【名言集】光文社新書の「#コトバのチカラ」 vol.141
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坂口幸弘『喪失学』
喪失への適応を旅にたとえるならば、目的地は喪失前と同じ場所ではない。(中略)拭いきれぬ思いをいかに消し去るのかが大事なのではなく、その思いを抱えつつも、自分なりにどのように生きるのかが重要である。
広瀬和生『談志の十八番』
三木助の、さらりと江戸前な『芝浜』の骨格を受け継ぎながら、談志は現代人としての感情を大胆に注入し、別次元の「感動のドラマ」に仕立てた。今でこそ多くの落語家が「泣かせる人情噺」としてドラマティックに『芝浜』を演じているが、その源流は間違いなく談志である。
坂爪真吾『はじめての不倫学』
性欲に勝てる人間はいない。いるのは性欲に勝てると思い込んでいる無防備な人間だけだ。森鷗外の『ヰタ・セクスアリス』にあるように、世間の人は性欲の虎を放し飼いにしており、そのことに気づいていない。そして些細なきっかけでその虎の背に乗って滅亡の谷へ墜ちることになる。
上原昭宏 山路達也『アップル、グーグルが神になる日』
筆者は、ユーザーが買ったハードウェアをどんどん捨てろと言いたいわけではありません。
ここで述べているのは、製品の適切な廃棄/買い替えサイクルをきちんと設計しない限り、ハードウェアからの収益で事業を成立させることはできないということです
倉山満『検証 財務省の近現代史』
大蔵省はあまりにも長い間政治に振り回されたため、真の意味での健全財政の考え方が歪みました。すなわち、健全財政とは政治の無制限の歳出拡大要求を排除することではなく、増税のことだという空気が支配していったのです。
布施英利『色彩がわかれば絵画がわかる』
ゴッホは、青と緑と黄色と赤の色彩を使って、覚めた頭で冷静に、空間の奥行きを構成しているのです。こういう絵を描く男は、狂気ではなく、科学者のような理知的な頭脳をもっていると思わずにはいられません。そして、これがまぎれもなく、ゴッホという画家の本当の姿であったのです。
豊崎由美『ニッポンの書評』
知識や語彙や物語のパターン認識、個々の本が持っているさまざまな要素を他の本の要素と関連づけ、いわば本の星座のようなものを作り上げる力。それがあるかないかが、書評と感想文の差を決定づける。今のわたしはそんな風に考えているのです。