【名言集】光文社新書の「#コトバのチカラ」 vol.138
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三好範英『ドイツリスク』
資源輸出にしか頼れないロシア経済は、西側先進主要国に比して脆弱性を抱えている。ソ連時代もヨーロッパに対し石油、天然ガス供給を停止したことはなかった。相互依存の深化は、ドイツにとっての対ロシア依存より、ロシアにとっての対ドイツ依存の方が決定的に強くなるからである。
仲正昌樹『「みんな」のバカ!』
いちど「みんな」を見失ってしまって、「みんなはどこにいる……」と自問し始めたら、もはや、前と同じような「みんな」を見出すことはできない。見出したつもりになってもそれは、「みんな」という「言葉」によって「再現前化」された「みんなのイメージ」にすぎない。
岡康道『勝率2割の仕事論』
広告は時代との合わせ鏡である。日本という国の空想のアルバムには、戦争や災害などの大見出しと並んで、広告のページもどこかにはある。綿々と続く表現の連続のなかに、時代による人々の心の変化も示されているだろう。
大森信『掃除と経営』
当たり前のことを継続させるためには、当たり前でない工夫や知恵などが求められるのである。
山本博文『日本史の一級史料』
無名の人の言動や、お城や街の噂を書き留めたものも、史眼を養っていく上では非常に有効な史料です。こうしたものを活用することは、邪道ではなく、むしろ「歴史学」を豊かにすると言ってよいでしょう。
モカ 高野真吾『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』
この世界は、残酷でもある。しかし、美しいとも思う。そんな、上がったり下がったりの繰り返しかもしれない。けれど、過去から現在にかけて、かつては起こり得なかった事柄が起き続けてきたように、これからの未来も、ただの繰り返しではなく、なにか変わってゆくのだと思う。
宮元健次『京都名庭を歩く』
臨時税、人夫徴用、そして掠奪。情け容赦ない修羅の態度で義政が造営した銀閣寺は、死臭漂う焼け野原と化した京都の中で、唯一絢爛たる別世界を構築することにまんまと成功したのである。これを「悪の華」と呼ばずして何と呼べようか。