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最近気になる“大豆モノ”たち|パリッコの「つつまし酒」#204

大豆で作ったヨーグルト?

 好物のだいぶ上位に入ります。「豆腐」。なので当然、厚揚げ、あぶらあげ、納豆、豆乳などの“大豆モノ”も基本的に大好き。また、あの世界って、同様に好きな人が多いうえ、健康的でもあるから、常に興味深い新商品が展開される、スーパーのなかでも特に目が離せないコーナーなんですよね。
 最近も、だいぶ気になる商品を発見しました。その名も「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」。僕にもどういうことかはよくわかってないんですが、ずいぶん前に、体にとても良いっていうんでブームになった「カスピ海ヨーグルト」ってあるじゃないですか。やたらととろみの強い。それを、牛乳を使わずに大豆を原料に作った商品らしいんですよね。
 なんだか気になるなと思ってホームページを見てみると、そのアレンジレシピ集がおもしろくて、甘いソースと合わせてデザートっぽく食べるのは当然ながら、おろし生姜&醤油とか、わさび&醤油で食べたり、おみそ汁に入れたり、グラタンや麻婆豆腐の材料にまでしてしまってるんですよ。一体どういう味? 基本、豆腐と同じように考えていいのかな?

フジッコ「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」

 当然買ってきて、まずはそのまま味見してみると、なるほど、ほんのりとヨーグルトっぽい酸味はあるけれどもそこまで強いわけじゃなく、とろとろのゆばのような、究極にふわふわとなめらかな豆腐のような、謎の食感がおもしろい。大豆の風味もしっかり感じます。
 ではこれを、しょっぱい味つけにして、酒のつまみにしてみましょう。まずは醤油をかけ、薬味にねぎとみょうがも加えて冷奴風に。

冷奴風

 すると、おお、最初はなんだか不思議な感じなんだけどすぐに慣れ、で、慣れるとうまい! ほんのりとしたヨーグルトっぽさがむしろさっぱりとして、醤油&薬味の味つけも違和感がないし、スプーンでちびちびとつまめるのもいい。豆腐と違って、ほんの少しだけつまみたいなっていう気分にも対応自在だし、なにより、これは完全なプラシーボ効果だと思うんですが、食べた瞬間からなんだかお腹がすっきりしてきたような気さえします。ありだなー! あり!

こんどは洋風に

 続いてオリーブオイル&塩でも試してみたところ、こんどは俄然、チーズっぽい。こっちはこっちでいいぞ! 自在だな、SOYカスピ海ヨーグルト!
 はっきり言って、かなり気に入ってしまいました。特に、晩酌の終盤、な〜んかもうちょっと食べたいな〜、なんて時にはちょうどいい食材かも。

圧倒的ボリューム感

 続いて、スーパーで発見し、これまた買い物かごに放り込まざるをえなかったのが、相模屋の「たまごでとじる揚げ出しとうふめし」。

「たまごでとじる揚げ出しとうふめし」

 もう、パッケージからしてインパクト絶大じゃないですか? 老舗のおでん屋「お多幸」に、おでんの豆腐をごはんにのせただけの「とうめし」という名物料理がありますが、それをさらに暴力的にしたようなビジュアル。どんぶりめしの上に揚げ出し豆腐がのっていて、玉子でコーティングされてて? どうなってんだこれは。ごはん抜きの単品でもおつまみに良さそうだしと、買ってみました。さっそく開封。

どん!

 すると中身は、想像以上にストイックな構成。でっけぇ揚げ出し豆腐とタレのみ。こちらで用意するものは、ごはん適量と、玉ねぎスライス適量と、生玉子。その生玉子の数が、なんと3個! 1食で玉子3個!? こりゃあどえらいことになってきたぞ。
 パッケージには2通りの作りかたが書いてあり、直火の場合、玉子を2回に分けて入れたり、その間、レンジで玉ねぎを温めておかないといけなかったりと、ちょっとめんどうそうです。その点、電子レンジ調理は、すべての具材を付属の容器で合わせ、500wで3分温めればいいだけとお手軽。そちらを採用しましょう。
 器に揚げ出し豆腐を取り出し、その上にスライス玉ねぎをのせ、付属のつゆと合わせた3個ぶんのとき玉子をかけ、ラップをして電子レンジへ。

はい完成
いただきます

 あっという間に完成した揚げ出し豆腐の玉子とじを器に盛りつけ、ねぎと七味を加えて、いざ、いただきます! って、ごはん抜きでもすさまじいボリューム感だな……。お味のほうはというと、そりゃあうまいですよ。熱でとろりと柔らかくなった豆腐と、香ばしい衣。それを包み込むたっぷりの卵。また、つゆが良くて、いわゆる、おそば屋さんの丼ものの味なんですよね。だしが効いて甘辛い、親子丼とか、かつ丼系の。パッケージに「まかないめし」と書いてあった理由がよくわかる。これはもはや、問答無用ですね。

ごはんとの相性も確かめる

 当然興味が湧いて小盛りのごはんを足してみると、これまた、そりゃあうまいに決まってる。ただですね、重ね重ね、ボリューム感が尋常じゃない。これ。たとえば、あまり大食いな人間がいない我が家の場合だと、親子3人ぶんのおかずをじゅうぶんにまかなえるレベル。そういう意味でだいぶお得だし、肉っけが一切ないのに満足度はやたらと高いので、一度は試してみて損のない一品と言えるでしょう。

新感覚豆腐あれこれ

 さて、こちらはすでに僕的にはおなじみで、食べたことがあるという方も多いんじゃないでしょうか。

同じく相模屋の、変わり種豆腐シリーズ

 僕がしばしば買っているのが、「うにのようなビヨンドとうふ」というほうで、これがちょっと驚きなんですよね。はっきり言って、うにそのものではない。豆腐だからそりゃあ当然。だけど確かにうにっぽくて、確かに潮の香りがして、むちゃくちゃ濃厚で、けれども豆腐なので、生ぐささみたいなものは一切ない。むしろ、うによりも好きって人も多いんじゃないか? っていう、新感覚豆腐なんです。

新時代の珍味

 もともと塩気が効いているのでそのままでも美味しいんですが、わさび醤油なんかをかけてちびちびとやれば、日本酒がいくらでもすすんでしまう。もちろん、白いごはんにも合いますよそりゃ。
 さらに「マスカルポーネのようなナチュラルとうふ」。よく、うに豆腐の横に並んでるのは見たことあったんですが、こっちは初めて買ってみました。実際に食べてみると、究極に濃厚&とろける食感のうますぎ豆腐って感じ。ところがここに、オリーブオイル、岩塩、コショウなどで味つけしてやると、あ、確かにこれは、俄然チーズだ! ヘルシーであっさり、けれどもきちんとコク深い不思議なチーズ。これまたいいつまみになりますね〜。

ワインと合わせたい

 今回最後にトライするのは、ちょっと異色なこちら。

「ずっとおいしい豆腐」

 これ、小さめの紙パック飲料のような容器入りの、常温でなんと120日という長期保存が可能な豆腐だそうなんです。無菌環境で、特殊な加工がされた容器に詰めることにより実現した商品らしいんですが、個人的にはやっぱり、味のほうが気になっちゃいますよね〜。というわけで、せっかく賞味期限の長い豆腐を、買って即開封。

これが紙パック入り豆腐だ

 容器からでろんと姿を表した豆腐。見た目からしてなんというか、みっしりしてます。密度が濃い感じ。

薬味&醤油で

 さっそく刻んだねぎとかつおぶしをたっぷりのせ、醤油をかけて食べてみる。すると、へ〜! なんの違和感もなくちゃんと豆腐なばかりか、ものすごく大豆の味が濃く、食感もまったり濃密で、これもう、長期保存ができなくてもいいから、次から銘柄指定で買いたいくらいに美味しいっす!
 すごいな。とりあえず早めに、いくつか買い足しておくかな。だって、たとえば災害時などの緊急事態でも、思い立ったら冷奴が食べられるんですよ。しかもこんなに美味しい。すぐれものすぎる〜。
 というわけで、スーパーへ行くたびに気になる商品が見つかる“大豆モノ”たち。今後も引き続き、調査を続けてみようと思います。


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パリッコ(ぱりっこ)
1978年、東京生まれ。酒場ライター、DJ/トラックメイカー、漫画家/イラストレーター。2000年代後半より、お酒、飲酒、酒場関係の執筆活動をスタートし、雑誌、ウェブなどさまざまな媒体で活躍している。フリーライターのスズキナオとともに飲酒ユニット「酒の穴」を結成し、「チェアリング」という概念を提唱。2021年8月には、新刊『つつまし酒 あのころ、父と食べた「銀将」のラーメン』を上梓! また、『ノスタルジーはスーパーマーケットの2階にある』(スタンド・ブックス)『晩酌わくわく! アイデアレシピ』 (ele-king books)、『天国酒場』(柏書房)、『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』(光文社新書)、『酒場っ子』(スタンド・ブックス)、『晩酌百景 11人の個性派たちが語った酒とつまみと人生』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、漫画『ほろ酔い! 物産館ツアーズ』(少年画報社)、など多数の著書がある。
Twitter @paricco

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