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リアル"産む機械”となった女たちのレジスタンスドラマ「ハンドメイズ・テイル」

こんにちは。光文社新書の永林です。森喜朗氏の「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「女性は競争意識が強く、1人が手を挙げて発言すると自分も言わなければと思うのだろう」(2021年2月3日)といった女性蔑視発言が話題です。世界中のメディアでも取り上げられ、日本のジェンダーギャップを露呈した形となりました。
森氏は2003年にも「子供を一人もつくらない女性の面倒を税金で見なさいというのはおかしい」と発言しています。2007年には、柳沢伯夫厚労相(当時)による「女性は産む機械」といった発言もありました。それから10年以上が経っても、日本のリーダー達の意識変革はないのでしょうか———。今週の治部れんげさんの連載「ジェンダーで見るヒットドラマ」で取り上げるのは、そんな日本の現実に怒り心頭の皆様に、全力でおススメしたい「ハンドメイズ・テイル」です。あらゆる女性の権利が剥奪された世界を描いたディストピア小説「侍女の物語」(原題「The Handmaid's Tale」)を原作に、アメリカでは現在シーズン4まで制作されている傑作ドラマ。治部れんげさんはどのように見たのでしょうか。

※以下、治部れんげさんによる記事はネタバレを含みます。ドラマ未視聴の方はご注意ください。

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※書籍発売以降、有料記事となりました。後半は書籍か、記事を購入してお楽しみください。

「歩く子宮」となった女たちの戦いを描く「ハンドメイズ・テイル」


私は怖い話が苦手なため、本連載では怖いドラマをほとんど取り上げていません。

けれども「ドラマをジェンダー視点で見ることで、今の社会を考える」という本書の趣旨に照らして「ハンドメイズ・テイル:侍女の物語」は外せません!――と本書の担当編集から強くお勧めされて、見始めたところ、衝撃のあまり書かずにいられなくなりました。心配していた怖いシーンは間接描写で、いわゆるホラー映画のようなものではないことを、あらかじめお報せしておきます。

このドラマは1985年にカナダの作家マーガレット・アトウッドが発表した小説「侍女の物語」が原作です。1990年代に邦訳が出ており、SFでありながら現実に起こりえるリアリティを感じる独特の世界観に強い印象を受けました。


ドラマ版は原作の世界観を生かした見事な構成で、見始めたら止まらない吸引力があります。この先、ドラマで描かれることや、私なりの解釈を記していきます。かなりきつい人権侵害に関する描写がありますから、暴力表現や性表現が苦手な方は次節を飛ばして、次の小見出しの後からお読みください。

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