課題を解消することが最優先事項です。

本連載がもとになっている書籍『巨人軍解体新書』はこちらからお求めください↓↓↓

コアを揃える重要性が再認識された初戦

初戦は先発のCCメルセデスが初回に2点を失い、追いかける展開になった。だが0-3の状況で3回裏に岡本和真が西勇輝から3ランホームランを放ち同点に追いつくと、さらに、丸佳浩が2ランホームランを放って勝ち越しに成功。4回裏には坂本勇人が追加点となるタイムリーを放ち、3点差をつけた。

坂本はここ5年、9,10月は好調で、WBCの疲れで全く動けていなかった2017年を除くと、月間成績はどの年も打率3割とOPS.900を超えている。今シーズンも9月は打率.400  5本塁打  9打点  OPS1.195と絶好調なため、さらなる活躍に期待だ。

広島との前カードを勝ち越した勢いもあり、主軸3人が打点を生み出す展開はまさに理想的だった。何度も書いているが、今の巨人軍はこの3選手がスタメンに並んでいるだけで、相手チームから見たら非常に驚異である。また、丸が外されたり打順を下げられる傾向にあるが、相手か投手からすれば他の打者を歩かせる余裕も出るし、攻め方は楽になる。今シーズンはキャリアハイの活躍だけでなく勝負強さにも光るものを見せている岡本の打席には、是が非でもランナーを置いて回したいところだ。だからこそ、優勝請負人でもある丸は不調時でも外してはならないのである。

勤続疲労とクイックの弊害が生じたCCメルセデス

初戦に先発したCCメルセデスは、左肘の手術から復帰をした今季、キャリアハイに近い投球を見せている。前半戦だけで5勝を挙げるなど、巨人になくてはならない存在だ。特に、阪神戦ではキャリアを通じて相性が良い。しかしこの試合では3回3失点と、ピリッとしない内容だった。

メルセデスの阪神戦の投球成績
・2020年:2試合 2勝0敗 投球回数15回 防御率1.80
・2019年:4試合 1勝2敗 投球回数18回1/3  防御率2.95
※2019年CS:1勝 投球回数7回 防御率0.00

その一因として、ランナーを置いた場面でクイックに意識が行き過ぎるが故に、球威が下がることがあげられる。

投手コーチの指示や指導の下こうなっている可能性もあるが、メルセデスぐらいの実力があれば、打者に集中して本来のピッチングをしてほしいのもある。

加えて、ドミニカ共和国のエースとして東京五輪に参加してからの過密日程も大きく影響しているだろう。五輪では短期間で先発から中継ぎまで3登板するなど、フル回転だった。初戦の日本戦での好投も記憶に新しいだろう。ただ、メルセデスはこれまでのキャリアを見ても、5〜6回をゲームメイクするタイプの投手だった。怪我明けかつ、元々スタミナ充分なタイプではないメルセデスは、東京五輪以降明らかに調子を落としている。8月は2勝したものの防御率は3.24、9月は勝ち星なしで防御率は7.80と大幅に悪化している。好投手だがイニングイーターではないメルセデスが今シーズンのローテーションを引っ張ってきたツケが、このタイミングできていることは否めない。

チアゴ・ビエイラの復帰登板は選定ミス

試合はその後6対5で巨人が1点リードして9回表を迎え、今シーズン守護神としてチームを支えていたチアゴ・ビエイラがこのタイミング復帰登板。だが、同点に追いつかれてしまった。結論から言うと、復帰戦は点差が開いていた前カードの広島戦に設定すべきだっただろう。

今シーズンは途中から守護神となってチームを支えていたビエイラだが、初のフルシーズン参戦ということもあり、満身創痍になった結果、右肘の違和感で離脱を余儀なくされた。それから最短で復帰はしたものの、実践登板から離れていた状態で阪神戦の登板となった。これまでのように相手を圧倒する感じはなく、1点リードの場面で任せるにはまだ早い段階だったのは間違いない。二軍で一度調整登板させた上で一軍にあげるか、余裕がある試合展開だった広島戦に投げさせるべきだっただろう。

代走のスペシャリスト・増田大輝の誤算

6対6に追いつかれた9回裏、1アウト2塁のチャンスで代走に増田大輝を起用。自慢の脚力を活かしてチームを支える影のヒーローだが、この日は痛恨の走塁ミスを2度犯してしまった。これまで「代走屋」としてチームを救ってきた増田だが、自分が求められる役割で満を持して起用された中で立て続けのミスは致命的だった。

2019年・2020年は、増田が塁にいる際は相手にある程度プレッシャーをかけられていたが、今シーズンは過去2年と比較するとその走りに陰りが見えており、今までほどのプレッシャーにはなっていない面もあろう。

1度目、岡本のセンターへのヒットが放たれた瞬間、誰もがサヨナラになった思っただろう。しかし増田は打球判断を誤り、3塁でストップ。

1死アウト満塁となった後、丸の打球に対しても中野拓夢のファインプレーがあったものの、増田ならホームに生還することは可能だった。

昨シーズン終盤に怪我で離脱して以降、増田は代走のスペシャリストとしてのインパクトが薄れている。育成出身の選手は、投手の場合は山口鉄也やソフトバンクの千賀滉大など、長いキャリアを築いた名手たちがいる。

一方、野手の場合は松本哲也こそ新人王を獲得したが、それでも第一線で活躍した期間は短かった。長期間のキャリアを築くドラフト上位指名野手との差は、身体の大きさ等のフィジカル面にあると見ている。松本哲也も一度の怪我から復帰はしたが、怪我する以前のパフォーマンスは残せなかった。増田は今、プロとしての正念場を迎えているに違いない。

高橋遥人に完敗した2戦目

こうして初戦は6対6の引き分けに終わったが、2戦目は阪神の先発・高橋遥人の前に打線が沈黙。0対3の完封負けを喫した。
正直に言うと、この日はただただ高橋が素晴らしかった。昨シーズンは1度も勝てなかった巨人のエース・菅野智之との投げ合いで、気合いもかなり入っていたのだろう。プロ入り最多の球数である128球を投げて、5安打13奪三振の圧巻の投球。この試合の高橋は、ツーシームの良さはもちろんのこと、トータルで見ても全く打てないピッチングだった。特に左打者は手も足も出ない状況だったため、この試合は負けても仕方ない試合だっただろう(逆に言えば、だからこそ1戦目で必ず勝っておきたかったところだ)。

ちなみにこの試合に関しては、張本勲氏も「「江夏を思い出しました。私が現役でも打てないかも」とコメントしている。

怪我で離脱していた高橋だが、復活するまでチームが踏みとどまり、優勝争いに不可欠なピースとなっている。復帰戦となったヤクルト戦は打ち込まれたものの、中日戦と巨人戦はしっかりと抑えている。混戦のセ・リーグでシーズンの最後までわからない状態になっているが、今後も阪神のキーマンとして注目だ。

力負けをした菅野智之にそれでも見えた「エース」らしさ

一方の菅野は8回途中3失点で降板して負け投手に。とはいえ、手に汗握る投手戦を繰り広げ、昨シーズンの8月18日の阪神戦を彷彿させるものとなった。あの時は中5日で登板した菅野が高橋との投手戦を1対0の完封で制して開幕からの連勝を伸ばし、エースの名にふさわしいパフォーマンスを見せつけた。

昨シーズンも全盛期の2017年〜2018年のような圧倒的な投球スタイルではなかったものの、前回登板時の課題点や試合序盤の課題点を上手く修正して試合の流れを作る「ゲームメイク力」は、これまでのキャリアで飛び抜けていた。それと比べて今シーズンは、怪我や故障等での離脱が複数回あり、東京五輪の代表も辞退するなど、これまでのキャリアでも最も苦しんでいるシーズンと言っても過言ではない。

ただこの試合の菅野は、チームが初戦で勝ちきれなかったこともあり、「エースとしての責務」を感じさせるようなピッチングを見せた。9月は今シーズンこれまでの内容と比較すれば良い傾向にあったから、完璧に近い高橋と試合中盤まで渡り合えたのだろう。

しかし、7回表に糸原健斗が値千金の先制ホームランを放ち、その後も中野拓夢に追加点となるタイムリーを打たれてしまい、万事休す。

故障等でチームに与えた影響のこともあってか、菅野がこの試合に賭ける気持ちは非常に強いものを感じさせた。個人的には、怪我から復帰して背水の陣で臨んだ、2年前の日本シリーズ第4戦と似たような感覚で見ていた。ベストなコンディションのシーズンを過ごせていないにしても、背中でチームに伝える姿はエースそのものであり、菅野が巨人軍に在籍している内に必ず日本一になってほしいと思えた試合だった。

馬力がない投手を中4日・中5日で先発させる必要性とは?

そして昨日の第3戦は序盤に許したリードを追いつけず、3対4で敗戦。重要な3連戦は1分け2敗という痛すぎる結果となった。

最後に一つ、気になる点を指摘したい。
今シーズンの後半戦から、巨人は中4日・中5日での先発投手の登板を繰り返している。これに関しては、フルシーズンを戦うのがキャリア実質初となる高橋優貴や、東京五輪明けのメルセデスには逆効果だっただろう。また、MLB挑戦から帰国した山口俊も、アメリカではそこまで登板機会を与えてもらえておらず、2018年や2019年のような馬力は影を潜めていた。短い期間のローテーションを組んで、早い段階で2番手にロングリリーフをさせるのであれば、一枚谷間を挟んでもよかったのではないだろうか。

さらに、ここまで焦ったような先発ローテーションを組んでいたにも関わらず、8月以降は圧倒的なピッチングを見せている畠世周を先発に復帰させないといった起用法は不可解だ。

焦らずに前半戦終盤からの流れそのままに戦っていれば、今の時点では首位に立って優位にペナントを戦えていただろう。この連載で何度も書いているが、高橋優貴も勝利はしたものの、わざわざ中5日で広島戦に投げさせるのではなく、4勝0敗と得意の阪神戦にぶつけていれば、この3連戦の流れはまた変わっていた可能性も高いだろう。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
光文社新書

よろしければサポートをお願いいたします。もっと読んでいただけるコンテンツを発信できるように、取材費として大切に使わせていただきます!

アランちゃんも喜んでいます!
光文社新書の公式noteです。2021年10月17日に創刊20周年を迎えました。光文社新書の新刊、イベント情報ほか、既刊本のご紹介や注目の連載をアップしていきます。お気に入りの一冊について書かれたnoteを収録するマガジン「#私の光文社新書」の投稿をお待ちしています!