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【リレーエッセイ】コロナで変わった本の作り方。出版されるまで著者と一度も会わないことも珍しくなくなりました

こんにちは。編集部の高橋です。
アランちゃんの18歳(2019年10月~2020年9月)は私がお送りします。

2019~2020年はこんなことがありました

入社後、販売担当を経て2018年6月に新書編集部へ異動してきたのですが、この頃は自分で企画をイチから担当する書目が少しずつ増えていき、のめりこんでいった記憶があります。やはり自分の思い付きや妄想を形にできることがこの仕事の醍醐味ですからね。
※以前、アルバイトの学生にプラン会議に参加してもらった時の記事がなかなか面白いのでよければご覧ください。

さてこの時期(といっても割と最近ですが)、世の中では以下のような出来事がありました。

・消費税率10%がスタート
・ラグビーW杯日本大会で日本が8強に
・沖縄の首里城が火災で焼失
・ローマ教皇が38年ぶりに来日
・カルロス・ゴーン氏がレバノンへ逃亡
・新型コロナで政府が全国小中高の休校要請。さらに緊急事態宣言の発令へ
・山手線では49年ぶりの新駅となる「高輪ゲートウェイ駅」が開業
・レジ袋有料化がスタート
・安倍晋三首相が体調不良を理由に辞任し、菅義偉内閣が発足
・劇場版アニメ『鬼滅の刃』が興行収入100億円を突破
(上から時系列順)

なんとも盛りだくさんですが、全ての人に影響を与えたのが、現在まで続く新型コロナウイルスの感染拡大でしょう。当初は「中国で未知のウイルスが流行っている」くらいの話だったのが、あれよという間に世界的なパンデミックへ。休校、緊急事態宣言、五輪延期と怒涛の勢いでコロナ禍が日々を蝕んでいきました。世の中全体が暗いムードに包まれる中、「おうち時間」を楽しく過ごそうというムーブメントや、いわゆる「巣ごもり需要」も起こりました(新書がその恩恵にあずかったかと言えば、YESともNOとも答えられるところですが…)。

アランちゃん18歳の売り上げ上位トップ10

そんなアランちゃん18歳の売り上げトップ10をまとめてみます。

『運気を磨く』田坂広志
『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』庭田杏珠 渡邉英徳
『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』樋口耕太郎
『死に至る病』岡田尊司
『続・秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本』J・ウォーリー・ヒギンズ
『「マニュアル」をナメるな!』中田亨
『炎上CMでよみとくジェンダー論』瀬地山角
『段落論』石黒圭
『宇宙は無限か有限か』松原隆彦
『バンクシー』毛利嘉孝
(累計部数上位順)

トップの『運気を磨く』は本当によく売れましたね。売れる本は重版する際のロットが他の本と比べて格段に多くなるのですが、万の単位でどんどん増刷されていったことを覚えています。

この時期の私の担当書目は、こんな感じになっています。

『外国人“依存”ニッポン』NHK取材班
『なぜ「つい買ってしまう」のか?』松本健太郎
『生命保険の不都合な真実』柴田秀並
『首都圏大予測』三浦展
『御社の新規事業はなぜ失敗するのか?』田所雅之
『芸術的創造は脳のどこから産まれるか?』大黒達也
『炎上CMでよみとくジェンダー論』瀬地山角
『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー』ヒロ・マスダ
『AV女優の家族』寺井広樹
『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』庭田杏珠 渡邉英徳

それぞれの本にそれぞれのコンセプトや著者の魅力、制作の苦労、はてはトラブルまでがあって、今でも鮮明に思い出せます。編集後記だけで数千字は書けてしまいますな……。

アランちゃん18歳の「この一冊」

どれも苦労して作ったので思い出深いのですが、個人的に1冊あげるとすればやはり、『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』です。

現在は「広島本大賞」帯に切り替わって出荷中です!

制作秘話については上の記事にてお話ししているので割愛しますが、フルリモートの体制で進行した点も印象深いです。Zoomでの打ち合わせに加え、(これは以前からやってましたが)Google documentでのリアルタイム共同編集など、テクノロジーの利便性をこれでもかと体感することになりました。あとは画像のデータが大容量で大変だったので、通信環境の重要性を改めて感じましたね。我が家の弱小Wi-Fiが何度落ちたことか……。

以降、企画のお声がけをしてから本が出版されるまで一度も著者と直接お目にかからないケースも増えてきました。地方在住の方や本業のお仕事を抱えている方などにとっては、出版への心理的なハードルが下がったと言えるかもしれません。ただ、密なコミュニケーションの必要性は変わらないので、Zoomや電話の頻度はこれまで以上に増えましたね。SlackやDynalistといったツールも当たり前になってきました。アランちゃんの18歳はコンテンツの方向性だけでなく、それを作るプロセスも大きく様変わりした1年だったのです。

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