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U.F.O.で飲む日々|パリッコの「つつまし酒」#207


「おでかけポリ袋入れ」が欲しくて

 突然現れたんですよ。我が家に3機のUFOが。えぇ、お察しのとおり、「日清焼そばU.F.O.」の話なんですけどね。

3機のUFO

 僕、ふだんそんなに、カップ麺を買うタイプじゃないんですよ。じゃあなぜそんなことが起こったかって、これのせいなんです。

これ

 いや、スーパーへ行ったらね、日清のU.F.O.、もしくはどん兵衛を3個以上買うと、この、ミニチュアサイズの「おでかけポリ袋入れ」がもらえるっていうんですよ。ぶっちゃけ、生活に必要ないじゃないですか。こんなもの。けど、かわいいじゃないですか。見つけちゃったらもう、手に入れるしかないじゃないですか。3秒後にはカゴに入れてましたよね。U.F.O.を3つと、おでかけポリ袋入れを。せっかくだからその場にあった3種類の味、全部。それがさっきの、3機のUFOの写真だったというわけで。

こんな袋が出てくる入れもの

 となれば、始まりますよね。始まってしまいますよねぇ。“U.F.O.で飲む日々”が。3日間は必ず必要になりますよね。ならばせっかくなので、基本味、汁なし坦々麺味、シーフード味、それぞれに、ちょっとオリジナルのアレンジを加えつつ楽しんでいってみようかなと、今回はそんな主旨でございます。

君といつまでも

 さて初日。今日はオーソドックスなソース味のU.F.O.をつまみに飲んでいきましょう。アレンジはそうさな……オムそば風なんてどうでしょう?

こんなアイテムをプラスして

 ここでいきなり、僕の必殺“つつまし技”(家飲みにおけるせこい知恵)が炸裂します。この「ちょい足し野菜プラス」というアイテム。いわゆる、お湯で戻すタイプの乾燥野菜なんですが、これを入れるとどんなカップ麺でも野菜マシマシになってしまうという裏技的な一品なんです。こいつをまず、デフォルトだと少しだけ寂しめなU.F.O.のカップに追加して、野菜マシバージョンのU.F.O.を作っていきましょう。

ここに
こう足して
こう!

で、この時点でもうパーフェクトに、食事としても酒のつまみとしても完成されているU.F.O.ですが、今日はもうひと手間やりすぎてしまいましょう。

たっぷり3個ぶんの玉子を使った玉子焼きを作り
U.F.O.を
包む!

U.F.O.自体がそもそもかなりのボリュームなので、包めているかいないのかが微妙なラインではあるけれど、まぁなんとかなってると言えるでしょうか。で、ここにさらに、おたふくソースとマヨネーズ、付属のふりかけと七味をふりかければ、完成! オムそば風U.F.O.!

どかーん

いやぁ、こいつがですね、ただでさえうまい、ぷりぷり太麺が特徴のU.F.O.に、じゃきじゃきとした食感のマシマシ野菜。さらに、それをふわりと包む玉子焼きとソース&マヨの破壊力で、もうね……ビール。ビールに、この世でいちばん合いすぎるんですよ。いやぁ、幸せだなぁ……なんつって、もう、俗にいう加山雄三状態。

「僕は君といる時が一番幸せなんだ」

想定外のちゃんぽん風

 さてまた別の日。この日は「汁なし坦々麺味」をつまみにしていきましょうか。まずは、パッケージの指示通りに焼きそばを作る。

こう

 すると、こってり濃厚なごまだれ味と、きちんと満足感のある野菜で、すでにものすごく美味しいです。なにより、ぷりっぷりの中華麺が本格的な美味しさすぎる! これ、本当にカップ麺? って感じ。
 だがそこに、今日も過剰ブーストを加えていきますよ。牛豚あいびき肉、玉ねぎ、長ねぎをフライパンで炒め、醤油で味を調整した具材を作って麺に足し、さらに刻み小ねぎとコショウをたっぷり加えて、完成! 本格ガチ中華坦々麺風U.F.O.!!

たっぷりのひき肉とねぎを炒めて
紹興酒とともに
本当に麺がうまいな

 いやもう、ここまでやってしまうと、ベースがカップ麺である意味があるのか? という問題が発生してきますが、いやいや、U.F.O.がきちんと本格的で、きちんと美味しすぎるから、料理として成立しすぎている。本当、おそれいりますよ。ぜひ一度試してみてくださいよ。

 さて、最後はシーフードBBQ味。こいつはそうさな、麺を戻したお湯を捨てずに再利用し、あんかけ風にするなんてどうでしょう? 北海道の定番カップ焼きそば「焼きそば弁当」って、戻し湯を捨てずにスープに再利用するんですけど、あのお湯、実はいいだしが出てて美味しいんですよね。

まずは普通に焼きそばを作り
お湯は捨てず
またまた「ちょい足し野菜プラス」そして冷凍シーフードをゆでる

 で、このシーフード野菜スープを塩で味つけし、そこに水溶き片栗粉を加えて……あれ? しまった! 片栗粉を切らしてた!
 というわけで、もう開き直ってそのまま焼きそばにかけてしまって、なんてこった。あんかけ焼きそばを作るつもりが、ちゃんぽんみたいな料理になってしまった……。

予定と違う!

 ただ、これがまたまた美味しかったんですよね〜。付属のBBQ風スパイスがちゃんぽん風の味つけにばっちりで、焼きそばが汁に浸かっている違和感もまったくなく。これ、もしかしてU.F.O.の新アレンジの可能性の扉を開いちゃったんじゃないかしら? 日清食品さん、いつでも公式商品開発の打診、してもらって大丈夫ですからね!

めっちゃうまい


連載「つつまし酒」の単行本シリーズの第3弾、
『酒・つまみ日和』が8月23日より発売となります。
酒飲みの喜びと知恵が詰まったほろ酔いエッセイ。
書き下ろしもあったりします!

パリッコ(ぱりっこ)
1978年、東京生まれ。酒場ライター、DJ/トラックメイカー、漫画家/イラストレーター。2000年代後半より、お酒、飲酒、酒場関係の執筆活動をスタートし、雑誌、ウェブなどさまざまな媒体で活躍している。フリーライターのスズキナオとともに飲酒ユニット「酒の穴」を結成し、「チェアリング」という概念を提唱。2021年8月には、新刊『つつまし酒 あのころ、父と食べた「銀将」のラーメン』を上梓! また、『ノスタルジーはスーパーマーケットの2階にある』(スタンド・ブックス)『晩酌わくわく! アイデアレシピ』 (ele-king books)、『天国酒場』(柏書房)、『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』(光文社新書)、『酒場っ子』(スタンド・ブックス)、『晩酌百景 11人の個性派たちが語った酒とつまみと人生』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、漫画『ほろ酔い! 物産館ツアーズ』(少年画報社)、など多数の著書がある。
Twitter @paricco

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