
【名言集】光文社新書の「#コトバのチカラ」 vol.93
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高橋祐貴『幽霊消防団員』
消防団の金銭の在り方を巡る課題は、報酬・手当に限った問題だけではなく、複雑に絡み合っている。旧態依然としたシステムを都合よく解釈してきたことで、つじつまが合わなくなってきている。
観山正見『太陽系外惑星に生命を探せ』
四乗に比例して確率は増えるから、一万年文明が存続できれば充分地球外生命と交信可能となると思われる。
この予測は、ずいぶん意味深い。
人類が平和でかつ協力的に、生態系を壊さない形で文明を維持できればできるほど、それだけ他の宇宙生命と交信可能となるのだ。
伊藤玲阿奈『「宇宙の音楽」を聴く』
幸せな人だからといって、必ずしも幸せな曲を書けるわけではありません。逆に、とてもつらい状況であるからこそ“幸せ”へのあこがれが強くなり、かえって幸せな人よりも幸せな曲を書ける場合だってあるのです。
蓮實重彥『見るレッスン』
今のところ、映画は惰性で映画たり続けているわけで、技術的に何かを新しくしようとしても、結局のところ古い映画の語り方に戻ってしまう。その意味では、むしろ惰性の強さというものに人々は驚いたほうがいいのかもしれません。
長山靖生『不勉強が身にしみる』
現状を生き抜くための具体的な取り組みを行っている人は、意外と少ない。学ぶこと、考えることのほかに、自分の現実を変える手だてはないというのに、従来の知識が役に立たなくなり、これまでの努力が無駄になったなら、新しく勉強し直すよりほかない。
斎藤糧三『慢性病を根本から治す』
薬を出すことに主眼を置いている従来型医療は、患者さん本人ではなくその病気を診ているだけ。(中略)同じ病名診断が下される病気でもその病態は人それぞれですから、患者さんの病気ではなく、病気を持った患者さんという人を診るべきです。それこそが機能性医学の視点なのです。
許光俊『世界最高の日本文学』
小説を読むというのは、人間の悲しさに触れることだ。一見喜劇的で滑稽に見える文学だって、その底には悲しげな何かがある。モーツァルトの「悲しくない音楽はない」という言葉は有名だが、すぐれた文学も例外なく悲しいものなのかもしれない。