【名言集】光文社新書の「#コトバのチカラ」 vol.96
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小林哲夫『東大合格高校盛衰史』
学生運動は、「全共闘」「1968年」というキーワードで顧みられる。しかし、高校生運動はすっかり忘れ去られ、歴史に埋もれたままだ。団塊世代より少し下の50〜53年生まれで60年代後半の高校生活動家には、東大合格間違いなしといわれるほどの成績優秀者が少なくなかった。
ナカムラクニオ『洋画家の美術史』
黒田清輝は西洋画をそのまま「輸入」したが、藤島武二はその食材を巧みに「料理」した。藤島の作品は、ハイカラな牛肉を使ったスキヤキ、ビフテキであり、時には庶民的なトンカツ、コロッケのようでもある。とにかく様々な調理法で、日本の文明開花を調理したのだ。
井上隆史『三島由紀夫 幻の遺作を読む』
三島の死は、むしろ共同体の精神史のうえで確たる意味を持つ死、私たちの文化的アイデンティティの空洞化が、決して後戻りできない地点にまで進みつつあることへの批判の死、具体的には憲法改正のための捨て石となる死、あえて言えば紛れもない諫死でもあったのだ。
岩本茂樹『先生のホンネ』
先生が“ガンバリズム”にひた走る生徒を歓迎するのは、受験を最上位とする学校秩序の安定にある。つまり、この「部活生徒成績向上」説の信奉者を広めることこそが、指導者である先生にとって、自己の身を守る最良の生徒誘導策だということである。
村中璃子『新型コロナから見えた日本の弱点』
「衛生学」が労働者が自立する「権利」のために発達した学問であったのに対し、「公衆衛生学」は国家が疾病を管理するため国民に課した「義務」の論理的基盤となる学問だった。
片山善博 釼持佳苗『地域間交流が外交を変える』
地方とのパイプも、その種類が多ければ多いほどいい。例えば、子ども、女性、中小企業同士の交流、土木、教育交流など、いろんな交流の形態が考えられる。とにかく数多くのパイプを作ることが、ひいては国家と国家の関係を、バランスのとれた安定したものにすることができるのだ。
齋藤孝『座右のゲーテ』
「胸にしまっておけ」とゲーテが言うのは、個々の思索の具体的プランをあれこれ話すべきではないというより、その人の魂にとって大事なことをむやみにしゃべるなという意味だろう。語らず心にしまっておくことで、エネルギーは満ちてくるものだ、と賢者たちは教えている。