超格差社会の韓国で庶民が見た希望のドラマ「椿の花咲く頃」
光文社新書の永林です。三度目の緊急事態宣言が出ますね。今回は酒類の提供を禁止するところもあり、飲食店に従事する人たちの生活が心配されます。今回の「ジェンダーで見るヒットドラマ」で取り上げるのは、韓国ドラマ「椿の花咲く頃」。主人公は、スナックを経営しながらひとり息子を育てるシングルマザーです。学歴がなかったり長らく仕事をしていなかったりした女性が就ける安定した仕事は、そう多くはありません。現代日本にも、お酒を出す店で働きながら子どもを育てるシングルマザーがたくさんいることでしょう。彼女のように毎日を必死で生きる女性が、仕事もできず、子どもと出かける場所も奪われたらどうなるのか、為政者には見えないのでしょうか。
本作は、今まで取り上げてきた韓国ドラマと異なり、登場人物はほぼ全員、庶民です。治部れんげさんは、「他人を徹底的に肯定することから始まる奇跡の連鎖」がこのドラマの見所だと語ります。
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※以下、治部れんげさんの記事はネタバレを含みます。ドラマ未視聴の方はご注意ください。
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奇跡とは他人をそのままで尊重すること――韓国格差社会が見た希望「椿の花咲く頃」
2020年6月始め、私はがっかりしていました。Youtubeで見ていた韓国の総合芸術賞、百想芸術大賞の受賞式で「愛の不時着」があまり評価されなかったからです。「不時着」は、一般視聴者の投票による「人気賞」を主演のヒョンビンとソン・イェジンがとった他は、助演女優賞のみで、主要な賞をとれませんでした。
実はこの年、韓国で最も評価が高く人気を博したドラマは、同賞のドラマ部門で大賞、同男子最優秀演技賞、同男子助演賞、テレビ部門脚本賞と4つも賞を取った「椿の花咲く頃」でした。シングルマザーのヒロイン・ドンベク(コン・ヒョジン)と素朴な巡査ヨンシク(カン・ハヌル)のラブストーリーにミステリー要素を絡めた話です。
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