森川友義の恋愛学で読みとく「文豪の恋」

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記事

『斜陽』のかず子は、なぜ涙を流しながらも上原との道ならぬ恋に溺れたのか? #5_2

太宰治『斜陽』を、「浮気市場」=「不倫」をキーワードに読み直す視点を提示した前回。後編では、いよいよ具体的に作品中の人間関係に即して考察していきます。かず子はなぜ上原を愛してしまったのかーー。もはや「不倫」について考える文学作品として、『斜陽』は欠かせないテキストです。

前編はこちら。

上原の立場から不倫を考える

上原からみた不倫とかず子からみた不倫の2つがありますが、まず上原の心理からかず

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「浮気市場」の概念を正しく理解することが『斜陽』を読みとく鍵となる #5_1

不倫を考察する2作目として、太宰治『斜陽』を採り上げます。『蒲団』は1908年の作品であるのに対しこの本は1947年に出版されていますので、一挙に40年近く新しくなり、時代も大正から昭和になります。

最初に申し上げておかなくてはならないのは、『斜陽』は純粋な恋愛小説ではありません。テーマは、タイトルどおりわが国の上流階級の没落=斜陽です。その裏側には共産主義礼賛という思想もからんでいて、政治色を

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不倫をしたくてたまらなかった『蒲団』の時雄は、しかし意外と「いい夫」だった #4_2

ちょっぴりフェティッシュなイメージの一方で、繊細かつ緻密な恋愛描写が光る田山花袋の『蒲団』。後編では、この小説の2大テーマのひとつである「不倫」がどのように描かれているかを詳しく見ていきます。そして、不倫願望に悶々とする時雄が意外に「いい夫」である理由とは――? 何かと話題を巻き起こしがちな「不倫」について、「不倫学」を提唱する森川先生の考察が冴え渡ります。

前編はこちら。

「不倫」を定義する

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「キモい中年男」小説と思われがちな田山花袋『蒲団』は、繊細な恋愛描写が胸を打つ傑作である #4_1

これまでの「純愛」から一転して、第4回と第5回では「不倫」がテーマの小説を採り上げます。まずは田山花袋の『蒲団』、次いで太宰治の『斜陽』です。前者は不倫したくてもできなかった中年の恋の話、後者は不倫しちゃった人の話です。

それでは、第4回として田山花袋の中編小説『蒲団』から。

『蒲団』を読んだ人が思い出すのは「あのキモいにおいフェチの小説」というところでしょうか。あるいは「不倫願望に悶々とする

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白樺派のあの文豪が小説に書いた和紙屋さんで買物をしてみた|恋愛学で読みとく「文豪の恋」【番外編】

note担当の田頭です。

連載「恋愛学で読みとく『文豪の恋』」の第3回の写真をどうするか考えていたときのこと。近所の公園の撮影スポットやら撮影用小道具やらのネタがそろそろ尽きてきて、何かないかなーとあれこれ思いを巡らせていました。

あ、そういえば。

思い出しました。赤坂の豊川稲荷の御朱印帳が大正ロマンっぽくて可愛かった気がします。あれに何かヒントはないかな、『友情』の雰囲気には合うんじゃない

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武者小路実篤『友情』は誰もが直面する「報われない恋」の救いとなるのか #3_2

武者小路実篤『友情』が長年読み継がれたのは、明治の時代にはまだ新鮮だった自由恋愛がしっかり描かれた小説だったからということが論じられた前回。後編では、その恋愛心理のなかでも、「報われない恋」の形態である「片思い」「叶わぬ恋」「失恋」をいかに巧みに段階的に描写しているかを明らかにします。現代にも通じる恋愛心理の普遍性に迫る後編をお楽しみください。

前編はこちら。

『友情』における恋愛の形態① 「

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武者小路実篤『友情』は恋するすべての人が読むべき最良の教科書だ #3_1

第3回として採り上げるのは、白樺派の中心人物の一人、武者小路実篤の『友情』です。 

『友情』は1919年10月から新聞社の連載として書き始められたものですが、1920年に完成し、一冊の本として出版されました。『こころ』が1914年でしたので、それから6年後の出版になります。年代的にはそれほど変わりませんが、恋愛の描写は実に奔放、自由主義的な理念を掲げる白樺派の代表作の1つと言えます。文体の美しさ

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『舞姫』の時代を知るのに最高の1冊です|恋愛学で読みとく「文豪の恋」【番外編】

note担当の田頭です。3連休の初日、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

この光文社新書noteで好評連載中の「恋愛学で読みとく『文豪の恋』」はもう読んでいただけましたでしょうか。 

おかげさまでじわじわと人気上昇中です。近々第3回として三角関係を描いた武者小路実篤『友情』編をアップしますので、お楽しみに。よろしければマガジンのフォローもお願いします!

さて、今日はこの第2回で採り上げた『舞

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森鷗外『舞姫』は2つの今日的恋愛のテーマを先どりしていた小説である #2_2

森川友義教授が恋愛学の視点から名作に描かれた恋を読みとく好評連載。発表以来「クズ男」と罵倒され続けた豊太郎を新鮮な視点から擁護してみせた第2回の後編では、豊太郎の選択が妥当であった合理的な根拠と、『舞姫』に描かれた恋の今日的な意義について考察します。

前編はこちら。

費用対効果その① ベルリンに留まった場合

「ベルリンに留まる」場合の長所は以下の2つです。

1つめは、ドイツという自由な社会

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100年以上もの間「クズ男」と非難され続けた『舞姫』の豊太郎を擁護する #2_1

第1回は夏目漱石でしたので、今回は明治の二大文豪のもう一人、森鷗外の名作『舞姫』を採り上げてみます。

『こころ』は教科書に登場するくらい馴染み深い作品ですが、こちらの『舞姫』もそれに劣らず人気がある短編小説です。『こころ』は1914年に出版されていますが、『舞姫』はさらに時代をさかのぼって1890年に世に出ています。

『舞姫』は文語体で書かれていて格調高いのですが、私たち現代人が読むには非常に

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