第9回 四方田犬彦が師について綴った小説のような「評伝」|三宅香帆
師弟の物語は、面白い師弟の物語というのは、なぜか面白くて、読んでしまう。
夏目漱石作品のなかではやっぱり私は『こころ』がいちばん好きだし、芸術の師弟関係だったら中山可穂の『銀橋』とか山岸凉子の『アラベスク』もあの師弟関係にグッとくるの。フィクションじゃないけれどこの連載だって中島梓の『小説道場』を扱っている。ほら、『HUNTER×HUNETER』も『鬼滅の刃』も結局は師のもとで修業する話だからみんな面白いと思っているのじゃないか。
師弟関係の面白さというものは、それがすな