99歳の元搭乗員が語る、山本五十六の戦死
プロローグ
「あの海軍甲事件で山本五十六長官が撃墜された時、私は1番機、2番機に続く『3番機』の搭乗員として、長官と同じ空を飛んでいたんです」
私がこの話を聞いたのは、令和元年9月のことだった。
当時の私は文学部歴史学科の大学3年生であった。子どもの頃から歴史が好きだった私は、大学でも日本近現代史を専攻し、卒業論文の題材として太平洋戦争を選んだ。そして自分の知見を深めるべく様々な戦争体験者の証言を聞いて回っており、そのフィールドワークの一環として、私は神奈川県に在住の青