【名言集】光文社新書の「#コトバのチカラ」 vol.106
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島田裕巳『お経のひみつ』
私たちは、汚れるということに対してもかなり神経質だ。日本の神道では、汚れを嫌い、その汚れを祓い、浄めることを重視している。『般若心経』は、汚れること自体を否定し、だからこそ浄める必要もないとしているのだ。
近藤誠『近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか?』
患者さんは、「こんなことを聞いたら怒られるかな」とか、「こんなくだらない質問をしたら恥ずかしい」と、思うことがあるようです。でも、くだらない質問というのは、ないんです。その人が知りたいと思っていることは全部、その人にとって意味がある質問なのです。
伊藤元重『日本経済を「見通す」力』
みんなが経済のロジックを身につけて、ロジックにしたがって行動するというのは一つの理想ではあるのですが、現実はそうはいきません。その現実の複雑さを知ることも、経済を理解するうえでは非常に重要なことなのです。
渡邊大門『謎とき 東北の関ヶ原』
昔は一次史料が現在のようにたくさん活字化されているわけでもなく、二次史料のほうが活字化が進んでいた。内容も非常にわかりやすかったといえる。そこではさまざまな俗説が語られており、それらが小説やテレビドラマで増幅され、人口に膾炙したといえよう。
内藤誼人『スナップ・ジャッジメント』
顔の表情や、言葉の内容は、当人が意識してコントロールできる。つまり、それだけ偽装の試みが可能なのだ。したがって、より当人が無意識のうちに発するシグナルのほうを重視してスナップ・ジャッジメントを下せば、それだけ精度の高い判断ができるというわけである。
梅森直之『ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る』
歴史もまた「日本人」を規定することはできない。なぜなら「日本人」が、歴史の範囲を規定するのであって、その逆ではないからである。
石黒圭『日本語は「空気」が決める』
言語のグローバル化、すなわち英語化は、たしかに世界を効率的なものにするでしょうが、同時に、世界が平板でつまらないものになってしまう気がします。文化の豊かさは多様性のなかに育まれるものです。