何が「暗殺」に駆り立てるのか?|高橋昌一郎【第18回】
自殺者の隠れた動機1903年5月21日、飛び級で通常よりも1年以上早く旧制第一高等学校(現在の東京大学教養学部)に在学していた16歳の藤村操が制服制帽姿のまま失踪した。その翌日、日光の「華厳滝」に飛び込んで自殺していたことが判明した。
藤村は遺書に相当する「巖頭之感」を滝の側にあるミズナラの木に彫り込んでいた。「悠々たる哉天壤、遼々たる哉古今、五尺の小軀を以て 此大をはからむとす。ホレーショの哲學竟に何等の オーソリチィーを價するものぞ。萬有の 眞相は唯だ一言にして悉す、曰