”ゲームの宣伝屋”が明かす「失敗するプロモーションにありがちなこと」4選
こちらの記事より全6回にわたり、『伝え方は「順番」がすべて』(小沼竜太・著)の本文を抜粋してご紹介します!本書は「Fate/Grand Order」や「ペルソナ」シリーズなど人気作のプロモーションに携わる〝ゲームの宣伝屋〟が「伝え方」の極意を明かした一冊。※詳細はこちらの記事を…。
今回はズバリ、「失敗するプロモーションにありがちなこと」。17年以上ゲームのプロモーションに携わる著者が「よくあるんですよ…」とこっそり、4つの失敗パターンと、ご自身が常に心がけている”プロモーション成功のヒント”を明かしてくれました。
失敗するプロモーションにありがちなこと
本書(『伝え方は「順番」がすべて』)の内容を非常にざっくりとまとめると、次のようなものだ。
「プロモーションを成功させるためには、『誰に』『何を』伝えるのかを整理し、『どのように』伝えるのかコミュニケーションプランを練り、伝える情報の順番に細心の注意を払い、毎回確認しながら施策を組み立てる必要がある」
反対に、やりがち・失敗しがちなプロモーションというのも存在する。
参考までに挙げておこう。
(1)最初にターゲットの設定から入る
「新規・既存」「年齢」「性別」等の属性といった概念で最初にター
ゲットを設定してはいけない。
まずコミュニケーションすべきは、常に「受容者」である。
その上で、個別のアクション(施策)に落とし込む段階でターゲットを個別に精査すべきである。更に言えば、アクションの施行ごとにコンテクストには変化が生じる。その変化を見越した、時系列に沿った思考が必要である。
(2)具体的な施策から考え始める
消費者と商品(モノ・サービス)について理解を深めず、最初に具体的な施策から考え始めるのも危険だ。
たとえば「今度のプロモーションでは公式ツイッターをやりたい」や「専用の特設サイトを作りたい」という具体的な施策から発想すると、プロモーション全体が失敗に終わりやすい。
本章で書いたが、具体的施策を決める前に、ユーザー・コミュニケーションを組み立て、現在地と目指すべき地点を明確にすべきだ。
(3)施策の順番より、組み合わせを重視する
これも致命傷になる。施策の順番を間違えると取り返しがつかない。一度離れた顧客は戻らない。施策の組み合わせ(たとえば「テレビCM」と「駅中広告」と「公式ツイッター」等)が大事なのではなく、それら施策をどの順番で行うか、という点が重要だ。
(4)トレンド、バズワードを追う
マーケティング業界におけるバズワードを追いかけ続けるのは自殺行為に等しいことが多い。新しいマーケティングノウハウを探し出しても、実施した時には周回遅れになっている。
これは先人の発明やノウハウを軽視するという意味ではない。むしろ学べるだけ学んだほうがよい。学べることは過去のマーケティング事例や、伝統的な学問(社会学、人類学、哲学)にもある。
目新しいことを探すのではなく、常に本質に立ち返ろう、ということだ。
コミュニケーション上の課題を解決する上で必要なことこそ、考えるべきと思う。新しいノウハウを血眼になって探すよりも、根本的なところに立ち返ったほうがよい。
”ゲームの宣伝屋”が意識していること
新しいテクノロジーが流通しだした時は注目したい。なぜなら、将来的には社会(生活)を変える可能性があるからだ。
日々テクノロジーは進歩しており、テクノロジーの進化は社会(生活)を変化させる。社会に変化が生まれると、望ましいマーケティング/コミュニケーションの形が変化する。
しかし、テクノロジーオタクになれ、という意味ではない。社会や文化の変化にこそ、気をつけたい。
すでに存在するテクノロジーが、社会や文化の変化によって一挙に浸透することもある。社会や文化は急激には変化しないと思われがちだが、我々の社会(世界)はこれまでの歴史の中で、一度たりとも不変だったことがない。不変の価値観というものは存在しない(存在したことがない)。
社会の価値観の上で、我々の仕事(筆者の場合はコミュニケーションプランニング)が成り立っている。「社会の変化を察知する上で、テクノロジーの進化に注目しておこう」ぐらいの意味で受け取っていただけると幸いだ。
『伝え方は「順番」がすべて』より一部抜粋・再編集しました
次回は最終回「コンテンツの海外進出」についてです。お楽しみに!