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農家はもっと減っていい 淘汰の時代の小さくて強い農業

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久松農園代表で、農業界指折りの論客である久松達央氏が、日本の農業の問題点をエビデンスに基づき、ロジカルに、実体験もふんだんに盛り込み、忖度なしで解説。プロフィールはこちら:㈱久松… もっと読む
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2022年5月の記事一覧

【連載 農家はもっと減っていい 番外編】②働きながらしか書けない

【連載 農家はもっと減っていい 番外編】②働きながらしか書けない

㈱久松農園代表 久松達央

私が1冊目の『キレイゴトぬきの農業論』を書いた直接のきっかけは、親しい友人の勧めです。本を書くということが何を意味するかも分からなければ、世に名を馳せて何事かを成し遂げようという「男子の本懐」も持ち合わせていない私に、友人は執筆を奨励し、編集者を紹介するまでしてくれました。そんな後押しを受けて、ようやく出版にこぎつけた怠惰な人間です。

私は、自分のものの見方を知ってく

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【連載 農家はもっと減っていい 番外編】①頭と手で言葉を紡ぐ

【連載 農家はもっと減っていい 番外編】①頭と手で言葉を紡ぐ

㈱久松農園代表 久松達央

8月に刊行予定の新著の抜粋連載、たくさんの方に読んで頂き嬉しく思っております。今回は、本の中身を少し離れて、執筆に至った背景などを綴ってみたいと思います。

もともと長い文章を書いたこともなかった私が、たまたまご縁を頂いて2013年-14年に2冊の本を出しました。

サラリーマン家庭に育ち、ろくに準備もせずに農業の世界に飛び込んだ人間が悪戦苦闘する中で考えたことをまとめ

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有機農業vs慣行農業の不毛な痴話喧嘩

有機農業vs慣行農業の不毛な痴話喧嘩

【連載】農家はもっと減っていい:淘汰の時代の小さくて強い農業④㈱久松農園代表 久松達央

消費者に直接販売をしている農業者と話をすると、必ずと言っていいほど、「農薬のことで客から不快な質問をされた」というエピソードが出てきます。それに続くのは、不勉強な有機農家への愚痴の数々。有機農業の実践者である私に、いきなり銃口を向けてくる農家も多いので、まずはこちらが「非戦闘員」であることを示さないと会話が始

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耕作放棄したっていいじゃないか

耕作放棄したっていいじゃないか

【連載】農家はもっと減っていい:淘汰の時代の小さくて強い農業③㈱久松農園代表 久松達央

農業が抱える問題は何かを世の人に問うと、耕作放棄地を挙げる人が少なくありません。昔から農家が守ってきた農地が荒廃するのは見るに忍びない、というわけです。

日本中どこへ行っても車窓に広がる水田を、日本の原風景だと思う人は存外多いようです。しかし、実際には現在私たちが目にしているような平地での米づくりが広がった

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