サイボーグになる|馬場紀衣の読書の森 vol.53
SF作家のキム・チョヨプは、15歳のときに神経性難聴と診断されて医師に補聴器をすすめられた。技能者がもってきた「耳あな型」補聴器は耳の中にすっぽりおさまる爪の大きさほどのもので、つけても目立たないようにデザインされていた。「眼鏡店のそれとは違って補聴器店の鏡は、補聴器が外から見えないことを確認させるために置いてあった。わたしは補聴器をつけていることをずっと隠していられた。そして、これからもわたしにはそうすることが求められるのかもしれない、という気がした」。この小さな機器にかぶ