視覚化する味覚|馬場紀衣の読書の森 vol.45
スーパーマーケットで野菜を選ぶとき、私たちは外見で(というのは傷の有無や虫食いなどを気にしながら)新鮮さや美味しさを見分けているから、バナナが黄色であることやトマトが赤い色をしていることをいちいち疑ったりしない。だから、かつては赤茶色のバナナや紫色のトマトが販売されており、それが「当たり前」の色だった、と読んだときには驚いた。私はそんな色の野菜を見たことがないし、棚に並んでいるのを見た日には、なんだか子どもが色塗りをまちがえてしまったみたいだな、と思うだろう。
本書によれば