鎌倉が世界遺産に選ばれないのはその歴史に理由がある|高橋慎一朗『幻想の都 鎌倉』より
はじめに 鎌倉は、不思議な「古都」である。現在の鎌倉は、東京から電車で一時間ほどで到着することができ、人口十七万人の小都市でありながら、年間二千万人もの観光客が訪れる、首都圏有数の観光地となっている。駅前の小町通りは、食べ歩きをする人々や、みやげものを買う人々で賑わっているが、果たしてそこに「古都」らしい光景が見られるかというと、どうもそのような感じでもない。
和食・和菓子・民芸品・人力車などなど、「日本の伝統文化」風の商売が満ち溢れてはいるが、それは日本各地の観光地で見