食べる西洋美術史|馬場紀衣の読書の森 vol.44
食事の席を描いた絵画はたくさんあるけれど、まずはレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』が思いだされる。捕縛される前日、キリストはエルサレムで12人の弟子たちと食事をした。身振りと表情によって表現された使徒たちのそれぞれの感情は、キリストがこの席で発言した衝撃的な内容によるものだけれど、私には彼らの会話よりもずっと気になることがある。世界でもっとも有名な晩餐の、そのメニューだ。食べることへの情熱がそれほどない人でも、テーブルの上になにが並んでいるのか「見よう」と目を細めたこと