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【リレーエッセイ】17年7カ月の時を経て、ついに刊行点数が4桁の大台へ!

こんにちは! 編集部の河合です。9月初めから始まったこのリレーエッセイもゴールが見えてきました。箱根駅伝で言えばもう第9区。私もしっかりとたすきを繋いでいきたいと思います!

17歳の年の新書を全部並べてみた

アランちゃん17歳の1年。元号が平成から令和に変わったこの年は、私が光文社に入社した年でもありました。

志望していたのは新書編集部でしたが、研修を経て言い渡された配属先は女性自身編集部。それまで静岡の山にある大学で花の世話と研究に明け暮れていた私にとっては、本当に生活が一変することばかりでした。毎週おとずれる入稿作業から、毎回のプラン会議に、人と会う頻度まで。1週間で200ページ近い誌面を記事で埋め尽くし、全国へと届けていることは、今でもちょっと信じられません。

少し話がそれてしまいました。それでは、 私にとっては生活が目まぐるしく変わっていた、アランちゃん17歳の年には、どんな新書が刊行されていたのでしょうか。まずは、この時期に出た新書を並べてみたいと思います。

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アランちゃん17歳の年の光文社新書。

おぉ。初めて1年の間に刊行された全部の本を並べてみましたが、こうやってみると壮観ですね。皆さんが読んだことのあるものは見つかりますでしょうか。この時期に光文社新書はちょうど60点が刊行されていました。

上の写真では、お馴染みのカバーの中で、イラストや写真を大きく使ったカバーが目に飛び込んでもきますね。こうしたオリジナルカバーが多いのも、「光文社新書らしさ」の1つだと思います。17歳を迎えて3ヵ月が経った2019年の1月には、5冊中4冊がオリジナルカバーでした。

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2019年1月のラインナップ。

続いて、この時期(2018年10月~2019年9月)に刊行された中で発行部数が2万部を超えた本を並べてみます(発行年月順)。

969 『秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本』J・ウォーリー・ヒギンズ
973 『百まで生きる覚悟』春日キスヨ
975 『自炊力』白央篤司
977 『二軍監督の仕事』高津臣吾
980 『残業学』中原淳 + パーソル総合研究所
981 『認知症の人の心の中はどうなっているのか?』佐藤眞一
985 『死にゆく人の心に寄りそう』玉置妙憂
995 『セイバーメトリクスの落とし穴』お股ニキ(@omatacom)
1005『人生100年、長すぎるけどどうせなら健康に生きたい。』藤田紘一郎
1009『世界の危険思想』丸山ゴンザレス
1015『「家族の幸せ」の経済学』山口慎太郎
1027『死に至る病』岡田尊司

料理モノから経済学、はたまた野球論まで、様々なジャンルの新書が版を重ねています。この年も多くの人に読んでいただけたようです。とっても嬉しいですね!

ついに大台へ

さらに、この年はもう1つ嬉しいことが起こります。すでに上のリストを見てお気づきの人もいるかもしれません。通し番号を見てみてください。光文社新書は2019年の4月に刊行点数が1000点を突破したのです! 

1000番目のタイトルは芳沢光雄さんの『「%」が分からない大学生』。元号を変わったこの年、図らずも光文社新書も大きな節目を迎えました。

創刊から17年7カ月。大まかですが、毎月4~5冊の刊行を211ヵ月ほど続けてきた計算になります。私が言うのもあれですが、まさに「継続は力なり」の賜物と言えるのではないでしょうか。当時は編集部と販売部が協力して大きなフェアも開催しました。中でも目玉だったのは「#光文社新書この一冊」です。

こちらは、フェア開催時に書店等で無料配布した小冊子で、著者・出版関係者105名および読者175名の思い思いの「私の光文社新書」を、それぞれの感想とともにまとめています(今も電子版で無料で読めます!)。いくつかご紹介すると、

ブレイディみかこさん
『バッタを倒しにアフリカへ』前野ウルド浩太郎
まず表紙に負ける。それから中身に負けて、書き手の人柄に負ける(って、もちろん文章から想像するだけの人柄だけど、著者のキャラが何よりも前に突き出して来ている点が従来の新書とは違うと思った)。これだけエンターテイニングで笑えて泣かせるのに、ちゃんと知的好奇心をそそって、学問や研究に関心を持つ人々が増えそうなところもすごい。新書の未来を切り開く無敵の一冊でしょう。
三砂ちづるさん
『炭水化物が人類を滅ぼす』夏井陸
自らの人生に影響を与えた、という意味でも、既存の科学の枠組みを大きく問い直すような本に出会えた、という意味でも、この本しかない。「湿潤治療」だけで十分な革命児だった著者は、「糖質制限」を携え、いよいよ医学と科学の根幹に迫ってゆくのだ。むやみな炭水化物摂取の危険性に気付かされたことで、私の体はむくみが取れ、軽くなり、爽やかになった。炭水化物は人類にとって悪魔か救世主か。スリリングな忘れがたい一冊。

と、どのページも愛にあふれる、思わず読み直したくなるコメントばかり。当時はまだ編集部に在籍していなかった私も、見返しながらとっても嬉しい気持ちになりました! ちなみに、ブレイディみかこさんが挙げてくれた『バッタを倒しにアフリカへ』は、大変多くの方にも「この一冊」として選んでいただき、得票数で決定した『光文社新書大賞』にも選出されています。

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他にも1000点を突破した際にはオリジナルTシャツや記念帯、ポスターも作りました。写真中の本は左から順位順に「光文社新書大賞」に選ばれた3冊です。オリジナルTシャツは今もnoteストアで販売していますので、気になった方はぜひ!

アランちゃん17歳の「この一冊」

こうして光文社新書は1つの節目を迎え、多くの人にそれまでの「この一冊」を選んでいただきました。では、この時期、アランちゃん17歳の年の「この一冊」というと、どれになるでしょうか。

この記事を書きながらとっても悩みました。色鮮やかな写真とともに昭和30年代、東京五輪前の東京がよみがえる『秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本』は、不思議と平成生まれの私をも懐かしい気持ちにさせてくれますし、第41回サントリー学芸賞を受賞した、山口慎太郎さんの『「家族の幸せ」の経済学』も出産・子育てにおける思い込みを科学的な根拠を示しながら、バッサリと切ってくれる内容で強く印象に残っています。

う~ん。本当に悩ましい。ですが、私が選ぶとするなら、次の光文社新書をここでは紹介しようと思います。それは、玉置妙憂さんの『死にゆく人の心に寄りそう』です。

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カバー写真の玉置さんの微笑みがとても印象的です。

現在までに8万部超のロングセラー。発売から約3ヵ月で「クローズアップ現代+」でも取り上げていただき話題となりました。

本では、看護師であり僧侶でもある玉置さんの経験をもとに、「人生の着地態勢」に入った人に起こる体の変化から、その人たちへの寄り添い方までが丁寧に綴られています。その中でも、私にとって印象深かったのは次の一節。

人生の着地態勢に入ったとき、治療の及ばない地点に至ったとき、人は医療とは別のものを求める。いわば、生きていくための医療と死後の宗教の間にある、死にゆく魂のケアを求めるのです。

改めて考えみると、病気を治す際は、お医者さんに相談しながらどうしたらいいのか答えを出せるのに対し、その先、看取るとなった時は、何をすればいいのか、何をしてあげればいいのか、途端に分からなくなってしまう気がします(私がまだ年齢を重ねていないから、そう思うだけかもしれませんが)。それにもかかわらず、両親や祖父母など「ある誰かを看取る」というのは一生において一度しかない。人生の大きな出来事を前に何も準備をしないまま、その時を迎える。そんなことが起こってしまうかもしれません。

そう思い直した時、本書に綴られている玉置さんの言葉は金言ばかりでした。私にとって、いつか来るであろう、いざという時の心構えを考えるきっかけを与えてくれた一冊です。

*   *   *

いかがだったでしょうか。アランちゃんの17歳は、光文社新書がたくさんの人に読んでいただいていることを再認識した年だったように思います。光文社新書のnoteでは、「私の光文社新書」というマガジンで今も皆さんの感想をまとめていますので、ぜひ「この一冊」がありましたら、これからもぜひお聞かせください!


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