森川友義の恋愛学で読みとく「文豪の恋」

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『風立ちぬ』が示す4つの視点から、幸せな夫婦のあり方について考える #9_2

宮崎駿監督が映画『風立ちぬ』の着想を得たことでも知られる、堀辰雄の不朽の名作『風立ちぬ』。長らく生と死の意味を問う小説として知られてきましたが、実は「結婚」という視点に着目すると、作品の新しい魅力が浮き彫りになるものでした。後編では、『風立ちぬ』が示唆する「幸せな夫婦」のあり方について考察していきます。

前編はこちら。

その① 夫婦関係が長期的でないこと

『風立ちぬ』の場合、2人の関係は短期

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堀辰雄『風立ちぬ』 は夫婦間の幸福を描ききった小説として再評価されるべきだ #9_1

さて、この連載もいよいよ最終回です。最後は、堀辰雄『風立ちぬ』を採り上げたいと思います。

これはいままで解説してきたどの作品とも似ていない、特異な恋愛小説です。何が特異かというと、恋愛というよりも「結婚」に重きをおいた内容だからです。

この作品で問われているのは、夫婦間における「愛」と「幸福」です。読者のみなさんが結婚されているならば、この2つがどれだけもろく貴重なものかご理解いただけると思い

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今後とも光文社新書をよろしくお願いします!
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三島由紀夫が『潮騒』の成功と引き換えにあえて書かなかったことについて考える #8_2

三島由紀夫といえば、言わずと知れた昭和の大作家。華麗な文体、緻密な描写のイメージですが、この『潮騒』は何かがおかしい…? 前編ではこの小説の不自然さについて検証しましたが、後編で考えるのは、「足りないもの」について。三島由紀夫ははたして『潮騒』で何を書き、そして何を書かなかったのでしょうかーー。

前編はこちら。

その③ 初江が新治を好きになった理由が不明

新治がなぜ初江を好きになったのかは不

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三島由紀夫『潮騒』のどうにも拙い恋愛描写の裏に隠された意図は何なのか? #8_1

これまで恋愛学の知見を総動員して文豪たちの小説を斬ってきましたが、前回までの7つの作品は、少なくとも恋愛学で「割り切る」ことができました。たとえば経済学で用いる「恋愛均衡説」、市場原理の「恋愛市場」「結婚市場」「浮気市場」に基づく分析、進化生物学の知識を用いた「五感と恋愛」、ホルモンや脳内神経物質を分析する「社会内分泌学」といった観点から解説することで、深く、新しい視点で読むことが可能になったかと

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アランちゃんと一緒に喜んでいます!
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