精子は「孤独な戦士」。ナノスケールの〝戦場〟で起きていること
筑波大学下田臨海実験センターの稲葉一男教授は、30年以上にわたって「細胞の毛」の研究を行ってきました。私たち生命は「毛」なくしては生きていくことができません。具体的には、「繊毛(せんもう)」と「鞭毛(べんもう)」と呼ばれる「細胞の毛」です。これらの「毛」は、体づくりや生体維持に重要な働きをしています。また、精子は尻尾のような形の「鞭毛」を動かして卵に辿り着きます。つまり、「毛」なくして私たちは子孫を残すこともできないのです。稲葉教授は、この微細な「細胞の毛」を手がかりに生命の