【名言集】光文社新書の「#コトバのチカラ」 vol.105
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春日武彦『問題は、躁なんです』
躁は、楽しいことや嬉しいことがあるから生じるわけではない。悲しみや軋轢が原因となっていることもあれば、およそ動機など見当たらないこともある。喜びがないのに躁状態を呈している人こそが、心の不思議さと、人間という存在の寂しさを痛感させる。
所澤秀樹『「快速」と「準急」はどっちが速い?』
頁にまだ少し余裕がありそうだから、この場において、選に洩れたやつを、ちょっとばかし紹介していこうと思う。 「あとがき」にきっぷの見本が出てくるなど、なんだか変な感じがするけれど、もともと本書自体、変な存在なのだから、気にしない。
小島毅『足利義満 消された日本国王』
義満がその治世四十年間に直面していたのは、元の滅亡と明の建国、そしてその内戦という事態の推移であった。その結果として、かれは「日本国王」となるのである。
島原万丈+HOME’S総研『本当に住んで幸せな街』
建物や施設、公園や病院といったものの人口あたりの数が、より多く、より大きく、より新しければ、「住みよい」という判断が下されるのです。逆に言えば、この価値観を受け入れられない人にとっては、「住みよさランキング」にはまったく同意できないでしょう。
富田昭次『おひとりホテルの愉しみ』
なぜ、おひとりホテルなのかと問われれば、それが答えのひとつになるのかもしれない。ひとつの出来事、ひとつの会話、ひとつの風景が折り重なって心に刻まれ、時間が経つにつれて発酵し、温かい思い出となって沈澱していくのである。
松尾佑一『理系研究者の「実験メシ」』
恥ずかしながら、僕は実験してみて、そして若干の調べ物をして、ようやく理解した。自分たちが食べているものの工程とか、安全性は、ちゃんと一から理解してから判断することがとても大切なことだと。生クリームとホイップクリームのボトルを並べながら、そう思った。
岡崎武志『蔵書の苦しみ』
蔵書は健全で賢明でなければならない。初版本や美術書など、コレクションとしていいものだけを集め、蔵書を純化させていくやり方もあるだろうが、ほとんどの場合、溜まり過ぎた本は、増えたことで知的生産としての流通が滞り、人間の身体で言えば、血の巡りが悪くなる。