見出し画像

新型コロナを予言したドラマ「アウトブレイク」の凄まじさ

こんにちは。光文社新書の永林です。治部れんげさんの連載「ジェンダーで見るヒットドラマ」、前回&前々回の愛の不時着についての原稿は、とても多くの方にお読みいただいたようです(ありがとうございます!)。今後も毎週、世界中のドラマについての記事をアップしていきますので、どうぞご期待くださいませ。

3回目の今回、取り上げるのはカナダ制作のドラマ「アウトブレイク~感染拡大~」です。テーマは"新型コロナウイルス”の蔓延によるパンデミック。まるで現実世界を描いたかのようなこの作品、カナダでの初回放送は2020年1月7日です。リアル世界でウイルスが世界的に流行する直前なのです!

現実と酷似し過ぎているため、カナダでは「新型コロナウイルスの流行を予言した」と社会現象になりました。2021年1月15日現在、日本では11都府県が緊急事態宣言下にあります。このドラマでは、わたしたちがまさに今、感じている危機が、過度な演出なしにも関わらず実に見事に描かれます。そして、日本のドラマではあまり見られない「プロフェッショナルな女たちの連帯」や「血の繋がりによらない家族愛」もさらりと表現されていて、ジェンダー視点もアップデートできる、と治部れんげさんは分析します。

※書籍発売後、有料記事になりました。記事後半はご購入いただくか、書籍でお楽しみください。


新型コロナの“予言ドラマ”が提示した
女たちの連帯とプロフェッショナリズム

「アウトブレイク」はカナダ第二の都市モントリオールを舞台に、原因不明の呼吸器系感染症の発生と拡大、科学者や医師、政治家の対応を描くシリアスなドラマです。

カナダでこのドラマの放送が始まったのは2020年1月7日、つまり、現実に新型コロナウイルスが世界的に流行拡大する直前でした。そのため、放送後すぐに「新型コロナを予言していた」と話題になり、視聴率35%を超える大ヒットとなりました。日本では7月頃から各種サービスで配信されています。

感染症が引き起こすデマや差別などの社会問題もリアルに描かれます。ドラマで流行するのも「新型コロナウイルス」であり「CoVA(コーヴァ)」と呼ばれます。潜伏期間が最大10日と長く、致死率25~30%で回復する人の方が多い上、飛沫感染するなど、現実世界で流行している新型コロナウイルスと類似点が多く見られます。

主人公は緊急衛生研究所長のアンヌ=マリー・ルクレール博士(ジュリー・ルブレトン)。彼女を助けて情報分析をする大学院生や救急医、ワクチン開発の責任者など、未知のウイルス封じ込めにおいてリーダーシップを発揮するのは、全員女性です。公衆衛生、政策立案、戦略的広報における彼女たちの協力と活躍を通じ、ジェンダー視点を危機管理に生かすケーススタディになっています。

続きをみるには

残り 4,640字 / 2画像

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

光文社新書ではTwitterで毎日情報を発信しています。ぜひフォローしてみてください!