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恋愛学で読みとく「文豪の恋」

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恋愛学の第一人者である森川友義教授が、まったく新しい視点から、明治・大正・昭和の名だたる文豪たちの小説に描かれた「恋」について分析します。2019年9月に、光文社新書として一冊に… もっと読む
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2019年12月の記事一覧

100年以上もの間「クズ男」と非難され続けた『舞姫』の豊太郎を擁護する #2_1

100年以上もの間「クズ男」と非難され続けた『舞姫』の豊太郎を擁護する #2_1

第1回は夏目漱石でしたので、今回は明治の二大文豪のもう一人、森鷗外の名作『舞姫』を採り上げてみます。

『こころ』は教科書に登場するくらい馴染み深い作品ですが、こちらの『舞姫』もそれに劣らず人気がある短編小説です。『こころ』は1914年に出版されていますが、『舞姫』はさらに時代をさかのぼって1890年に世に出ています。

『舞姫』は文語体で書かれていて格調高いのですが、私たち現代人が読むには非常に

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夏目漱石『こころ』の先生は文学史に残る卑怯者である #1_2

夏目漱石『こころ』の先生は文学史に残る卑怯者である #1_2

早稲田大学・森川友義教授が恋愛学で読みとく「文豪の恋」。第1回『こころ』編の後編は、いよいよお嬢さんをめぐる先生とKの三角関係から、先生の自殺にまでいたる物語の6つのポイントを徹底分析します。

前編はこちら。

ポイント① 先生がお嬢さんに恋した時点で行動をとらなかったことまず奇異に思えるのは、先生は、なぜお嬢さんに恋愛感情をいだいた時点で、デートに誘うとか告白するといった行動を起こさなかったの

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夏目漱石のあの名作は実は恋愛ミステリーだった #1_1

夏目漱石のあの名作は実は恋愛ミステリーだった #1_1

光文社新書noteのスタートに合わせて、恋愛学でおなじみのあの早稲田大学・森川友義教授の連載が始まります。文豪たちの数々の名作を題材に、冴え渡るクールな森川先生の考察をお楽しみください!

もりかわ・とものり/早稲田大学国際教養学部教授。政治学博士(Ph.D.)。1955年群馬県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒、ボストン大学政治学部修士号、オレゴン大学政治学部博士号取得。専門分野は日本政治

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