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【練習問題②】:次の文章、「簡単に」よりもっとふさわしい副詞は?――言葉選びの楽しみとコツ|石黒圭『コミュ力は「副詞」で決まる』



前回(練習問題①)に続き、もう一つ、例を見ておきましょう。

・人の心はじつにもろいもので、ささいな寂しさから簡単に壊れてしまうものだ。

簡単に」でも意味は十分に通じますが、ほかによい言葉はないでしょうか。

容易に」でもよさそうですが、「簡単に」よりよくなったかどうかは微妙です。

やすやすと」や「苦もなく」も「簡単に」の意味ですが、ネガティブなこの文脈には合いません。

そこで、考えたいのは「たやすく」です。「たやすく」は「いとも」という程度副詞と相性がよく、セットで入れてみましょう。

・人の心はじつにもろいもので、ささいな寂しさからいともたやすく壊れてしまうものだ。

壊れてほしくないものが「じつにもろ」く壊れてしまうというニュアンスを出すことに成功しており、かなりよくなった感じがします。

もう一つ、考えてみたいのが「あっけなく」です。

・人の心はじつにもろいもので、ささいな寂しさからあっけなく壊れてしまうものだ。

あっけなく」には、「こんなにも簡単に」という実感がこもっており、やはり、人の心のもろさを表現することに成功しているといえるでしょう。

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文脈にふさわしい言葉を探しているうちに、しっくり来る言葉にふとした拍子に出会うことがあります。これが言葉選びの楽しみです。


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以上、光文社新書『コミュ力は「副詞」で決まる』(石黒圭著)より一部を抜粋して公開しました。


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