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メリークリスマス ミスタードーナツ|パリッコの「つつまし酒」#192

意外と多かった、しょっぱい系メニュー

 有名だけれども自分にはあまり縁のない飲食チェーン店ってありますよね。たとえば自分にとっては「ミスタードーナツ」がそれ。理由はシンプルに、甘いものにさほど興味がないから。
 けれどもずっと前から、薄々気づいてはいたんです。ほら、ミスドのって、外からガラスごしになかが見える店舗が多いでしょう。で、店内で飲食をしているお客さんで、ドーナツではなく、な〜んかメシっぽいもの食ってる人、たまにいない? と。なんか、ラーメン的な? 先日、そういえばあれってなんなんだろうと、ホームページを見てみたんです。そしたらなんと、メニューに「飲茶」というコーナーがあって、「四川坦々麺」「汁そば」「たまごチャーハン」なんていう、かなり本格的な食事メニューがあるじゃないですか。はは〜ん、これだったのか。あの人たちが食べてたのは、と。そんなことも知らない僕のことを優越感に浸った目で眺めつつ、シンプルな具なしではあるけれど妙にうまそうな汁そばなどをすすっていたのか、と。あまつさえデザートに、ドーナツを食べていたのか、と。
 さらに、ピザやホットドッグ、パイなど、想像以上に豊富なしょっぱい系のメニューがあるんですね。盲点だった。ただしさすがに、酒類の提供はないようです。そこで今日は、テイクアウト可能なミスド商品あれこれを買ってきて、家でひとりクリスマスパーティーとしゃれこもうじゃないですか。

ネットオーダーが便利でした

かわいいグラスも見てやって

 さっそく行ってきましたよ。ミスド。かつて喫茶店がわりに利用させてもらったことはあった気がするけど、それでも人生で3回目くらいかもしれない。そんな僕にとってあきらかに、一生ぶんとも思われる量の商品を買いこんできました。さっそく大皿にどんどん並べていきましょう。

どーん

 買ってきたのは、期間限定の「ピカチュウ雪だるまドーナツ」(テイクアウト価格、税込み291円)。これまた期間限定の「ポン・デ・リース ホワイト」(172円)。さらに、「チーズドッグ」(432円)、「エビグラタンパイ」(237円)、「とろ〜り4種のチーズパイ」(237円)、「ホット・セイボリーパイ BBQフランクフルト」(237円)。さらにさらに、「たまごチャーハン ハーフ」(324円)、「北海道コーンスープ」(356円)。あこがれのラーメン系メニューは残念ながらテイクアウト不可だったので、こんどお店に食べにいくとして、こんなにもしょっぱい系、つまり、酒のつまみとしてもいける系の選択肢があったんですね。

特にこのへんの迫力がすごい

 帰り道、クリスマスパーティーといえばスパークリングのロゼだろう、という勝手なイメージをもとに酒屋さんにも寄って、お酒の準備も万全。つるんと丸っこい瓶のフォルムがかわいかったという理由で、ポルトガルの「マテウス ロゼ」というのを買ってきてみました。

準備完了

 あ、ちなみに本筋とは関係ないんですが、ちょっと自慢させてもらっていいですか? いや、今日使っているのが、先日古道具屋さんで見つけた、サンタクロースがモチーフのグラスなんですけどね。これがめっちゃかわいいんですよ! 前後にキュートなサンタおじさんの、前面と後面が描いてあって、サンタの顔は透明になっているので、注ぐ飲みものの色によって変わるようになっている。しかも、詳細はわからないのですが、1990年に作られたサンリオ製品らしいのです。そこにもグッとくる。

サンタがかわいい
裏面もかわいい
サンリオ社製

以上、クリスマス前に偶然手に入ったことが嬉しい、かわいいグラス自慢でした。

シメはもちろんドーナツで

 ではでは、そろそろパーティーを始めましょう。かんぱ〜い!
 ……お、この、マテウス ロゼ、すっきりとした甘みと微発泡感が心地よく、うまいですね。スイスイ飲めちゃうけど、度数は11度あるから注意が必要だ。
 さておつまみ。まずは、まさかのチャーハンからいってみちゃおうかな。お、わはは、ちゃんとうまい。いやむしろ、超うまい。仕上がりパラッパラで、味かげんや香ばしい油の香りも絶妙。こりゃあラーメン系も期待できるぞ〜。こんど、お昼に食べに行ってみよう。

本格的なチャーハン

 続いてコーンスープ。濃厚でコーンたっぷり。なんだか子供のころを思い出す美味しさです。コーンスープってなんというか、僕のなかで永遠に「蝉時雨」とか「雪景色」とかと同じ“ノスタルジースイッチ”フォルダに入ってるんですよね。都会の暮らしに疲れたらまた飲もう。ミスドのコーンスープ。
 続いてザクザクとカットしてきたパイたちを。あ〜、パイってあんまり食べる機会のない食べもののひとつだけど、何層にも重なったサックサクの生地がほのかに甘く、バターの香りたっぷりで、超うまいな! フランクフルトの重量感、エビグラタンの優しさ、スパークリングワインに合う合う。なにより収穫だったのが4種のチーズパイ。見た目はシンプルなんだけど、種類の違うチーズたちの旨味が絡み合い、それとパイ生地の相性が抜群で、どっか外国の美味し〜い銘菓のよう。これ、もっと細切りにして、ちびちびつまみにするのがいいかもな。とにかくワインに最強です。
 巨大ソーセージとかなりハードめのパンで、これまた食べごたえ満点のチーズドッグもそりゃうまい。腹持ちも良さそうなので、ランチにもぴったりですね、これは。

大満足

 という感じであちこちつつきながら飲んでいたら、さすがにもう限界。満腹。そもそもとうてい、ひとりで食べられる量じゃなかった。まぁ、あまったぶんはきっと、家族も喜んで食べてくれることでしょう。
 ただ、最後にドーナツもひとつくらいは食べて締めよう。でないとさすがにミスタードーナツに失礼だ。
 期間限定のポケモンとのコラボ商品、ピカチュウ雪だるまドーナツ。その「雪だるまで作ったピカチュウ」というコンセプトゆえ、ぜんぜんピカチュウに見えないのがかわいすぎる。よし、君に決めた!
 がぶりとかぶりつくと、パリッとしたチョコのコーティングの下から、スイーツにうとい僕にはよくわからないんですが、「ドーナツでございます!」としか言いようのないふわふわの本体が。この、“ございます!”部分の味や香りって、なに由来なんですかね? とにかく久しぶりに食べるドーナツ、うまいな。たっぷりのふわとろクリームも贅沢で、しかもワインにもぜんぜん合いますよ。あぁ、いいひとりクリスマスパーティーだった。
 というわけで、2022年のつつまし酒の記事更新はこれで最後。今年も1年、お付き合いくださいましてありがとうございました。
 みなさんも、良いクリスマス、そして年末年始をお過ごしください〜。

メリークリスマス!

「つつまし酒」からのお知らせ

この連載「つつまし酒」は本日から隔週連載となります。次回の更新は来年1月6日(金)の予定です。隔週連載となりますが、来年もパリッコさんの晩酌ライフを見にきていただけますと幸いです。それでは、良いお年を。


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パリッコ(ぱりっこ)
1978年、東京生まれ。酒場ライター、DJ/トラックメイカー、漫画家/イラストレーター。2000年代後半より、お酒、飲酒、酒場関係の執筆活動をスタートし、雑誌、ウェブなどさまざまな媒体で活躍している。フリーライターのスズキナオとともに飲酒ユニット「酒の穴」を結成し、「チェアリング」という概念を提唱。2021年8月には、新刊『つつまし酒 あのころ、父と食べた「銀将」のラーメン』を上梓! また、『ノスタルジーはスーパーマーケットの2階にある』(スタンド・ブックス)『晩酌わくわく! アイデアレシピ』 (ele-king books)、『天国酒場』(柏書房)、『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』(光文社新書)、『酒場っ子』(スタンド・ブックス)、『晩酌百景 11人の個性派たちが語った酒とつまみと人生』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、漫画『ほろ酔い! 物産館ツアーズ』(少年画報社)、など多数の著書がある。
Twitter @paricco

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