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【リレーエッセイ】新書の恩恵に一番与っているのは編集者です。

こんちゃ! 光文社新書編集部編集長の三宅と申します。影山優佳さんリスペクトで、思わず真似してしまいました(笑)。

新入社員の正体

新書編集部は当初3人からスタート、創刊前に1人加わって4人に。実は私は、この創刊時から20年間ずっと在籍しています(noteをはじめるときに、このあたりの経緯を書きました)。そして2002年4月に強力な新入社員が入ります。現・株式会社STOKEの柿内芳文さんです。柿内さんについてはこちらの記事をご覧ください。全3回の大作です。

しばらく前に柿内さんが来社したときに、「神吉晴夫」(カッパ・ブックスの伝説の編集長)に出会った思い出の「原本室」でパチリ。ちなみにこの原本室は常に鍵がかかっています。

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こんな新書を担当していました

まだ創刊して1年、光文社新書がよちよち歩きの2002年10月~2003年9月の時期に、自分がどういう新書を担当したのか振り返ってみました。

・三面記事で読むイタリア  内田洋子 シルヴィオ・ピエールサンティ
・英語で気持ちを伝えられますか 田畑智通
・京都人は変わらない 村田吉弘
・コーチ論 織田淳太郎
・剣豪 その流派と名刀  牧秀彦
・論理的思考と交渉のスキル 高杉尚孝
・ウェルチにNOを突きつけた現場主義の経営 千葉三樹
・ビジネス英語〈短期戦略〉マネジメント 安達洋
・お墓博士のお墓と葬儀のお金の話 横田睦
・人格障害かもしれない 磯部潮
・エベレストから百名山へ 重廣恒夫
・生体肝移植を受けて 是永美恵子
・深海のパイロット 藤崎慎吾  田代省三 藤岡換太郎
・「情報を見せる」技術 中川佳子
・蕎麦屋の系図 岩﨑信也
・温泉教授の日本百名湯 松田忠徳
・人力車が案内する鎌倉 青木登

なんと1年間で17冊を担当していました。当時は無我夢中で走り続けていたので、それほど冊数を出している印象はなかったのですが、今回ちゃんと数えてみて、自分でも驚いた次第。ただ、この17冊のうち、おそらく3冊は、柿内さんが編集実務を担当してくれたはずです。

彼が『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』を担当するのは、しばらく先の2005年の2月です。

一番売れた新書は?

同時期の他のラインナップも見てみましょう。

・現代アート入門の入門 山口裕美
・世界最高のクラシック 許光俊
・鳥居 稲田智宏
・財政学から見た日本経済 土居丈朗
・仕事で「一皮むける」 金井壽宏
・天才は冬に生まれる 中田力
・辞書と日本語 倉島節尚
・純米酒を極める 上原浩
・クローン人間 粥川準二
・外国切手に描かれた日本 内藤陽介
・皇居前広場 原武史
・「極み」の日本旅館 柏井壽
・漢字三昧 阿辻哲次
・切腹 山本博文
・アウトサイダー・アート 服部正

『鳥居』ってなかなか挑戦的なタイトルですね。サブタイトルもありません。光文社新書の得意ジャンルの一つであるアート系の新書も見えます。この後、長きにわたり光文社新書をささえてくださる金井壽宏さん、柏井壽さんの著作も。惜しくもお亡くなりになられた山本博文さんの光文社新書一作目はこの『切腹』でした。

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当時はタイトル等の刷り色がやや薄く(水墨画をイメージしてBL100%ではない)、オビもシンプルでした。

現在とこの時期を比べると、初版部数が大きく異なります。現在は当時の5割強程度ではないかなと。ちなみに、この期間の光文社新書で、累計部数が一番大きいのは磯部潮さんの『人格障害かもしれない』です。やや意外な感じがしますね。現在は「人格障害」とは言わず、「パーソナリティ障害」と言います。

アランちゃん1歳時のこの一冊

この時期の思い出の一冊を挙げるとすれば、『深海のパイロット』になるでしょうか。「しんかい6500」の母船である「よこすか」に泊めていただき(もちろん取材)、駿河湾から熱海まで、伊豆半島をぐるっと一周しました。JAMSTECにも何度もうかがいました。この新書がきっかけで(著者のお一人である藤崎さんにご紹介いただき)、平朝彦さん、長沼毅さん、加藤秀弘さんの新書を刊行することもできました。知らないことを知ることができるのが新書の魅力だとすれば、編集者である私がその恩恵に一番与っているように思います。

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