【第95回】いかにして「破滅」寸前の日本が救われたのか?
「日本のいちばん長い日」1936年(昭和11年)2月26日午前5時、陸軍大尉・安藤輝三の指揮する一隊が侍従長官邸を襲撃した。侍従長・鈴木貫太郎は、兵隊から頭・肩・左脚・左胸の四カ所を撃たれて倒れた。血の海になった八畳間に安藤が現れると、下士官が「中隊長殿、とどめを」と言った。安藤が軍刀を抜くと、部屋の隅で兵隊に押さえ込まれていた妻・たかが「お待ちください」と叫び、「老人ですからとどめは止めてください。どうしても必要というなら私が致します」と言った。安藤は頷いて軍刀を収め、「鈴